書籍のレビュー・概要
ナヴィエ‐ストークス方程式を数学的に厳密に解くことを主眼とし、基礎から丁寧に解説する。上巻では、ストークス作用素の理論的扱い方までを、著者独自の方法を盛り込みつつ解説する。本書で用いる方法は、数理物理に現れる未解決な放物型方程式系、双曲型-放物型方程式系の初期値・境界値問題に応用できる。 著者からのメッセージ 本書の企画時から相当の時間が経過したが,この間に発展した最新の成果までを含めて書くことができた. 本書は,非圧縮性粘性流体の運動を記述する非線形偏微分方程式である,ナヴィエ‐ストークス方程式を理論的に扱うことを目的としている. その理論的な取り扱いは,1960年代にロシア学派によって創始された最大正則性原理を示すことが基盤となる.その現代理論として,Jan Pruessによる H ∞ -calculus理論と,筆者による R 有界性理論が発展した. ナヴィエ‐ストークス方程式と同様に,時間発展のある非線形偏微分方程式は,数理物理の様々な問題に現れる.例えば,磁気流体力学,多成分流体,液晶などの領域の問題を記述する方程式も,同種のものである.数理物理に現れる放物型・双曲型方程式系における初期値・境界値問題に,ぜひ本書の方法を応用してほしい