書籍詳細

書籍のレビュー・概要

情報社会を支えるコア技術として広く用いられている暗号。その安全性は様々な数学問題の困難性によって保証されており、将来にわたり安全に利用するためには困難性の正確な評価が重要となる。安全性評価の観点で、現在広く活用されているRSA暗号や楕円曲線暗号から、近年注目を集める耐量子計算機暗号まで紹介する。 著者からのメッセージ 暗号の安全性は,興味深いことに,素因数分解などさまざまな数学問題の計算困難により確保されている.将来にわたり暗号を安全に利用するためには,想定される攻撃者の解読能力の進歩も考慮しながら,これらの数学問題の困難性を正確に評価することが重要となる. 本書の特徴としては,公開鍵暗号の鍵長に関する評価方法,基本的な高速実装法や実装攻撃を解説している点が挙げられる.特に,数体篩法による準指数時間のアルゴリズムを述べて,RSAや楕円曲線暗号の鍵長に関する評価方法の要点を説明した.また,耐量子計算機暗号の代表的な方式の原理と安全性を概説して,米国標準技術研究所NISTによる標準化活動に関しても紹介した.最後に,格子暗号に関しては,最短ベクトル問題に対する高速求解法を述べた後に,安全な暗号パラメータの導出方法まで紹介している. 現代暗号は,我々の生活の多くの場面で利用されており,情報社会の安全性を支えるコア技術として重要性を増している.ぜひ,安全な未来社会を実現する基盤として,本書を役立てて欲しい.

現代暗号理論

Takumi ブックス

現代暗号理論

著者・関係者
高木 剛 著
カテゴリ
自然科学書
刊行日
2024/10/17
体裁
A5・上製 ・268頁
ISBN
9784000299381
在庫状況
在庫あり

価格:7,040 円

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著者略歴

  • 高木 剛(たかぎ・つよし) 1969年生まれ. 1995年名古屋大学大学院理学研究科数学専攻 修士課程修了. Dr.rer.nat.(ダルムシュタット工科大学情報科学部). 現在 東京大学大学院情報理工学系研究科教授. 専門 暗号理論.

目次

  1. まえがき 1 現代暗号基本技術 1.1 公開鍵暗号とディジタル署名 1.2 安全性モデル 1.3 安全性証明可能方式 1.4 その他の基本暗号技術 1.4.1 ハッシュ関数 1.4.2 ワンタイム署名 1.4.3 秘密分散 2 RSA暗号 2.1 整数の剰余環 2.2 RSA暗号 2.2.1 RSA暗号の安全性 2.2.2 RSA署名 2.2.3 冪乗算 2.2.4 Euclid互除法 2.3 素数生成法 2.3.1 Fermat素数判定法 2.3.2 Miller-Rabin素数判定法 2.4 素因数分解法 2.4.1 Pollard ρ法 2.4.2 Pollard p−1法 2.4.3 ランダム2乗法 2.4.4 数体篩法 2.4.5 安全な桁長評価 2.5 高速実装アルゴリズム 2.5.1 Montgomery乗算 2.5.2 Sliding Window法 2.5.3 中国剰余定理法(RSA-CRT) 2.6 RSA暗号のさらなる安全性評価 2.6.1 gcd(m, n)>1 の確率 2.6.2 再暗号化攻撃 2.6.3 低暗号化冪攻撃 2.6.4 低秘密鍵冪攻撃 2.6.5 RSA暗号に対する実装攻撃 2.6.6 最下位ビットの安全性 2.7 分散署名と準同型暗号 2.7.1 分散署名 2.7.2 準同型暗号 3 離散対数問題ベース暗号 3.1 DH鍵共有方式とElGamal暗号 3.1.1 ElGamal署名 3.1.2 高速冪乗算 3.1.3 乱数kの安全性 3.1.4 否認不可署名 3.2 離散対数問題の困難性 3.2.1 Pohlig-Hellman法 3.2.2 Baby-step-Giant-step(BSGS)法 3.2.3 Pollard ρ法 3.2.4 指数計算法 3.2.5 数体篩法 3.3 楕円曲線暗号 3.3.1 楕円曲線暗号の安全性 3.3.2 効率的な計算座標 3.3.3 符号付きバイナリ法 3.3.4 実装攻撃に対するランダム化 3.4 IDベース暗号 3.4.1 IDベース暗号の安全性と数学問題 3.4.2 双線形ペアリング写像の計算法 3.4.3 高機能暗号 4 耐量子計算機暗号 4.1 耐量子性を有する数学問題 4.2 NIST PQC標準化プロジェクト 4.3 格子暗号 4.4 多変数多項式暗号 4.5 同種写像暗号 4.6 符号暗号 4.7 ハッシュ関数署名 5 格子暗号 5.1 格子の基本性質 5.1.1 格子基底と基底行列 5.1.2 Gram-Schmidt直交化と格子の体積 5.1.3 最短/最近ベクトル問題 5.2 SVP/CVPの解法 5.2.1 Gauss 基底縮約法 5.2.2 LLL基底縮約アルゴリズム 5.2.3 Babai最近平面法 5.2.4 列挙法 5.2.5 BKZアルゴリズム 5.2.6 篩法 5.2.7 SVP解読チャレンジ 5.3 LWE問題ベース格子暗号 5.3.1 LWE問題 5.3.2 埋め込み法 5.3.3 鍵共有方式と安全性評価 5.3.4 安全なパラメータの導出 参考文献 索 引

本文紹介

情報社会を支える暗号の安全性は数学問題の困難性により保証される。普及している暗号から次世代暗号までの理論と技術を紹介。

抜粋:情報社会を支えるコア技術として広く用いられている暗号。その安全性は様々な数学問題の困難性によって保証されており、将来にわたり安全に利用するためには困難性の正確な評価が重要となる。安全性評価の観点で、現在広く活用されているRSA暗号や楕円曲線暗号から、近年注目を集める耐量子計算機暗号まで紹介する。 著者からのメッセージ 暗号の安全性は,興味深いことに,素因数分解などさまざまな数学問題の計算困難により確保されている.将来にわたり暗号を安全に…