書籍詳細

書籍のレビュー・概要

『失われた時を求めて』は幾重もの謎に包まれている。──長篇はいかに誕生したのか? 対比されているのはスワン家とゲルマント家なのか? ヒロイン・アルベルチーヌはなぜ捉えどころがないのか? 「私」という一人称の仕掛けとは?──小説と批評を総合した希有なる作品の隠された構造を、草稿研究の先駆者が精緻に読み解く。

『失われた時を求めて』の謎

Takumi ブックス

『失われた時を求めて』の謎

隠された構造を探る

著者・関係者
吉川 一義 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/01/29
体裁
A5・上製 ・460頁
ISBN
9784000222471
在庫状況
在庫あり

価格:7,480 円

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著者略歴

  • 吉川一義(よしかわ・かずよし) 1948年,大阪市生まれ.東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学.パリ・ソルボンヌ大学博士.京都大学名誉教授. 著書:『プルースト美術館』(筑摩書房),『プルーストの世界を読む』『プルーストと絵画』(ともに岩波書店),Proust et l'art pictural(Champion,バルベック=カブール・プルースト文学サークル文学賞,日本学士院賞・恩賜賞),『『失われた時を求めて』への招待』(岩波新書),『絵画で読む『失われた時を求めて』』(中公新書),Relire, repenser Proust(Collège de France). 共編著:Index général de la Correspondance de Marcel Proust(京都大学学術出版会),『ディコ仏和辞典』(白水社),Proust, la littérature et les arts(Champion)ほか. 翻訳:バレス『グレコ──トレドの秘密』(筑摩書房),タディエ『評伝プルースト』(筑摩書房),プルースト『失われた時を求めて』(全14巻,岩波文庫,日仏翻訳文学賞特別賞),『『失われた時を求めて』名文選』(編訳,岩波書店)ほか.

目次

  1. まえがき 第一部 大長篇誕生の謎 第一章 まぼろしの初稿の発見──「七十五枚の草稿」を読む 第二章 小説と批評の総合──『サント=ブーヴに反論する』の未完の構想 第三章 増殖する長篇──終わりなき加筆をたどる コラム1 レオニ叔母の「椎骨」──ジッドによる出版拒否 第二部 作品の構造をめぐる謎 第四章 社交界に君臨する人びと──貴族・ブルジョワ・ユダヤ人 第五章 ジュヌヴィエーヴ・ド・ブラバンの幻灯──コンブレーとゲルマントをつなぐ伝説 第六章 画家ベノッツォ・ゴッツォリ──「コンブレー」から『囚われの女』への四極構造 コラム2 フロイトの時代──スワンの「夢」を分析する 第三部 芸術と芸術家をめぐる謎 第七章 キク、乃木将軍、浮世絵、水中花──ジャポニスムへのまなざし 第八章 ギリシャの彫刻とエジプトのミイラ──偶像崇拝と分身について 第九章 作中の芸術家たち──エルスチールを中心に コラム3 厳寒のパリにプルーストとモローを訪ねる 第四部 恋心と性愛をめぐる謎 第十章 情熱と冷静──恋心を語る自由間接話法 第十一章 ジッドとプルーストの対話──『コリドン』から『ソドムとゴモラ』へ 第十二章 「サディストは悪の芸術家である」──ヴァントゥイユ嬢の純粋さ コラム4 ニジンスキーの跳躍──作家の見たバレエ・リュス 第五部 作家の方法をめぐる謎 第十三章 パリの物売りの声──フィクションか批評か 第十四章 ゴンクール兄弟の「未発表の日記」──文体模写とフェティシズム 第十五章 第一次大戦下のパリ──反リアリズムの方法 コラム5 プルーストの墓(二〇二二) 終 章 深まる謎コラム 『失われた時を求めて』の梗概 初出一覧 あとがき 注 参考文献一覧 図版出典一覧 人名索引

本文紹介

大長編はどのように誕生し、いかなる構造と特色をもつのか? 幾重にも秘められた謎を読み解き、汲めども尽きぬその魅力に迫る。

抜粋:『失われた時を求めて』は幾重もの謎に包まれている。──長篇はいかに誕生したのか? 対比されているのはスワン家とゲルマント家なのか? ヒロイン・アルベルチーヌはなぜ捉えどころがないのか? 「私」という一人称の仕掛けとは?──小説と批評を総合した希有なる作品の隠された構造を、草稿研究の先駆者が精緻に読み解く。