書籍詳細

書籍のレビュー・概要

コロナ禍の下、ケア的労働を担う女性たちの雇用危機はいかに無いことにされ、放置されてきたのか。社会に埋め込まれた「不可視化と沈黙」を生み出す「六つの仕掛け」を丹念に洗い出し、当事者たちの懸命の模索をたどる。

女性不況サバイバル

Takumi ブックス

女性不況サバイバル

著者・関係者
竹信 三恵子 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2023/07/20
体裁
新書・270頁
ISBN
9784004319818
在庫状況
在庫あり

価格:1,100 円

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著者略歴

  • 竹信三恵子(タケノブ ミエコ) ジャーナリスト,和光大学名誉教授.朝日新聞社記者,和光大学教授などを経て,現職.NPO法人官製ワーキングプア研究会理事.2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞.『ルポ雇用劣化不況』で2009年度日本労働ペンクラブ賞受賞.2022年『賃金破壊』で日隅一雄・情報流通促進賞特別賞. 著書:『ワークシェアリングの実像』『ミボージン日記』(岩波書店),『ルポ雇用劣化不況』『家事労働ハラスメント』(以上,岩波新書),『女性を活用する国,しない国』『災害支援に女性の視点を!』(共編著)『官製ワーキングプアの女性たち』(共編著)(以上,岩波ブックレット),『ルポ賃金差別』(ちくま新書),『正社員消滅』(朝日新書),『10代から考える生き方選び』(岩波ジュニア新書),『賃金破壊』(旬報社)ほか多数.

目次

  1. 序 章 「女性発」の見えない脅威 国連が発した警告 張り巡らされる不可視化の仕組み 「女性不況」被害の幅広いすそ野 第1章 「夫セーフティネット」という仕掛け 1 シフト制パート女性の反乱 サービス産業に広がったシフト制 「シフトなし」は「契約なし」? 「週一日勤務」でも失業ではない 2 「家計補助」のトリック 解雇も失業も見えない働き方 夫(父)セーフティネットと家計補助 「大黒柱型」から「多就業型」へ 3 一斉休校と「子育て緊急事態宣言」 母子軽視の「右へならえ」政策 「子育て緊急事態宣言」 第2章 「ケアの軽視」という仕掛け 1 感染拡大下での学童保育指導員雇い止め 専門的意見を述べたら「反抗的」 切り離される「ケア的公務」 2 「保健師増やして」キャンペーン 保健所の統廃合のなかで 職場と家族の板挟み 搾取される資格職の使命感 3 「三密」の連続、上がらない報酬 実態と乖離した要請の連鎖 保育なしで医療現場も動かない 届かない「三%アップ」 4 会計年度任用職員の登場 ダブルワークでしのぐ 「マタハラの制度化」効果 第3章 「自由な働き方」という仕掛け 1 キャバクラの女性たちの「雇用回復」 「夜の街」の女性が労働実態アンケート 政府の除外が招いた風俗女性バッシング 「華やかさ」と「自由」が隠す窮迫 2 脆弱雇用ほど手薄な支え 「個人事業者」扱いの罠 渋谷ホームレス殺人事件への道 3 フリーランスを素通りした育児支援 個人申請の休校補償にも壁 自由を選んだら無保障は我慢? 仕事を口実に繰り返されたセクハラ行為 第4章 「労働移動」という仕掛け 1 就労支援の先の劣悪雇用 仕事探しの際の経済不安 「回転寿司型就労」の陰にDV 2 「資格」の限界 高度な資格が逆に壁 デンマークの「労働移動」との落差 置き去りにされる中高年女性 3 「正規化」にも限界 正社員数押し上げた福祉業界 マタハラ解雇の影 客室乗務員に最賃割れの恐れ 第5章 「世帯主主義」という仕掛け 1 「簡素」「迅速」ではなかった世帯主支給 届くまでに一年九か月 混乱招いた「受給権者は世帯主」 2 繰り返される給付金差別 子どもへの給付金でも問題化 三〇年以上にわたる攻防 暮らしへの公費の出し渋り 3 子どもや少女に広がる被害 困窮する子どもたち 少女たちの家庭脱出 家庭の外に逃げ場がない 暮らしを立て直す居場所 第6章 「強制帰国」という仕掛け 1 「外国人切り」も女性から 子どもの発熱で休んだら解雇 妊娠告げたら解雇 2 二つの「派遣切り」の温度差 繰り返された「派遣村」の構図 見えなくさせるからくり 「自己責任型コロナ対策」の歪み 境界線の両側をつなぐ動きと「支援崩壊」 3 「入れ替え装置」に挑む 「妊娠したら帰国」という「常識」 前向きの会社に、国が待った 「取り替えれば済む」という安易さ まるで「労働者ロンダリング」 第7章 新しい女性労働運動の静かな高揚 1 「夫」の外にセーフティネットを作る 札幌の訴えが生んだ個人申請の休校補償 2 実態に合ったルールを作る 厚労省の「留意事項」の背中押す 公務員労組の三三条キャンペーン 3 「よい労働移動」を目指して 非正規公務から民間シェルターへ 五〇代で正社員に......でも限界 4 動き出す若い世代 「生理」「更年期障害」が政策課題に 海外への道ふさがれ視線が内に 「やさしいこぶしの振り上げ方」 終 章 「沈黙の雇用危機」との闘い方 1 作られた「女性不況」 「沈黙の雇用危機」とは何か 「六つの仕掛け」はどう機能したか 「生きないように、死なないように」 2 男性労働問題の核でもある女性労働問題 「戦争する国」から生まれた仕組み 「家計補助」論が生んだ「賃下げ国家日本」 返す刀で作られる男性の不幸 3 「使えるもの」を掘り起こす ステルスな戦時体制が生んだ「柊衡」 「マスメディア」の二つの顔 コミュニティを掘り起こす おわりに 主要引用・参照文献一覧

本文紹介

コロナ禍下,女性たちの雇用危機はいかに蔑ろにされたのか.「六つの仕掛け」を洗い出し,当事者たちの懸命の模索をたどる.

抜粋:コロナ禍の下、ケア的労働を担う女性たちの雇用危機はいかに無いことにされ、放置されてきたのか。社会に埋め込まれた「不可視化と沈黙」を生み出す「六つの仕掛け」を丹念に洗い出し、当事者たちの懸命の模索をたどる。