書籍のレビュー・概要
日本本土・満洲で同時進行的に形成された「性の防波堤」。そこには国家や共同体によって多くの日本人女性が駆り出された。ジェンダー、セクシュアリティの視座から占領下の多様な性暴力の実態と構造を明るみに出すとともに、戦後史のなかに黙殺されてきた被害女性たちの生きざまを貴重な資料と証言に基づいて浮かび上がらせる。 ■「ロモーズの歌」 長野県送出の満蒙開拓団・大古洞開拓団にて、11歳のとき終戦を迎えた北村(旧姓:澤)栄美さん。開拓団は連日、ソ連兵による掠奪や強姦の被害にさらされるようになりました。ソ連兵が開拓団へやってきたとき、女性たちに身を隠すよう合図をするのは、栄美さんたち子どもの役割でした。命がけの毎日でも、ソ連兵が帰れば子どもたちは明るく開き直り、次のような替え歌さえ口ずさんでいました(歌・北村栄美)。 「ロモーズ * の歌」 今日も来る来る、ロモーズが/大和坂を 馬 で来る 女探しに来るのでしょ/おばさん、逃げる、その姿 ホントにホントにごくろうさん *開拓団員によるソ連兵の呼び名 ロモーズの歌 栄美さんの引揚体験については、本書第3章をご覧ください。