書籍詳細

書籍のレビュー・概要

教員七年目、松本サリン事件の現場から近い高校に転勤した著者が生徒たちと模索した教育実践、歴史総合の授業を充実させるための作戦(方法)を経て、学習指導要領の内容とはかなり異なる授業プラン、「世界史の学び方一〇のテーゼ」まで。国民国家とは何かを掘り下げ、世界史とは何かを探究し、自分を磨く特別授業。 2022年度から全国の高校で新科目「歴史総合」が始まりました。本書は、「歴史総合」をはじめとする歴史系の科目が深い学びになることを願って、「世界史とは何か」というテーマを考えます。読者として想定しているのは、高校教員だけでなく、歴史教育に関心をもってくださる一般市民の皆さん、教育に携わる皆さん、何より高校生・大学生の皆さんです。 現代日本では、国も都道府県教育委員会も、「変化の激しい予測困難な時代」の今は、これまでの教育のあり方が抜本的に変革されるべきだとして、パイロット校を次々作り、その実践例をもとに学校の教室に大改革を求めています。教育行政のことばが、パイロット校の成果を身にまとって、ノルマの指示であるかのように降ってくるのです。 私は、それにどうしてもなじめません。教室の学びとはこれまでに人類が蓄積してきた学問の宝庫を見つめつつ、人々の未来の幸せのために、それをどう活用していくかを探究するいとなみだと考えるからです。世界史はつねに「変化の激しい予測困難な時代」の連続であり、あえて現代を定義するならば、「人類が地球社会を未来に存続させることがより困難になっている時代」である現実のほうを見つめるべきだと思います。予測が困難なのではなく、生き続けていくことが困難なのです。私は、蓄積された学問を創造的に探究して、未来の困難に向かってどう生きるかを考えるような、新しい教育実践の挑戦を積み上げていきたいと考えています。 (「はじめに」より)

世界史とは何か

Takumi ブックス

世界史とは何か

「歴史実践」のために

著者・関係者
小川 幸司 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2023/06/20
体裁
新書・270頁
ISBN
9784004319191
在庫状況
在庫あり

価格:1,100 円

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著者略歴

  • 小川幸司(おがわ こうじ) 1966年生まれ.長野県伊那弥生ヶ丘高等学校教員.世界史教育.著書に『世界史との対話――70 時間の歴史批評』全3巻(地歴社,2011―12年)『岩波講座 世界歴史』(岩波書店,2021―)編集委員.『世界歴史01 世界史とは何か』責任編集.

目次

  1. はじめに 第1講 私たちの誰もが世界史を実践している 1 どうしても世界史を学びたかった経験 2 私たちの歴史実践と二つの世界史 第2講 世界史の主体的な学び方 1 歴史実践の六層構造 2 世界史という歴史実践の再検討 3 歴史対話の五つの方法 第3講 近代化と私たち 1 奴隷や女性を主語にした歴史叙述の試み 2 人種主義に着目して国民国家を再考する 第4講 国際秩序の変容や大衆化と私たち 1 不戦条約を世界史に位置付ける 2 戦争違法化の歴史から「問う私」を振り返る 第5講 グローバル化と私たち 1 二〇世紀後半の民族浄化と強制追放を見つめる 2 ガザ回廊から二一世紀の日本へ まとめ 世界史の学び方一〇のテーゼ おわりに

本文紹介

講座『世界歴史』編集委員・世界史教員の著者が贈る、シリーズ「歴史総合を学ぶ」最終巻となる特別授業。

抜粋:教員七年目、松本サリン事件の現場から近い高校に転勤した著者が生徒たちと模索した教育実践、歴史総合の授業を充実させるための作戦(方法)を経て、学習指導要領の内容とはかなり異なる授業プラン、「世界史の学び方一〇のテーゼ」まで。国民国家とは何かを掘り下げ、世界史とは何かを探究し、自分を磨く特別授業。 2022年度から全国の高校で新科目「歴史総合」が始まりました。本書は、「歴史総合」をはじめとする歴史系の科目が深い学びになることを願って、「世界…