書籍のレビュー・概要
植物なのに肉食なんて! しかしその特殊能力のわりに、食虫植物はいつだってマイナーな存在だ。その深い深い理由とは。ベジタリアンもいるの? あの妙な形や「胃腸」はどこから……? ウツボカズラから食虫木まで何でもござれ。気鋭の研究者の道案内で、謎に満ちた進化の迷宮を探険し、その妖しい魅力に心ゆくまで囚われよう。【カラー口絵16頁】 ◆著者からのメッセージ (前略)食虫植物は、植物でありながら、動物を騙し、捕らえ、文字通り食べてしまう。自らは微動だにせず、根からいくばくかの無機栄養と水を吸い上げつつ二酸化炭素と光を得ると、それらを原資に愚直に電子伝達系とカルビン・ベンソン回路のペダルを漕ぎ続ける――そんな慎ましさだけが植物の領分だという印象があるならば、食虫植物はその良き反例になる。捕食・被食関係をかたどる生態系ピラミッドにおいて、決まって底辺に描かれる植物の仲間たち。それらに迎合することなく下剋上を果たした異端児こそ、彼ら食虫植物なのだ。 地球上に存在すると見積もられる870万種の生物のうち、30万種ほどが植物であり、その大部分が被子植物、いわゆる花を咲かせる植物である。これまでに見つかっている食虫植物はすべて被子植物で、860種ほどであるから、全被子植物の1%にすら満たない弱小グループだ。分布地も限られていることが多い。規格外の能力をもちながら、栄華を極めるでもなくひっそりと暮らしているわけだが、それにはきちんとした理由がある。その秘密はのちほど詳しく述べるとしよう。本書では、食虫植物の意外な生き方とその進化を、余すところなくお伝えするつもりだ。 ――本書「まえがき」より、一部改変 ◆引用文献 ☞ PDFファイル[420KB] ◆正誤表 ☞ PDFファイル[167KB]