書籍詳細

書籍のレビュー・概要

医療と介護は身近でありながら、関連する法制度は複雑である。病院での医療事故、医療安全、医療のキーパーソンと後見人制度、医療と介護の連携、診療データの利活用、医学研究の倫理、人生最終段階の医療など――。それらをめぐる法制度を、国内外の例とともに語る。激変する医療と介護をより深く理解するための1冊。

医療と介護の法律入門

Takumi ブックス

医療と介護の法律入門

著者・関係者
児玉 安司 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2023/07/20
体裁
新書・254頁
ISBN
9784004319795
在庫状況
在庫あり

価格:1,056 円

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著者略歴

  • 児玉安司(コダマ ヤスシ) 1958年生まれ.83年東京大学法学部卒業.91年新潟大学医学部卒業.アメリカ海軍横須賀病院インターン,司法修習生を経て,94年弁護士登録(第二東京弁護士会).95年シカゴ大学ロースクール修士課程修了(フルブライト留学生),シカゴとロンドンの法律事務所で勤務し,98年ニューヨーク州弁護士登録.2004年医学博士(新潟大学). 2004〜15年東京大学大学院医学系研究科特任教授.2015〜23年国立がん研究センター理事. 現在─一橋大学法科大学院客員教授(医事法),東京医科大学理事・評議員,東海大学客員教授,自治医科大学客員教授 著書─『生命倫理と法Ⅰ,Ⅱ』(共著,弘文堂),『医療の法律相談』(共編著,有斐閣),『患者の権利と医療の安全』(共著,ミネルヴァ書房),『医療安全と医事法』(共著,信山社)他

目次

  1. はじめに 医療と介護の場で法律が身近に 変貌していく医療と介護の法律 社会保障の「公助」「共助」「自助」 感染症法と新型インフルエンザ等対策特別措置法 この本でお話ししたいこと 第1章 医療と介護の法律 1 日本国憲法の中の医療・介護制度 自由の世界とその限界 公共の福祉の世界 社会保険の登場 2 医療法改正の軌跡 戦前の国民医療法 憲法、そして、医療法と医師法 超高齢社会を視野に入れた医療法改正の歩み 医療法の改正と一条の軌跡 医療法一条が示す今後の方向 第2章 医療安全と医療事故調査 1 医療事故、そして医療不信 一九九九年から激増した医療事故報道 きっかけは三つの事故報道 医療の問題点 「異状」を届けるということ 医療不信から医療崩壊へ 2 医療安全の始まり 増える医療過誤訴訟 医療の品質保証(QA) 品質改善(QI)へ 不注意やエラーを制御する方法 失敗から学ぶ組織文化、成功から学ぶ組織文化 誤注射事故を考える アメリカ学術会議報告「人は誰でも間違える」 「四万四〇〇〇人から九万八〇〇〇人」の根拠と批判 医療の不確実性 3 医療法改正 森報告書「医療安全推進総合対策」 高久報告書「今後の医療安全対策について」 4 医療事故調査制度 アメリカの医療事故調査の五つの側面 記録に対する姿勢の違い 内部討議の自由の保障 医師免許制度の違い 監察医などによる死因調査制度 日本のモデル事業の発足 医療の評価の方法 日本医療安全調査機構の発足 医療事故調査制度創設までの議論(1)検視との関係など 医療事故調査制度創設までの議論(2)無過失補償制度との関係など 第六次医療法改正と医療事故調査制度 第3章 医療訴訟を考える 1 損害賠償の原則 過失責任主義と金銭賠償の原則 金銭による塡補についての疑問 過失責任主義の困難 過失責任主義の例外 2 日本の民事医療訴訟 民事医療訴訟の件数の推移 最高裁の二一件連続破棄判決 司法制度改革と医療集中部の設置 医療訴訟の審理 専門知識の導入 鑑定という手続 和解の増加 3 医療ADR 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 医療ADRへの取り組み 4 無過失補償制度 フランスの選択 日本の無過失補償制度 医薬品副作用被害救済制度 第4章 超高齢社会の介護と医療 1 社会保障を支える社会的・経済的条件 ケインズ・ベヴァリッジ型福祉国家の構想 第二次世界大戦後の高度経済成長 低成長経済への対応 2 超高齢社会を前にした医療と介護の改革 医療の改革 介護の改革 家族の介護力 3 社会福祉基礎構造改革と介護保険 社会福祉基礎構造改革とは 社会保険としての介護保険 介護保険における「措置から契約へ」 成年後見制度の導入 「親亡き後」のサポート 「意思決定支援」という考え方 4 医療の同意 虐待防止法の制定 患者の「自己決定権」の二つの側面 「同意」をとること 5 医療機関の「応招義務」 医師法一九条の応招義務 医師法の仕組み 医師の業務独占 医師の「応招」義務 医療法との矛盾の拡大 患者側の思い 医師の働き方改革 令和元年医政局長通知による医師法の解釈変更 第5章 人生の最終段階の医療 1 二つの裁判例 名古屋高等裁判所昭和三七年一二月二二日判決 横浜地方裁判所平成七年三月二八日判決 誰がキーパーソンか 現場の直面している問題 「治療中止の是非」の問題の多様性 「尊厳死」 DNR 2 医療に関する司法判断と「ガイドライン」 いくら頑張っても、それ以上のことはできない 最高裁の判断と厚生労働大臣の判断 検察官の起訴便宜主義 3 ガイドラインの形成 終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン ガイドラインの改訂 4 アメリカにおける生命維持治療の中止や差し控え カレン・クインラン事件 ナンシー・クルーザン事件 生命倫理と司法制度の日米比較 5 残された課題 ひとりひとりの問題として社会全体で考える 第6章 倫理委員会と医学研究 1 人で試すということ 創薬や医療技術の開発と倫理委員会 安全性と有効性を確かめる手順――「治験」「臨床試験」 ナチスの人体実験とニュルンベルク綱領 ニュルンベルク綱領の残した課題 ジュネーブ宣言 ヘルシンキ宣言 ヘルシンキ宣言における同意 2 倫理委員会 タスキギー梅毒放置実験、そしてベルモント・レポート レイマン・コントロール ミレニアム・プロジェクト 研究倫理審査委員会の困難 レイマン・コントロールを超えて 3 利益相反(COI)の管理 他人の利益を第一にする「フィデュシアリー」 「情報」と「リスク」 「利益相反」 ムーア事件 経済的利益のバイアス 4 臨床研究法の制定と課題 相次ぐ研究不正 医学分野の研究不正の刑事事件 臨床研究法、特定臨床研究審査委員会、そして臨床研究中核病院 EUの工夫 アメリカ、FDAの工夫 元気の出る研究倫理を求めて 第7章 医療情報の利活用 1 医療情報の利活用は何をめざしているか 高度情報社会の医療 医療情報とプライバシー アメリカでのAI開発の例 2 海外の法制度の動向 OECDで最下位といわれた日本 患者自身への診療情報の提供 アメリカのHIPAA EUの一般データ保護規則 3 個人情報保護法と次世代医療基盤法 日本の個人情報保護法 同意原則とその例外 次世代医療基盤法 今後への期待 おわりに 主な参考・引用文献

本文紹介

医療事故、後見人制度、診療データの利活用、人生最終段階の医療等の法制度を国内外の例とともに語る。

抜粋:医療と介護は身近でありながら、関連する法制度は複雑である。病院での医療事故、医療安全、医療のキーパーソンと後見人制度、医療と介護の連携、診療データの利活用、医学研究の倫理、人生最終段階の医療など――。それらをめぐる法制度を、国内外の例とともに語る。激変する医療と介護をより深く理解するための1冊。