書籍詳細

書籍のレビュー・概要

韓国は儒教国家と称されるが、それは事実の半面に過ぎない。歴史の基底には、道徳を重んじ上昇志向の強いエリート層とは別に、力弱い周辺的存在たちが生きる世界があり、多様な共同体や信仰、祭礼、文化が根づいている。日常と抗争のはざまにある苦楽を交えた生活が社会を動かすエネルギーを生んでいく。その道程を描く。

朝鮮民衆の社会史

Takumi ブックス

朝鮮民衆の社会史

現代韓国の源流を探る

著者・関係者
趙 景達 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2024/08/20
体裁
新書・306頁
ISBN
9784004320302
在庫状況
在庫あり

価格:1,232 円

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著者略歴

  • 趙景達(チョキョンダル) 1954年東京生まれ 1977年中央大学文学部卒業.1986年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退.同大学人文学部助手を経て千葉大学文学部助教授・教授となり,2020年3月定年退職 専攻―朝鮮近代史・民衆史・思想史 著書―『近代朝鮮と日本』(岩波新書,2012年) 『植民地朝鮮と日本』岩波新書,2013年) 『朝鮮の近代思想』(有志舎,2019年) 『近代朝鮮の政治文化と民衆運動』(有志舎,2020年) 編著―『近代日朝関係史』有志舎,2012年) 『儒教的政治思想・文化と東アジアの近代』(有志舎,2018年) 共編―『岩波講座 東アジア近現代通史』(2010年) 『原典朝鮮近代思想史』(岩波書店,2021-22年)

目次

  1. まえがき 第1章 朝鮮社会の儒教化 1 儒教国家の誕生とその理念 朱子学革命と民衆 統治システムと理念 民衆の儒教化 賑恤と平均 2 儒教社会の現実と両班 儒教的民本主義の現実 両班と科挙 民衆の両班志向 両班文化 両班批判と士の精神 第2章 民衆の生活と文化 1 村と食の文化 朝鮮の村 村の秩序と共同組織 相互扶助の精神 「民人は食を以て天となす」 流民と盗賊 勤倹農民はいたか 2 村の賑わい 村祭と二重文化 正月の祭りと娯楽 労働と農楽 酒幕に集う人々 場市の概況 場市の喧噪 3 民衆の精神世界 正統と異端 巫俗の位相 仏教の位相 道教の位相 迷信と占卜 墓地風水と山訟 第3章 周縁的民衆の世界 1 賤民社会の諸相 賤民とは何か 奴婢という身分 消え行く奴婢 万神に仕える者たち 賤民化する僧侶 芸能民の諸相 仮面劇と唱劇 2 最下賤民白丁の悲哀 起源と由来 白丁と一般民衆 白丁の生活 身分と宿命 3 褓負商の社会 褓負商とは何か 起源と歴史 忠誠・団結・規律 褓負商と一般民衆 第4章 女性のフォークロア 1 宮女と妓生 囚われの宮女 妓生の由来 妓生の社会 官妓存廃論 妓生の格式 2 女性と婚姻 婚姻の風俗 儒教と女性 働く女性 早婚の悲劇 女性の再婚 3 女性の自由と宗教 大らかな女性たち アジールとしての寺院 女性宗教としての巫俗 閔妃と巫女真霊君 第5章 民衆運動の政治文化 1 不穏の時代 飢饉・疫病・変乱 困窮する民衆 『鄭鑑録』の世界 民訴の時代 勢道政治下の民衆 民衆宗教東学の誕生 2 民乱の時代 民乱と両班 三南大騒乱 民衆の国王幻想 民衆の外国人観 異端東学の教説 3 民衆反乱のフォークロア 反乱の大義 農民軍の進撃 地上天国の到来 逸脱する農民軍 女性戦士=李召史の悲劇 全琫準と民衆 第6章 近代化と民衆 1 甲午改革と民衆 一君万民政治 賤民の解放 奴婢の解放 真霊君の追放 警察と民衆 断髪令と民衆 2 新しい政治文化の誕生と民衆運動 大韓帝国と独立協会 女性運動の始まり 褓負商団の解体と独立協会 公論と民訴の行方 士意識の拡散 辺境の反乱 3 民衆の迷走と覚醒 大韓帝国の警察支配と民衆 近代文明と民衆 女性の近代教育 民衆ナショナリズムの高揚 義兵と民衆 キリスト教の大復興運動と民衆 第7章 周縁的民衆の覚醒 1 義賊の時代 活貧党の誕生 義賊の出自と掟 活貧党の作法 活貧党と民衆 反逆の論理 2 褓負商の近代 褓負商団の再興 増長する褓負商 排外主義と愛国 褓負商団の消滅 3 白丁の近代 解放と迫害 高宗と賤民 異形の白丁吉永洙 白丁の国民化 4 近代化と女性 「賢母良妻」論の成立 女性の国権回復運動 妓生の愛国精神 大韓帝国期の妓生 第8章 民衆の行方と現代 1 三・一運動と民衆 韓国併合と民衆 三・一運動の興起 祝祭としての三・一運動 旧白丁の三・一運動 三・一運動と女性 儒教的民衆観の転回 2 儒教国家の過去と現在 儒教国家の現実 這い上がりと分かち合いの社会 現代韓国の政治文化 あとがき 主要参考文献

本文紹介

歴史の基底には多様な信仰、祭礼、文化が根づいている。日常と抗争のはざまを生きる力弱い人々が社会を動かしていく道程を描く。

抜粋:韓国は儒教国家と称されるが、それは事実の半面に過ぎない。歴史の基底には、道徳を重んじ上昇志向の強いエリート層とは別に、力弱い周辺的存在たちが生きる世界があり、多様な共同体や信仰、祭礼、文化が根づいている。日常と抗争のはざまにある苦楽を交えた生活が社会を動かすエネルギーを生んでいく。その道程を描く。