書籍詳細

書籍のレビュー・概要

今日、キリスト教は性に対して厳格、保守的であるといわれる。しかしキリスト教の長い歴史にあって、キリストは性をめぐって、じつにさまざまな姿で語られ、描かれてきた。ときに「クィア」と形容される性的嗜好を先取りし、ときにジェンダーをめぐっても攪乱されていく。人々の豊かな想像力が育んだ西洋美術の実相に迫る。

キリストと性

Takumi ブックス

キリストと性

西洋美術の想像力と多様性

著者・関係者
岡田 温司 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2023/10/20
体裁
新書・220頁
ISBN
9784004319924
在庫状況
在庫あり

価格:1,122 円

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著者略歴

  • 岡田温司(オカダ アツシ) 1954(昭和29)年,広島県に生まれる.京都大学大学院博士課程修了.京都大学名誉教授.現在,京都精華大学大学院特任教授.専門は西洋美術史,思想史. 著書 『モランディとその時代』(人文書院,2003年,吉田秀和賞受賞) 『マグダラのマリア』(中公新書,2005年) 『フロイトのイタリア』(平凡社,2008年,読売文学賞) 『デスマスク』(岩波新書,2011年) 『黙示録』(岩波新書,2014年) 『映画は絵画のように』(岩波書店,2015年) 『西洋美術とレイシズム』(ちくまプリマー新書,2020年) 『最後の審判』(中公新書,2022年) 『ネオレアリズモ』(みすず書房,2022年) 『反戦と西洋美術』(ちくま新書,2023年) ほか多数.

目次

  1. はじめに Ⅰ クィアなキリスト 1 キリストとヨハネ 「最後の晩餐」のなかの使徒ヨハネとイエス イエスとヨハネのツーショット 「イエスの愛しておられた弟子」ヨハネ 師との「愛」をめぐる弟子たちの葛藤――ヨハネとペテロの場合 外典のなかのヨハネ マグダラのマリアの愛を捨ててイエスのもとに走るヨハネ カップルにしてライヴァル、似た者同士の使徒ヨハネとマグダラのマリア ガニュメデスとしてのヨハネ ソドムの罪 2 イスカリオテのユダとキリスト ユダは本当に裏切り者なのか ユダをめぐる解釈の葛藤 外典『ユダの福音書』 イエスとユダのどこかクィアな関係――スコセッシの『最後の誘惑』 もうひとりのユダ――ノーマン・ジュイソンの『ジーザス・クライスト・スーパースター』 ユダはなぜイエスにキスしたのか ユダのキスのさまざまなかたち クィアな口づけ カイン+モーセ+オイディプス=イスカリオテのユダ もうひとりのユダ 3 マリアとキリスト 娘エクレジアを生む母キリスト マリア・エクレジアの子宮 花嫁マリアと花婿イエス ジェンダーをまたぐ「花嫁」 母マリアと子キリストの結婚 Ⅱ 交差するジェンダー 4 もしもキリストが女性だったら 女性のキリスト――「クリスタ」 十字架のイエスの異性装 ウィルゲフォルティスのモデル――ルッカの《聖顔》の異性装 中世におけるさまざまな異性装 異性装の聖人たち 女教皇ヨハンナ 5 「傷(ウルヌス)」、「子宮(ウルウァ)」、「乳首(ウベル)」 女性器としてのキリストの傷 護符としての女陰と男根 イエスの割礼と包皮 聖遺物としてのイエスの包皮 傷のなかへと入る 豊かな乳房をもつキリスト 「あなたの乳房はぶどう酒にもまして快く」 両性具有としてのキリスト 6 「スピリット」とは何か 「聖霊」のかたち 「聖霊」のジェンダー、男性性と女性性の揺れ 「カリタス」としての聖霊 「ソフィア(知恵)」としての聖霊、あるいは神の女性性 グノーシス主義の「ソフィア」 「聖霊」と聖母マリア 女性としての聖霊 三位一体と聖母戴冠 三位一体を包み込むマリアの子宮 おわりに 参考文献

本文紹介

西洋美術は正統な神学とともに民衆の信仰を養分として展開した。そこから生まれたのは例えばクィアなキリスト。多様な性に迫る。

抜粋:今日、キリスト教は性に対して厳格、保守的であるといわれる。しかしキリスト教の長い歴史にあって、キリストは性をめぐって、じつにさまざまな姿で語られ、描かれてきた。ときに「クィア」と形容される性的嗜好を先取りし、ときにジェンダーをめぐっても攪乱されていく。人々の豊かな想像力が育んだ西洋美術の実相に迫る。