書籍詳細

書籍のレビュー・概要

国家がボランティアを支援する制度があり、毎年数万人が参加する国、ドイツ。ナチス時代の負の遺産と戦い、個人の自発性の尊重を目指してきた挑戦の軌跡から、ボランティアと社会とのあるべき関係を見つめ直す。

権利としてのボランティア

Takumi ブックス

権利としてのボランティア

ドイツ 「参加政策」の挑戦

著者・関係者
渡部 聡子 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/02/13
体裁
四六・上製 ・244頁
ISBN
9784000616805
在庫状況
在庫あり

価格:3,630 円

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著者略歴

  • 渡部聡子(わたなべ・さとこ) 1982年北海道生まれ.北海道大学文学部卒業,東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了,博士(学術).東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究センター特任研究員などを経て,現在,北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院助教.専門は現代ドイツ政治,ボランティア支援政策. 主な論文に「ドイツの『物言うボランティア』――学校外政治教育としての実践と課題」(『国際広報メディア・観光学ジャーナル』第36号,2023年),「ドイツのボランティア支援政策における社会的包摂の展開――2019年の法改正プロセスを中心に」(『ヨーロッパ研究』第21号,2021年)など.

目次

  1. はじめに――ボランティア支援政策が問いかけるもの 第1章 なぜボランティアを支援するのか――日独の事例から 1 日本のボランティア支援政策 JICA海外協力隊 一年間ボランティア計画 2 ドイツのボランティア支援政策 「ボランティア制度」の種類 歴史的展開 参加者の待遇 運営にかかわる団体 資金構造 3 訳語をめぐる検討 第2章 負の過去と向き合う――ボランティア支援の歴史的展開 1 なぜボランティアの制度化が実現したのか 自発性から義務へ――ナチ政権下の展開 一九六四年の法制化プロセス――戦後ドイツにおけるボランティア制度の成立 2 象徴的政策としての環境保護――一九九三年の法制化プロセス 州レベルにおける導入の試み 連邦レベルにおける議論 3 徴兵制停止後を見据えて――二〇〇二年法改正にみる集権化 州における民間役務法一四c条の影響 4 二〇一一年の歴史的転換――変わる政策的期待 徴兵制停止に向けた議論の展開 連邦ボランティア制度の導入プロセス 5 支援と干渉の隘路で――「自発性」をめぐる議論の変容 第3章 物言うボランティア――政治教育との接続 1 デモ行進するボランティア 2 ボランティアの政治性とその社会的受容 3 学校外政治教育としてのボランティア 4 ボランティア制度における政治教育の実践 環境保護団体による理論的基盤の提供 政治教育の担い手としてのボランティア 5 「物言うボランティア」を目指す教育の課題 第4章「承認の文化」に向けて――社会的包摂か、格差の再生産か 1 「誰一人取り残されない」政策の理想と現実 2 ボランティア制度をめぐる議論の展開 先行事例としての連邦ボランティア制度 「不利な状況にある若者」をめぐる議論 「承認の文化」を目指すロビー活動 奉仕義務への対抗 3 二〇一九年法改正における「社会的包摂」 就労・職業訓練との関係 若者の教育政策としての意義 「承認の文化」との乖離 右翼ポピュリズム政党と奉仕義務 4 法改正後の課題――ボランティア支援は社会的包摂に寄与するか 第5章 なぜ義務化が支持されるのか――揺れるボランティア制度 1 繰り返される「義務化」の議論 2 ボランティアは誰のものか――リベラルな価値と制度設計 3 コロナ禍における議論――奉仕義務をめぐって 徴兵制再開 奉仕義務をめぐる議論 連邦軍の「ボランティア制度」? 4 「義務化」支持者の論理――政治的合意の継続と変容 おわりに――政策から「ボランティア」を考える あとがき 注 関連年表 索引

本文紹介

個人の〈努力〉に頼らず社会へ貢献するために

抜粋:国家がボランティアを支援する制度があり、毎年数万人が参加する国、ドイツ。ナチス時代の負の遺産と戦い、個人の自発性の尊重を目指してきた挑戦の軌跡から、ボランティアと社会とのあるべき関係を見つめ直す。