書籍詳細

書籍のレビュー・概要

16世紀から18世紀の西アジア・南アジア地域は、多様な人間集団、社会規範が有機的に結びついた独自の「近世」を歩んでいた。オスマン、サファヴィー、ムガルの三帝国の統治システムが多民族・多宗教からなる社会を守っていたのである。共生を特徴とするこの地域の歴史を、法秩序、王権の正統性、思想、ジェンダー表象、交易などの視点を交えて豊かに描き出す。

西アジア・南アジアの帝国 16~18世紀

Takumi ブックス

西アジア・南アジアの帝国 16~18世紀

著者・関係者
荒川 正晴 編集委員・大黒 俊二 編集委員・小川 幸司 編集委員・木畑 洋一 編集委員・冨谷 至 編集委員・中野 聡 編集委員・永原 陽子 編集委員・林 佳世子 編集委員・弘末 雅士 編集委員・安村 直己 編集委員・吉澤 誠一郎 編集委員
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2023/01/27
体裁
A5・上製 ・288頁
ISBN
9784000114233
在庫状況
在庫あり

価格:3,520 円

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著者略歴

  • 【責任編集】 林佳世子(はやしかよこ) 1958年生.東京外国語大学学長.西アジア社会史・オスマン朝史.『オスマン帝国500年の平和』〈興亡の世界史〉(講談社学術文庫,2016年). 【執筆者一覧】 上野雅由樹(うえのまさゆき) 大阪公立大学大学院文学研究科准教授.オスマン帝国史. 近藤信彰(こんどうのぶあき) 1966年生.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授.イラン史・ペルシア語文化圏史. 真下裕之(ましたひろゆき) 1969年生.神戸大学大学院人文学研究科教授.南アジア史. 小笠原弘幸(おがさわらひろゆき) 1974年生.九州大学大学院人文科学研究院イスラム文明学講座准教授.オスマン帝国史・トルコ共和国史. 藤井守男(ふじいもりお) 1954年生.東京外国語大学名誉教授.ペルシア文学. 太田信宏(おおたのぶひろ) 1969年生.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授.南アジア近世史. 米岡大輔(よねおかだいすけ) 1981年生.中京大学国際学部准教授.ボスニア史・ハプスブルク帝国史. 桝屋友子(ますやともこ) 1961年生.東京大学東洋文化研究所教授.イスラーム美術史. 鴨野洋一郎(かものよういちろう) 1979年生.成蹊大学経済学部准教授.イタリア中近世史. 熊倉和歌子(くまくらわかこ) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授.アラブ中近世史. 羽田正(はねだまさし) 1953年生.東京大学特任教授・名誉教授.グローバルヒストリー. 川本智史(かわもとさとし) 1981年生.東京外国語大学講師.オスマン建築・都市史. 太田啓子(おおたけいこ) 公益財団法人東洋文庫研究員.アラビア半島と紅海文化圏の歴史・国際商業史. 阿部克彦(あべかつひこ) 神奈川大学経営学部国際経営学科准教授.イスラーム美術史・イラン染織史. 長谷部史彦(はせべふみひこ) 1962年生.慶應義塾大学文学部教授.アラブ中近世史.

目次

  1. 展望|Perspective 西アジア・南アジアの近世帝国………林佳世子 はじめに 一、帝国の形成――一六世紀を中心に 二、官僚支配体制下の帝国――一七世紀を中心に 三、帝国の解体と地方政権の時代――一八世紀を中心に おわりに 問題群|Inquiry 近世のオスマン社会………上野雅由樹 一、スンナ派の帝国 二、宗派共同体 三、問題解決の場 四、帝国の協力者たち おわりに サファヴィー帝国におけるシーア派法秩序の形成………近藤信彰 はじめに 一、キジルバシュとシーア派 二、宗務・司法組織 三、イスラーム法と慣習法 四、帝国性と法秩序 おわりに ムガル帝国における国家・法・地域社会………真下裕之 はじめに 一、ムガル帝国研究の焦点 二、ムガル帝国における法 三、ムガル帝国における諸宗派への「生計補助」 焦点|Focus オスマン王権とその正統性――血統、聖性、カリフ………小笠原弘幸 一、高貴な血統の追求 二、終末の到来と救世主 三、神に嘉された世界征服者 四、カリフ概念の変容 シーア派世界の深化(一六世紀―一八世紀)………藤井守男 はじめに 一、シーア派ウラマーと神秘主義――『シーア派の園』Ḥadīqat al-Shī'aの神秘主義批判 二、シーア派思想の新たな地平 三、シーア派定着への道筋――シーア派文化醸成のための思想的基盤の構築と民衆の教化 結びにかえて――インドにおけるシーア派思想瞥見 デカン・南インド諸国家の歴史的展開………太田信宏 はじめに 一、ムガル帝国の拡張と地域政権の成立 二、「ポートフォリオ資本家」の活躍 三、ザミーンダールの重要性 四、ムスリム的政治伝統の持続 おわりに バルカンにおけるイスラム受容――ボスニア・ヘルツェゴヴィナの場合………米岡大輔 はじめに 一、段階的な征服 二、ボスニアのイスラム受容 三、揺れ動くオスマン支配 絵画に描かれた女性たち………桝屋友子 はじめに 一、宗教に根ざした女性表現 二、物語のヒロイン 三、宮廷の女性たち 四、音楽家、ダンサー、女性の風俗 地中海さまざまな繊維や織物が行き交う場………鴨野洋一郎 はじめに 一、ビザンツ帝国およびイスラーム地域の絹織物工業(六―一〇世紀) 二、ヨーロッパの繊維工業(一一―一三世紀) 三、オスマン帝国とヨーロッパ(一四―一七世紀) おわりに ナイル灌漑をめぐる近世エジプト社会と帝国………熊倉和歌子 はじめに 一、ナイルの灌漑 二、ナイルの記録と記憶 三、水をめぐる村落社会の人々 おわりに コラム|Column シャルダンの見た東方の三つの帝国………羽田 正 王権の象徴としての首都と宮殿………川本智史 オスマン帝国治下のメッカと巡礼………太田啓子 イランから日本へ渡った染織品………阿部克彦 近世アラブ都市における商工民歴史家の登場………長谷部史彦

本文紹介

アジア諸地域において多言語・多文化の共生社会はいかに生成・発展したか――「成熟したアジア」を概観する。

抜粋:16世紀から18世紀の西アジア・南アジア地域は、多様な人間集団、社会規範が有機的に結びついた独自の「近世」を歩んでいた。オスマン、サファヴィー、ムガルの三帝国の統治システムが多民族・多宗教からなる社会を守っていたのである。共生を特徴とするこの地域の歴史を、法秩序、王権の正統性、思想、ジェンダー表象、交易などの視点を交えて豊かに描き出す。