書籍詳細

書籍のレビュー・概要

発見の裏には、たくさんのドラマがある! 子どもの頃から追い求めて、偶然見かけて――ちょっとした疑問が、深い探究へとつながっていく。舞台は身近な環境から遠く危険な未踏の地まで。虫、魚、貝、鳥、植物、菌など未知の生物との出会いにワクワクしながら、研究者たちの歩みを追体験。分類学の基礎も楽しく身につく、濃厚な入門書。

新種発見物語

Takumi ブックス

新種発見物語

足元から深海まで11人の研究者が行く!

著者・関係者
島野 智之 編著・脇 司 編著
カテゴリ
ジュニア新書
刊行日
2023/03/17
体裁
新書・270頁
ISBN
9784005009664
在庫状況
在庫あり

価格:1,232 円

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著者略歴

  • 島野智之(しまの・さとし) 法政大学国際文化学部/自然科学センター教授.横浜国立大学大学院工学研究科修了.博士(学術).専門は動物分類学(ダニ類・昆虫類を含む陸上節足動物と,原生生物).夢は昆虫学者だったが,ダニの分類学者の恩師と出会いダニの道へ.2017年日本土壌動物学会賞受賞,2018年日本原生生物学会賞受賞,2022年日本動物分類学会賞受賞.著書・論文多数.モットーは「命はすべてつながっている,つまらない生き物だからといって絶滅してよいはずはない」. 脇 司( わき・つかさ) 東邦大学理学部准教授.東京大学大学院農学生命科学研究科修了.博士(農学).専門は寄生虫の分類,生態,保全など.もともと貝が好きだったが,大学で貝の病気を研究したのがきっかけで寄生虫そのものを研究している.著書に『カタツムリ・ナメクジの愛し方─日本の陸貝図鑑』(ベレ出版),編著1冊.釣った魚をさばいて,その中から寄生虫を見つけ出すことが最近のライフワーク.あとの魚肉はちゃんと食べます. 今田弓女 (いまだ・ゆめ) 愛媛大学大学院理工学研究科助教.京都大学大学院人間・環境学研究科修了.博士(人間・環境学).専門は進化生態学.最近は昆虫だけでなく,鳥の生態や植物化石なども研究している. 少女時代から昆虫学者になるのが夢だったが,生物好き集団にもまれて興味の対象が広がった.2018年日本生態学会論文賞受賞など.世界中を旅して,だれも見たことのない昆虫や植物を見つけたい. 渡部晃平 (わたなべ・こうへい) 石川県ふれあい昆虫館学芸員.愛媛大学大学院農学研究科修了. 修士.専門は水生昆虫を対象とした自然史研究.物心がついた時から昆虫を愛し,そのまま大人になった.絶滅の危機に瀕している水生昆虫を保全するために研究を続けている.2020年日本甲虫学会奨励賞受賞,同年全国昆虫施設連絡協議会矢島賞奨励賞受賞.共著に『学研の図鑑LIVE 新版昆虫』(学研プラス)など.座右の銘は「塵も積もれば山となる」. 山本航平 (やまもと・こうへい) 栃木県立博物館研究員(維管束植物を除く植物・菌類担当).信州大学大学院総合工学系研究科修了.博士(農学).日本冬虫夏草の会理事,日本地下生菌研究会編集長.専門は菌類分類学(特に冬虫夏草と地下生菌).多くの方々との出会いに導かれ,昆虫→冬虫夏草→地下生菌→菌根菌と興味の幅を広げ,気づいた頃には研究者に.著書に『新種発見! 見つけて,調べて,名付ける方法』(分担執筆,山と溪谷社)など. 福田 宏( ふくだ・ひろし) 岡山大学学術研究院環境生命科学学域准教授.東京都立大学大学院理学研究科修了.博士(理学).専門は貝類分類学.5歳頃から貝類収集を開始し,そのまま研究者に.2018年日本動物学会動物学教育賞受賞.近著に『新種発見! 見つけて,調べて,名付ける方法』(共編著,山と溪谷社)など.偶然の邂逅,意表を突く因果関係,バタフライエフェクト的な予想外の伏線に衝き動かされて研究に取り組んでいる. 前田 健( まえだ・けん) 沖縄科学技術大学院大学海洋生態進化発生生物学ユニットスタッフサイエンティスト.琉球大学大学院理工学研究科修了. 博士(理学).専門は魚類の生活史や分類など.「魚は大きく分けて2 つ,ハゼと雑魚」と認識している.沖縄の川にはさまざまなハゼ類が生息しており,それらの生活史の全貌を明らかにしたいと思い研究を始めたが,名前の決まっていない魚が多すぎるため,分類にも取り組んでいる. 江田真毅 (えだ・まさき) 北海道大学総合博物館教授.博士(農学).筑波大学人文学類で考古学を,東京大学大学院農学生命科学研究科で生態学を,九州大学大学院比較社会文化研究院で分子生物学を学び,鳥取大学医学部では解剖学教育に携わる.各分野の視点・手法を取り入れながら,おもに遺跡から出土した鳥の骨を研究している. 2015年日本鳥学会黒田賞受賞.著書に『時間軸で探る日本の鳥』(共編著,築地書館),『考古学からみた北大キャンパスの5,000年』(共編著,中西出版)など. 田金秀一郎 (たがね・しゅういちろう) 鹿児島大学総合研究博物館特任助教.九州大学大学院生物資源環境科学府修了.博士(農学).専門は植物分類学.農学で学位を取得し,タイに在住してサトウキビの育種に取り組むも,そこで出会った圧倒的な東南アジアの植物の多様性に魅了され,植物分類学の道へ.2018年日本植物分類学会奨励賞受賞,2019年松下幸之助記念奨励賞受賞.生涯を通して世界中を旅し,各地の植物を見るために研究を続けている. 藤田喜久 (ふじた・よしひさ) 沖縄県立芸術大学全学教育センター教授.琉球大学大学院理工学研究科修了.博士(理学).専門は海洋生物学(特に甲殻類と棘皮動物の生物学).寒いところが苦手なので,沖縄で海洋生物研究の道へ.多様な生物たちから心地よい生き方について学んでいる.今のところ,生まれ変わったらナマコになりたいと考えている.日本甲殻類学会(2017年)・沖縄生物学会(2012年)などの学会賞受賞歴あり.モットーは「とりあえずやってみる.考えるな,感じろ」. 渡部裕美 (わたなべ・ひろみ) 国立研究開発法人海洋研究開発機構准研究主任.東京大学大学院理学系研究科修了.博士(理学).専門は海洋生態学.特に深海熱水噴出域という特殊な環境に生息する無脊椎動物(おもに甲殻類や貝類)が新しい生息地にたどり着き,多様化していく過程を研究している.全容の把握が難しく,変わった生き物が多いと思われている深海だからこそ見ることができる,生命や生態系に普遍的な現象を明らかにしていくことを目標にしている.

目次

  1. はじめに 第1章 コケのじゅうたんのなかで生きる、誰も知らない虫たち………今田弓女 ──ジャゴケシトネアブとイカワタカネコバネ 多様性を秘めたミクロな森 進路は「昆虫学者」 予想外に幕を開けた研究生活 太古のガの暮らしを探る 見習いフィールドワーカーになる 食性の進化という壮大な歴史を追う 誰もやっていないことをおもしろくする コケのなかにトンネルを掘るシトネアブ 初めての記載論文 日本地図の空白を埋める旅 博士になってから 第2章 既知種をよく見たら新種だった!………渡部晃平 ──チュウガタマルケシゲンゴロウ、オニギリマルケシゲンゴロウ 私が発見した新種 普通の昆虫少年 運命の出会い 昆虫を殺すのがつらい 後悔をバネにして 学芸員へのあこがれ 脱サラからの学芸員 現実は甘くない 大発見の知らせ ゲンゴロウの島で起きた奇跡 種を特定する 外国の大家へ相談 新種チュウガタマルケシゲンゴロウ 新たな隠蔽種 本物はどっち? 苦渋の決断 研究は続く 第3章 冬虫夏草少年、長じて菌根菌の起源にせまる………山本航平 ──ウィノシチュニカ・インジェンス 沼にはまる 殺虫きのこ、冬虫夏草 恩師との出会い 地中にきのこをつくる、地下生菌 冬虫夏草と地下生菌の、切っても切れない関係 巨大な胞子 エンドゴン、再び 共生する樹木と菌類 挽回のチャンス 菌根菌の異端児、アツギケカビ目 半世紀越しの証明 「超」巨大な胞子の新種 最古の菌根菌かつ地下生菌? 第4章 生まれて初めて見たかたつむりが45年後、新種に………福田 宏 ──チョウシュウシロマイマイ、クサイロクマノコガイ、そしてサザエ 今も現役! 保育園時代の標本 初めて出会うのに懐かしい 生まれて初めて見たかたつむりの正体 山口県の貝類文献の名著 じつは新種だった! 保育園時代に見出した、もう一つの新種 サザエもホモニムのせいで新種 近所どころか、室内で見つかる新種 永遠に終わらない夏休みの宿題 第5章 赤いボウズハゼの謎………前田 健 ──キジムナーボウズハゼとブナガヤボウズハゼ 赤いボウズハゼとの出会い 迷宮入り どんどん見つかるボウズハゼ 赤いボウズハゼとの再会 フィリピンへ パラワン島の赤いハゼ 結論は? 論文の発表──キジムナーとブナガヤ 残された多くの謎──ボウズハゼ類の謎の解明に向けて 第6章 遺跡でみつけた恐竜の新種!?………江田真毅 ──センカクアホウドリ 遺跡と恐竜と私の思いこみ 「アホウドリの骨」との出会い 礼文島周辺から消えたのはどの種? 古代DNA解析 尖閣諸島のアホウドリはどこから来たのか? DNA解析から考えるアホウドリの歴史 謎解きの鍵は、遺跡出土のアホウドリ! もしかして、別種?! 尖閣諸島から、デコちゃんがやってきた! 尖閣諸島からきたアホウドリたち 最後の1ピース 新種発見物語!? 第7章 新種、また新種。いつになったら終わるのか?………田金秀一郎 ──東南アジアの植物の新種140種超 東南アジアに植物が多様なワケ 地域の植物相の調べ方──植物インベントリ 植物標本よもやま話 いざ東南アジアへ! 調査で再確認、東南アジアの植物多様性 調査は行くだけでも大変! 楽しい同定作業 植物の新種を記載する より多くの新種を記載するために 第8章 探検する生物学・海底洞窟で「新種」に出会う………藤田喜久 ──イラブドウクツウサミミゴカイ、ウリガーテナガエビなど 陸域での洞窟探検──ウリガーテナガエビの発見 「備え」が大切! 海底洞窟研究にとりくむ 続々見つかる新種や珍種 南の島のクリスマス・イルミネーション?──新種の光るクモヒトデを発見! 「見えない」動物を探す──イラブドウクツウサミミゴカイの発見 おわりに 第9章 深海には変わった生物しかいないのか?………渡部裕美 ──ネオレパス・マリスインディカ、ツノツバサゴカイなど じつは行かない? 深海生物を調べる方法 深海に潜る 深海温泉にすむ生物たち 足の裏で子育てする貝 新たに繁栄する「生きた化石」 深海の方がフツウ?な生き物 最終章 新種発見から、種の絶滅と保全を考える………島野智之・脇 司 ──トキウモウダニとリュウジンオオムカデ ほとんどの生物には、学名が付いていない 日本でトキが絶滅 トキにだけ付くダニ 島野委員、「召喚」される。そして事件が 脇先生、「召喚」される トキの自然復帰、ダニはどうなった? トキのダニを、永遠に記録するために 日本最大の陸上節足動物「ヤンバルオオムカデ」 インターネットで、高値で売買 立ちはだかる難問 いよいよ学術誌に論文を送る なぜリュウジンと名付けた? 知識メモ ① 種とは何か? ② 学名とは何か? ③ 論文・記載とは何か? ④ タイプ標本とは ⑤ 隠蔽種とは何か? ⑥ 進化・種分化とはどういうことか? ⑦ 系統樹とは何か? ⑧ 遺伝情報とは何か? ⑨ 絶滅したけど、新種発見? ⑩「○○屋」とは? 執筆者紹介

本文紹介

未知の生物の探究にワクワクしながら、研究者の歩みを追体験! 分類学の基礎も楽しく身につく濃厚な入門書。

抜粋:発見の裏には、たくさんのドラマがある! 子どもの頃から追い求めて、偶然見かけて――ちょっとした疑問が、深い探究へとつながっていく。舞台は身近な環境から遠く危険な未踏の地まで。虫、魚、貝、鳥、植物、菌など未知の生物との出会いにワクワクしながら、研究者たちの歩みを追体験。分類学の基礎も楽しく身につく、濃厚な入門書。