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書籍詳細

書籍のレビュー・概要

受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語りあう。そんな更生プログラムをもつ男子刑務所がある。埋もれていた自身の傷に、言葉を与えようとする瞬間。償いとは何かを突きつける仲間の一言。取材期間10年超、日本で初めて「塀の中」の長期撮影を実現し、繊細なプロセスを見届けた著者がおくる、圧巻のノンフィクション。 「私たちもまた、泣いているあの子を見捨てた加害者のひとりではなかったか?」 (上間陽子さん・教育学者) 装丁:高木善彦 / 装画:若見ありさ

プリズン・サークル

Takumi ブックス

プリズン・サークル

著者・関係者
坂上 香 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2022/03/24
体裁
四六・並製 ・カバー ・300頁
ISBN
9784000615266
在庫状況
在庫あり

価格:2,200 円

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著者略歴

  • 坂上 香(さかがみ かおり) ドキュメンタリー映画監督.NPO法人out of frame 代表.一橋大学大学院社会学研究科客員准教授. ピッツバーグ大学社会経済開発学修士課程修了.2001年までテレビディレクター,京都文教大学助教授,津田塾大学准教授を経て2012年より映像作家の活動に専念.劇場公開作品に『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』(2004),『トークバック 沈黙を破る女たち』(2013)があり,3作目の『プリズン・サークル』(2019)は文化庁映画賞・文化記録映画大賞受賞.矯正施設などで社会とのつながりをつくるアート活動も行なってきた.著書に『癒しと和解への旅──犯罪被害者と死刑囚の家族たち』(1999,岩波書店),『ライファーズ 罪に向きあう』(2012,みすず書房)など.

目次

  1. プロローグ 「新しい刑務所」 1 ある傍観者の物語 傍観者から参加者へ/「常に、そうですね」/二つのカリキュラム/当事者スタッフの存在/日本でのTCを可能にしたもの 2 感情を見つめる──四人の物語 拓也/真人/翔/健太郎/イライラの身体反応/「感情の筋肉」を鍛える/相反する感情 3 隠さずに生きたい さざ波とともに終わる食事/最近、心が動いたこと/「感盲」とトラウマ/祈るような語り/芽吹きに立ち会う/撮影の困難/突き破れなかった壁 4 暴力を学び落と 受刑者による授業/暴力を特定する/使われなかった言葉/長い道のり/手作りのハンカチ/一時間おきの電話/暴力に代わる方法を手にするまで/記憶のない加害、記憶のある加害/DVを学び落とすために 5 聴かれる体験と証人──サンクチュアリをつくる 年表をつくる/混ざり合う被害と加害/照れ笑いと一緒に/支援員も打ち明ける/映らなかった余暇時間/「特別な場所」の準備 6 いじめという囚われ お金がすべてに優先する/母には言えなかった/訪れた転機/加害者側の語りを聴いて/いじめの影 7 性暴力 光のまだ当たらない場所 スコッティの告白/男性の性暴力被害/「葛藤の手紙」を読む/なぜ被害者に向けて書いたか/破り捨てた手紙/性的虐待のあと/一軍コンプレックス/多くを知らない 8 排除よりも包摂 決意表明とカミングアウト/「なんか皆と違う」感覚/二つの名前をもつ母/「アンチな反応」/心を開かせ合う場所/削除されかかった場面 9 助けを諦めさせる社会 ソーシャルアトム/施設の内と外/思い出がない/暴力の「世代内連鎖」/「嘘つきの少年」を書く 10 二つの椅子から見えたもの 事件について語る/空の椅子に向かって/幸せになりたい自分/死刑囚Aとの対話/生まれ変わり 11 被害者と加害者のあいだ 自己憐憫/シナリオが書き換えられる瞬間/修復的司法との出会い/螺旋階段/二年目の真実/「償いとは何か?」/同じ船に乗り合わせた者たち 12 サンクチュアリを手わたす 最後のサークル/仮釈放で父親のもとへ/出所日/刑務所撮影の最終日/みんなが証人/手わたされた種と土 13 罰の文化を再考する 保護会の実際/二つの入口/コミュニティ・サークル/静かな施設で/「囚人化」のプロセス/相反する二つの文化/刑務所の未来/私たちの安全観を問い直す/アボリションのリアリティ エピローグ 「嘘つきの少年」のその後 参考文献 あとがき

本文紹介

人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。

抜粋:受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語りあう。そんな更生プログラムをもつ男子刑務所がある。埋もれていた自身の傷に、言葉を与えようとする瞬間。償いとは何かを突きつける仲間の一言。取材期間10年超、日本で初めて「塀の中」の長期撮影を実現し、繊細なプロセスを見届けた著者がおくる、圧巻のノンフィクション。 「私たちもまた、泣いているあの子を見捨てた加害者のひとりではなかったか?」 (上間陽子さん・教育学者) 装丁:高木善彦 / 装画:若見ありさ