書籍のレビュー・概要
1848年11月。12歳のロッタは、ボストンの街をさまよっていた。祖国ドイツから約束の地にやってきたのに、父さんは酒びたりで仕事もうまくいかない。母さんが望む教育も、貧しい移民だから受けられない。失意の日々のなか、ロッタは貧民救済活動を行うオルコット一家と知り合い、自らの道を見つけだす。史実に基づいた成長物語。 ■訳者からのメッセージ 『ロッタの夢──オルコット一家に出会った少女』というタイトルをごらんになったとき、読者のみなさんは、「え、オルコット一家って?」と思われたことでしょう。でも、『若草物語』(1868年刊)の作者ルイザ・メイ・オルコットといえば、ご存知の方は多いと思います。この作品は、ドイツから移民としてアメリカへやってきた少女ロッタが、オルコット一家に出会ったという想定で書かれた、大変ドラマチックな物語です。 ロッタの家族は、19世紀半ばにドイツからアメリカのボストンへ逃げるようにやってきた移民です。大きな希望を抱いて海を渡ってきたものの、一家はつらく貧しい生活を余儀なくされていましたが、たまたまその頃、ボストンに住んでいたオルコット一家に出会ったことをきっかけに、新しい生活のスタートを切ることになるのです。オルコット一家が1848~49年にボストンのデッダム通りの地下の家に住んでいたのは事実です。けれども、ロッタはフィクションの少女ですから、ロッタとオルコット一家が実際に会ったわけではありません。つまり、この物語はフィクションとノンフィクションがまざりあっているところがおもしろく、ちょっとややこしいけれど、そこがとてもユニークなのです。 作者のノーマ・ジョンストンはルイザ・メイ・オルコットの伝記『ルイザ──若草物語を生きたひと』を書いていたときに、本書の構想を思いついたのでした。ルイザたちオルコット一家の暮らしぶりが生き生きと書かれているのは当然ですけれど、その一家にロッタの家族が出会うという 奇抜 なストーリーは、ジョンストンでなければ思いつかなかったのではないでしょうか。