書籍のレビュー・概要
被災者らの声を排し、行政主導の公共事業によって変質した地域――。はたして、これが「復興」と呼べるのだろうか。被災者当事者である執筆者らは、コミュニティの維持や故郷の再生に向け、3・11以降、活動と研究を重ねた。被災者不在の復興の実態や要因を問い直し、いま自分たちの言葉で、あるべき地域の未来を構想する。 ■ 推薦 赤坂憲雄 氏(学習院大学教授) 震災復興はまぼろしだった。被災・避難・被害の当事者は復興の現場から追われ、なき者とされた。加害当事者は生き残った。膨大な復興予算の多くはあまねく分配されたが、当事者には届かなかった。いま、そこには人なき荒野が広がり、巨大な防潮堤がそびえている。風評加害だなんて、暴力の追い討ちを許すな。遅くはない、見えない存在に貶められてきた、いまも避難している当事者たちの声に、身を寄せることにしよう。 小熊英二 氏(慶應義塾大学教授) 読みやすい本とはいえない。まとまりのよい本でもない。それでもこの本は、このような形でしか語れないことを扱っている。それは「復興という暴力」や「(なまじ知ったつもりになっている)不理解」に抗して、彼らが何を「取り戻そう」としているかを示すことである。読めば何かの異物のように、心と頭に残るものがあるだろう。 山内明美 氏(宮城教育大学准教授) 被災当事者を「風評加害者」と呼んで抑圧する動きのあることを、あなたは知っているだろうか。復興政策が当事者排除のうえで成立していることを、あなたはどれくらい知っているだろうか。