書籍のレビュー・概要
キャッシュレス決済やブロックチェーン技術など、中国では目をみはる勢いでデジタル化が進展している。そこには日本からは見えない民間と大学の重要な役割があった。「創業・創新」の中核を担う清華大学に籍を置く著者が、豊富な事例をもとに中国式DXの現状と課題を掘り下げ、日本が学ぶべき点を提示する。 ■手放しの称賛でも、闇雲なあざけりでもなく── 複眼的視点でとらえた中国式DXの深層 2018年、著者が初めて滞在した北京。「デジタル化する中国」を体感したきっかけは、宿舎のごくありふれた洗濯機だった。その洗濯機に付されたQRコードを携帯電話で読み取った瞬間が、「現代版もう一つの中国への入口だった」と著者は言う。 「大衆創業・万衆創新」(2014年)、「互聯網+(インターネットプラス)行動計画」(2015年)が政府によって提唱されて以来、中国では急速にデジタル化が進展してきた。ではなぜ、デジタル化はそれほどまでに浸透したのか、そして、どんな人や組織がデジタル化を担ったのか。日本やアメリカと比較して、中国のデジタル化にはどのような特徴があるのか。──デジタルイノベーションの現場を歩き、考察する著者の日々が始まる。 著者が主張するのは、表面的に中国の成功例をなぞることではない。デジタル化を求める社会的要因、そしてデジタル化を支える民間のダイナミズムや大学の役割を理解し、学ぶことである。 ■著者からのメッセージ 日本にとって歴史的・文化的・地理的にも最も関係が深く、いま新たな変化の中にある中国社会を、日本に留まって闇雲に相手を批判・警戒・好奇の視点で捉えることなく、自らの眼で確かめ、次の世代のためにも建設的な繫がりを築いていきたいと考えている。筆者がこれまで日本・米国・欧州で期せずして文理融合、産官学連携を体現しながら育ててきた複眼的視点で、本書では日本の読者に中国のデジタルイノベーションの深層を伝えていく。目的は決して中国の取り組みを称賛することでも嘲弄することでもなく、またそれらを日本に押し付けることでもない。日中の共通点や相違点を把握した上で、それぞれの立場で筆者の経験や見解を活かして頂ければ、というのが真意である。 本書「はじめに」より 本書に登場する「清華大学サイエンスパーク」