書籍のレビュー・概要
情報社会を支えるコア技術として広く用いられている暗号。その安全性は様々な数学問題の困難性によって保証されており、将来にわたり安全に利用するためには困難性の正確な評価が重要となる。安全性評価の観点で、現在広く活用されているRSA暗号や楕円曲線暗号から、近年注目を集める耐量子計算機暗号まで紹介する。 著者からのメッセージ 暗号の安全性は,興味深いことに,素因数分解などさまざまな数学問題の計算困難により確保されている.将来にわたり暗号を安全に利用するためには,想定される攻撃者の解読能力の進歩も考慮しながら,これらの数学問題の困難性を正確に評価することが重要となる. 本書の特徴としては,公開鍵暗号の鍵長に関する評価方法,基本的な高速実装法や実装攻撃を解説している点が挙げられる.特に,数体篩法による準指数時間のアルゴリズムを述べて,RSAや楕円曲線暗号の鍵長に関する評価方法の要点を説明した.また,耐量子計算機暗号の代表的な方式の原理と安全性を概説して,米国標準技術研究所NISTによる標準化活動に関しても紹介した.最後に,格子暗号に関しては,最短ベクトル問題に対する高速求解法を述べた後に,安全な暗号パラメータの導出方法まで紹介している. 現代暗号は,我々の生活の多くの場面で利用されており,情報社会の安全性を支えるコア技術として重要性を増している.ぜひ,安全な未来社会を実現する基盤として,本書を役立てて欲しい.