書籍詳細

書籍のレビュー・概要

観光という近代的営為を通じて、満洲における「帝国の物語」はどのように紡がれ、満洲国崩壊後の「失われた帝国への郷愁」はどのように醸成されたのか。観光が生み出した欲望と記憶の背後に潜む政治的意図を解明し、個人と国家、そしてその間に立つ満鉄や在満県人会などさまざまな主体の思惑が絡み合う複雑な構造を明らかにする。

帝国と観光 「満洲」ツーリズムの近代

Takumi ブックス

帝国と観光 「満洲」ツーリズムの近代

著者・関係者
高 媛 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/03/18
体裁
A5・上製 ・342頁
ISBN
9784000240703
在庫状況
在庫あり

価格:4,730 円

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著者略歴

  • 高 媛(こう えん) 1972年,中国北京市生まれ.1994年,吉林大学日本語学部卒業.1995年に来日.2003年,東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学.2005年,博士号取得(社会情報学,東京大学).現在,駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部教授.2011年4〜9月,ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員.2020年4月〜2021年3月,東京大学大学院情報学環・学際情報学府客員教授.専門は,歴史社会学・観光社会学. 主要業績「「満洲」というファンタジーの創出と空転――宝塚少女歌劇『満洲より北支へ』(一九三八年)」(山口みどり,中野嘉子編『憧れの感情史――アジアの近代と〈新しい女性〉』作品社,2023年),「戦前日本における満鉄の観光誘致」(千住一,老川慶喜編『帝国日本の観光――政策・鉄道・外地』日本経済評論社,2022年),「満洲の熊岳城温泉と軽便鉄道」(旅の文化研究所編『「小さな鉄道」の記憶――軽便鉄道・森林鉄道・ケーブルカーと人びと』七月社,2020年)など.

目次

  1. 序 章 一 本書の主題 二 考察の舞台 三 先行研究の検討 四 分析視座と分析概念 五 用語の定義 六 方法と構成 第1章 戦地から旅行地へ――かきたてられる旅行欲 一 日露戦争の前夜までの満洲旅行 二 日露戦争中の観戦旅行と戦地視察 三 戦勝後の「利源調査」ブーム 四 「観戦鉄道」という見世物 五 小 結 第2章 満洲観光ツアーの誕生――「ロセッタ丸満韓巡遊」(一九〇六年夏) 一 メディア・イベントとしての満韓巡遊 二 旅行者の構成 三 軍への依存 四 在満有力団体の歓迎 五 二つの異質な「他者」 六 小 結 第3章 満洲修学旅行の誕生――全国規模の「満韓修学旅行」(一九〇六年夏) 一 満洲修学旅行への助走 二 発案の経緯 三 公表から出発まで 四 陸軍指揮下の「行軍旅行」 五 在満県人と校友による歓迎会 六 「他者」の選別と排除 七 旅行の波及効果 八 小 結 第4章 満洲観光の「代理ホスト」と観光空間の形成 一 観光事業の担い手たち 二 在満県人会 三 観光空間の形成 四 小 結 第5章 〈憧れの的〉としての満洲――学生たちの旅路 一 満鉄の優遇策 二 全国学校長会議の誘致 三 学校教育の一環として 四 校友会の役割 五 「憧れ」の醸成 六 警戒する中国社会 七 小 結 第6章 日本旅行会主催の満洲観光ツアー――消費文化の一環として 一 満洲観光ツアーの機運 二 日本旅行会、満鮮をゆく 三 さまざまな集客方法 四 満洲観光ツアーの参加者 五 小 結 第7章 「楽土」を走る観光バス――満洲国時代の都市観光と帝国のドラマトゥルギー 一 「楽土」の上演 二 「観光楽土」としての満洲 三 「満人」向けの観光バス 四 小 結 第8章 観光・民俗・権力――民俗行事「娘々祭」の変容 一 日露戦争から満洲事変まで 二 満洲国時代の「娘々祭工作」 三 小 結 第9章 ポストコロニアルな「再会」――満洲観光の戦後史 一 「再会」までの「空白」と「時差」 二 記憶の拮抗 三 記憶の共振 四 記憶の感染 五 記憶の流用 六 小 結 終 章 一 「帝国の舞台装置」――観光を生み出す政治とポスト帝国の記憶再編 二 「まなざしの交響曲」――観光が生み出す政治と経験の多層性 三 「近代の万華鏡」――帝国、近代、観光の相互浸透 四 「経験の交差点」――重なりあう経験としての満洲観光 注 あとがき 索 引

本文紹介

満洲における「帝国の物語」は観光を通じてどのように紡がれてきたのか。人々の欲望と記憶の背後に潜む政治的意図を解明する。

抜粋:観光という近代的営為を通じて、満洲における「帝国の物語」はどのように紡がれ、満洲国崩壊後の「失われた帝国への郷愁」はどのように醸成されたのか。観光が生み出した欲望と記憶の背後に潜む政治的意図を解明し、個人と国家、そしてその間に立つ満鉄や在満県人会などさまざまな主体の思惑が絡み合う複雑な構造を明らかにする。