書籍詳細

書籍のレビュー・概要

1944年8月、ジャカルタの収容所で、ワクチンを接種したロームシャが破傷風で多数死亡した。この謎の事件の背景には何があったのか。犯人として処刑されたインドネシア人医師、破傷風で命を落としたロームシャ、そして遥か離れた中国大陸で七三一部隊の人体実験に供された〈マルタ〉をつなぐ日本軍の謀略が、いま明らかになる。

ワクチン開発と戦争犯罪

Takumi ブックス

ワクチン開発と戦争犯罪

インドネシア破傷風事件の真相

著者・関係者
倉沢 愛子 著・松村 高夫 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2023/03/14
体裁
四六・上製 ・カバー ・274頁
ISBN
9784000615853
在庫状況
在庫あり

価格:2,530 円

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著者略歴

  • 倉沢愛子(クラサワ アイコ) 1946年生まれ.1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学,2012年博士号取得.1988年コーネル大学Ph.D.取得.現在,慶應義塾大学名誉教授.専門はインドネシア現代史.著書『日本占領下のジャワ農村の変容』(草思社,サントリー学芸賞受賞),『南島に輝く女王 三輪ヒデ――国のない女の一代記』(岩波書店)ほか. 松村高夫(マツムラ タカオ) 1942年生まれ.1969年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学,1976年ウォーリック大学Ph.D.取得.現在,慶應義塾大学名誉教授,ロンドン王立歴史学会フェロー.専門はイギリス社会史・労働史,日本植民地労働史.著書『大量虐殺の社会史――戦慄の20世紀』(共編著,ミネルヴァ書房),『裁判と歴史学――七三一細菌戦部隊を法廷からみる』(共編著,現代書館)ほか.

目次

  1. はじめに 第Ⅰ部 つくられた破傷風ワクチン「謀略」事件 第1章 ロームシャ収容所の地獄絵――破傷風患者の大量発生―― 1 事件の始まり――労務処理班からの緊急連絡(一九四四年八月六日) 2 日本軍の対応 3 汚染されたワクチン――ワクチン接種直後の惨事だった 4 初めてではなかった破傷風の集団発生 5 謀略事件と判定 6 労務処理班関係者の逮捕と強制された自白 7 モホタルら医学界重鎮の逮捕(一〇月七日) 第2章 スケープゴートがつくられるまで――日本軍が捏造したドラマ―― 1 憲兵隊による取り調べ 2 エイクマン研究所に破傷風菌はあったのか?――モホタルに向けられた容疑 3 モホタルの“自白”からマルズキ、アリフの逮捕へ 4 モホタル、供述を変える 5 事件の顚末――モホタルとスレマン・シレガルの最期 第3章 蜘蛛の巣から逃れて――マルズキの場合―― 1 マルズキの逮捕 2 獄中からの手紙――釈放へ向けて奔走 3 釈放されなかったマルズキ 4 終戦――マルズキの釈放 第4章 行われなかった真相究明 1 連合軍による取り調べ 2 戦後日本における認識 3 冤罪の主張とインドネシア政府の対応 4 なぜモホタルが狙われたのか 5 ロームシャたちのその後 第Ⅱ部 それは人体実験だったのか――七三一部隊のワクチン戦略―― 第5章 七三一部隊は何をしたのか――ハルビンからバンドゥンへ―― 1 軍の要請によるワクチン開発 2 ハルビンに設置された関東軍防疫給水部(七三一部隊) 3 移動防疫給水部――石井のワクチン戦略の要 4 細菌戦の展開とワクチン開発 第6章 南方軍防疫給水部は何をしたのか――そしてパスツール研究所は―― 1 日本軍によるパスツール研究所接収 2 破傷風事件の“真相” 3 スラバヤ海軍軍医部の人体実験――オーストラリアの戦犯裁判記録から 終 章 医師たちの戦後 1 インドネシアの医師たちと研究所の戦後 2 七三一部隊の医師たちはなぜ戦争犯罪の追及を免れたのか 3 戦後日本の医療の闇 4 コロナ禍とワクチン開発 注 あとがき 参考文献・インタビュー対象者ほか

本文紹介

1944年8月、ジャカルタのロームシャ収容所で謎の破傷風事件が発生。事件の背景にあった日本軍の謀略とは。

抜粋:1944年8月、ジャカルタの収容所で、ワクチンを接種したロームシャが破傷風で多数死亡した。この謎の事件の背景には何があったのか。犯人として処刑されたインドネシア人医師、破傷風で命を落としたロームシャ、そして遥か離れた中国大陸で七三一部隊の人体実験に供された〈マルタ〉をつなぐ日本軍の謀略が、いま明らかになる。