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書籍詳細

書籍のレビュー・概要

教師という職業は、なぜこれほどつらい仕事になってしまったのか? 本書は、教師が主体性を奪われ、現在の異常な労働環境へと至った歴史的・法制度的構造を明らかにするとともに、多くの問題が指摘される給特法を徹底的に分析する。教師が子どもと向き合う職業であり続けるために、厳しい現状からの「出口」を示す決定版。

聖職と労働のあいだ

Takumi ブックス

聖職と労働のあいだ

「教員の働き方改革」への法理論

著者・関係者
髙橋 哲 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2022/06/10
体裁
四六・上製 ・カバー ・286頁
ISBN
9784000615389
在庫状況
在庫あり

価格:3,520 円

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著者略歴

  • 髙橋 哲(たかはし・さとし) 1978年生.大阪大学大学院人間科学研究科准教授.コロンビア大学Center for Educational Equity 客員研究員.博士(教育学).日本学術振興会特別研究員,中央学院大学専任講師,コロンビア大学客員研究員(フルブライト研究員),埼玉大学教育学部准教授等を経て現職.專門は教育法学.著書に『現代米国の教員団体と教育労働法制改革――公立学校教員の労働基本権と専門職性をめぐる相克』(風間書房),共著に『迷走する教員の働き方改革――変形労働時間制を考える』(岩波ブックレット),共訳書にジャック・ジェニングズ『アメリカ教育改革のポリティクス――公正を求めた50年の闘い』(東京大学出版会),分担執筆に日本教育法学会編『コンメンタール教育基本法』(学陽書房),ほか多数.

目次

  1. 序章 「働き方改革」vs.「教育の充実」の罠――なぜ問題なのか、なにを問題にしなければならないのか? 1 「○○くんだけに付き添っていることはできない」/2 「ささいな日常」の映す本質/3 苦痛にあえぐ教師の声/4 労働者と「聖職者」の分断?/5 本書の構成 ■第Ⅰ部 給特法の制定までとその後――なぜ、つらい職業となってしまったのか? 第1章 教員給与の法制史――「あるべき給与体系」をめぐる相克 1 はじめに―なぜ教師の労働条件は重要なのか/2 教師の労働条件の基本原則/3 教員に特殊な手当とルール――給特法と人確法/4 小括――「政治的決着」に委ねられた教員の労働条件 第2章 教員給与の新自由主義改革――二〇〇〇年代以降の制度改変 1 はじめに――教員給与の「屋台骨」の喪失/2 国立学校準拠制の廃止――教員給与法制の屋台骨の喪失/3 揺らぐ労働基本権制約の論理――代償措置の不在状況/4 国立学校準拠制廃止後の教員待遇――東京都における教員給与制度改革/5 小括――「意識」「文化」に還元できない多忙化の要因 ■第Ⅱ部 給特法の解剖――本当は何が問題なのか? 第3章 給特法の構造と矛盾――ゆがめられた教職の「特殊性」 1 はじめに――給特法というミステリー/2 労基法上の労働時間規制ルール/3 給特法の構造/4 一九七一年国会審議にみる給特法の立法者意思/5 小括――矛盾だらけの給特法 第4章 二〇一九年改正給特法の問題――迷走する「学校における働き方改革」 1 はじめに――給特法「改正」で働き方改革は進むのか?/2 改正給特法の上限指針/3 捻じ曲げられた一年単位変形制/4 一年単位変形制導入のハードルと決定プロセスの重要性/5 小括――問われる教育の地方自治、学校自治、そして労使自治 第5章 改正給特法における「労働時間」概念の問題――労基法を潜脱する「在校等時間」論批判 1 はじめに――「労基法の労働時間概念」がなぜ重要なのか/2 給特法の特殊ルールをめぐる諸説/3 文科省の示す労働時間概念の問題/4 小括――学校に「労基法上の労働時間」概念のメスを ■第Ⅲ部 給特法問題の出口を求めて――司法による是正と新たな制度モデルへの展望 第6章 司法による教育政策是正の可能性――給特法をめぐる従来型裁判の類型と争点 1 はじめに――「敗訴」の歴史のなかで「新たな訴訟」をさぐる/2 従来の教員超勤訴訟の類型/3 埼玉教員超勤訴訟にみる「労基法上の労働時間」該当性/4 小括――教員の働き方改革における裁判所の役割 第7章 埼玉教員超勤訴訟第一審判決の意義と課題――「画期的」な理由と乗り越えるべき壁 1 はじめに――第一審判決の評価をめぐって/2 第一ステージ――その仕事は「労基法上の労働時間」にあたるか?/3 第二ステージ――賃金請求権(損害賠償請求)は認められるか?/4 教育労働に固有な労働時間をめぐって/5 小括――教員多忙化問題の「出口」を求めて 第8章 学校における働き方改革のオルタナティブ――アメリカにみる教員に固有な勤務時間管理モデルの可能性 1 はじめに――働き方の国際比較からみえてくること/2 アメリカの労働時間法制における学校教員の位置/3 教員の労働基本権と教員組合の地位――ニューヨーク州テイラー法の特徴/4 団体交渉で獲得した「教員に固有の勤務時間管理」――ニューヨーク市学区の団体交渉協約/5 コロナ禍の教員の働き方ルール/6 小括――労働条件決定における労使自治の重要性 終章 教員の働き方改革のあるべき方向 1 給特法のもとでの三六協定締結の可能性/2 不可欠な立法政策/3 教員に固有な労働時間を求めて/4 教師をいじめる教育政策に終止符を/5 「教師が教師でいられない世の中」を変えるために あとがき

本文紹介

教師が主体性を奪われ、現在の異常な労働環境に至った歴史的・法制度的構造を明らかにする。

抜粋:教師という職業は、なぜこれほどつらい仕事になってしまったのか? 本書は、教師が主体性を奪われ、現在の異常な労働環境へと至った歴史的・法制度的構造を明らかにするとともに、多くの問題が指摘される給特法を徹底的に分析する。教師が子どもと向き合う職業であり続けるために、厳しい現状からの「出口」を示す決定版。