書籍のレビュー・概要
大好きなりんごの木を育てているトラタ。鳥を追いかけて、りんごが実り輝くふしぎな庭に迷いこみます。「わっ、すっぱい」かじったりんごは、今ではめずらしい古い種類と知ります。次の日トラタはまた庭へでかけますが……。おいしいってなんだろう。食べものの過去・今・未来をもっと知りたくなる、あざやかで美しい絵本。 ■『トラタのりんご』に寄せて わたしたちとなじみのあるりんご、この絵本はその「りんご」という存在について問いかけます。トラタが出会ったふしぎな庭では、どうやら、古くてめずらしいりんごが育てられているようです。ひとはいつからりんごを食べるようになったのでしょうか。どんな種類のりんごがこれまでに育てられてきたのでしょうか。そして時代とともに、りんごはどう変わってきたのでしょうか。 これまでひとは、少しでも育てやすく食べやすくしようと、りんごの改良にさまざまな知恵や技術を使ってきました。とりわけ近年は、科学技術の発展により、かつてない「りんご」を生み出せる時代にいたっています。これから、どんなりんごが登場してくるのでしょうか。りんごひとつにも、人類の英知や歴史、さらには未来のあり方がつまっているといえるのかもしれません。 もちろん、りんごは一例です。この絵本が、普段食べているものについてふと立ち止まって考えたり、トラタのように、育てたり、調べたりするきっかけとなることを願っています。「食べもの」について知り、考えていくことは、わたしたちがどんな未来をつくっていきたいかということにも、つながっているように思うのです。 ──三成寿作(京都大学iPS細胞研究所 上廣倫理研究部門) *この絵本は、三成寿作氏(京都大学iPS 細胞研究所 上廣倫理倫理研究部門)が、社会における科学技術のあり方について、わたしたちひとりひとりが考え話し合っていくきっかけを作りたいという想いから企画し、nakaban 氏と意見交換を深めながら制作したものです。