書籍詳細

書籍のレビュー・概要

アラブの春、欧州難民危機、ウクライナ戦争……。混迷する国際情勢のなかで存在感を増すトルコは、2023年、建国100年を迎えた。世俗主義と親イスラームが共存し、多様な対立軸が錯綜するトルコをエルドアンはどう舵取りしているのか。エルドアン時代の20年を100年の歴史に位置づけ、内政と外交から読み解く。

エルドアン時代のトルコ 内政と外交の政治力学

Takumi ブックス

エルドアン時代のトルコ 内政と外交の政治力学

著者・関係者
今井 宏平 著・岩坂 将充 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2023/11/22
体裁
A5・上製 ・222頁
ISBN
9784000223164
在庫状況
在庫あり

価格:5,280 円

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著者略歴

  • 今井宏平(イマイ コウヘイ) 1981年生まれ.日本貿易振興機構アジア経済研究所海外派遣員(在アンカラ).トルコのビルケント大学と中東工科大学に留学.中東工科大学国際関係学部博士課程および中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程修了.Ph.D.(International Relations. 中東工科大学),博士(政治学.中央大学).日本学術振興会特別研究員(PD),アジア経済研究所研究員を経て,現職.専門は現代トルコ外交・国際関係論.著書に『トルコ現代史――オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで』(中公新書,2017年)などがある. 岩坂将充(イワサカ マサミチ) 1978年生まれ.北海学園大学法学部政治学科教授.トルコのビルケント大学大学院経済社会科学研究科政治学専攻博士課程に留学.上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士後期課程満期退学後,日本学術振興会特別研究員(PD),同志社大学高等研究教育機構准教授,北海学園大学法学部准教授を経て,現職.博士(地域研究.上智大学).専門は現代トルコ政治研究,比較政治学,中東イスラーム地域研究.著書に『よくわかる比較政治学』(共編著,ミネルヴァ書房,2022年)などがある.

目次

  1. 序 章 「エルドアン時代」とは 第Ⅰ部 エルドアン時代の幕開け 2000年代 第1章 2000年代の内政――世俗主義体制との対決と「国民」の政治 1 AKPと世俗主義体制 (1)AKPとそのルーツ (2)AKPの位置づけ 2 政権運営と「民主化」による世俗主義体制との戦い (1)2002年議会選挙での勝利と政権運営 (2)体制と「国民」のアタテュルク主義 3 世俗主義体制から「国民」の政治へ (1)憲法裁判所における2つの裁判 (2)2010年改憲と世俗主義体制清算の試み 小 括 第2章 2000年代の外交――柔軟な理想主義 1 「中心−周辺」関係と外交 (1)「中心−周辺」関係の概念 (2)「中心−周辺」関係と西洋化 2 親イスラーム政党の外交 (1)エルバカンの反欧米路線 (2)エルバカン外交の具体化とその限界 3 2000年代のAKPの外交 (1)外交の先導者――ダヴトオールを中心に (2)ダヴトオールの外交指針 小 括 第3章 2000年代の内政と外交のリンケージ 1 EU加盟交渉とトルコ (1)1990年代後半〜2000年代前半のトルコとEUの関係 (2)軍の力を制限したEU加盟交渉 2 保守民主主義というモデル (1)保守民主主義とは (2)BMENAにおける民主主義のモデル (3)「アラブの春」における民主主義のモデル 第Ⅱ部 深化するエルドアン時代 2010年代 第4章 2010年代の内政――政治の個人化への歩み 1 内政の新たな展開 (1)2011年議会選挙と抑圧傾向の始まり (2)2013年抗議運動 2 政治の非制度的個人化 (1)司法・軍への支配と2014年大統領選挙 (2)2015年6月・11月議会選挙とトルコ民族主義の強化 3 政治の制度的個人化としての大統領制 (1)2016年クーデタ未遂事件と「テロとの戦い」 (2)2017年改憲国民投票 (3)2018年大統領選挙・議会選挙 小 括 第5章 2010年代の外交――理想主義から現実主義へ 1 ダヴトオール外交の転換――人道外交 (1)TİKAの援助政策 (2)高まるアフリカでのトルコの存在感 (3)第4回LDC会議と世界人道サミット 2 機能不全に陥ったダヴトオール・ドクトリン (1)シリア内戦による脅威の高まり (2)ヨーロッパ難民危機とダヴトオールの退場 3 エルドアンの外交政策 (1)エルドアン外交の特徴 (2)ロシアとの関係改善とシリアへの対応 4 チャヴシュオールの外交政策への貢献 (1)チャヴシュオールの人物像 (2)裏方に徹した外相 小 括 第6章 2010年代の内政と外交のリンケージ 1 外交の内政への活用 (1)内政ファースト外交 (2)内政ファースト外交の事例 2 外交によるトルコ・ナショナリズムの高揚 (1)トルコ人のナショナル・アイデンティティ (2)ギリシャとの関係悪化とナショナリズムの高揚 (3)北キプロスとトルコ・ナショナリズム (4)シリア内戦の内政への影響 3 新オスマン主義 (1)新オスマン主義とは (2)新オスマン主義の類型 (3)保守層から支持を受けるエルドアンの新オスマン主義 第Ⅲ部 建国100年に向かうエルドアン時代 2020年代 第7章 2020年代の内政――個人化の代償と克服? 1 個人化への「揺り戻し」 (1)2019年地方選挙 (2)コロナ禍で問われた課題 2 「次の100年」に向けて (1)野党勢力の連携 (2)2023年大統領選挙・議会選挙 (3)大統領選挙・議会選挙の結果 (4)固定化する分断と権力 小 括 第8章 2020年代の外交――理想主義+現実主義 1 ターニング・ポイントとしてのトランプ退陣 (1)イスラエルとの関係改善 (2)エジプトとの関係改善 (3)サウジアラビアとの関係改善 (4)UAEとの関係改善 2 仲介者としてのトルコ (1)ウクライナとの関係 (2)ロシアとの関係 (3)トルコの仲介 小 括 第9章 2020年代の内政と外交のリンケージ 1 軍需産業の発展 (1)主な会社と政府の支援 (2)軍需産業発展の要因 2 トルコ外交の「軍事化」 (1)軍事化外交の特徴 (2)第二次ナゴルノ・カラバフ紛争 (3)ロシアのウクライナ侵攻 (4)2023年大統領選挙での軍需産業 3 ナショナリズムの高揚 (1)COVID-19をめぐる対中国関係 (2)アゼルバイジャンへのシンパシー (3)スウェーデンとフィンランドのNATO加盟交渉 終 章 エルドアン時代の政治力学――考察と含意 注 初出一覧 巻末付録 あとがき 人名索引・事項索引

本文紹介

混迷する国際情勢の中で存在感を増すトルコ。エルドアン時代の20年を建国100年の歴史に位置づけ、内政と外交から読み解く。

抜粋:アラブの春、欧州難民危機、ウクライナ戦争……。混迷する国際情勢のなかで存在感を増すトルコは、2023年、建国100年を迎えた。世俗主義と親イスラームが共存し、多様な対立軸が錯綜するトルコをエルドアンはどう舵取りしているのか。エルドアン時代の20年を100年の歴史に位置づけ、内政と外交から読み解く。