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書籍詳細

書籍のレビュー・概要

どんな相手も無条件に愛し赦す、そうした純粋で絶対的な慈悲の世界が存在するとしたら――。だがそれは、現実には存在し得ないものであり、仮に実現したとしても生と社会への不都合に帰結してしまう。本書では、モーツァルトの赦しを題材とする後期のオペラ作品から、この二重の困難をめぐるアポリアを追求する。

慈悲のポリティクス

Takumi ブックス

慈悲のポリティクス

モーツァルトのオペラにおいて、誰が誰を赦すのか

著者・関係者
奥村 隆 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2022/01/13
体裁
四六・並製 ・カバー ・224頁
ISBN
9784000271783
在庫状況
在庫あり

価格:2,420 円

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著者略歴

  • 奥村 隆(おくむら たかし) 1961年生まれ。関西学院大学社会学部教授。著書に『他者といる技法──コミュニケーションの社会学』(日本評論社、1998年)、『エリアス・暴力への問い』(勁草書房、2001年)、『反コミュニケーション』(弘文堂、2013年)、『社会学の歴史Ⅰ──社会という謎の系譜』(有斐閣、2014年)、『社会はどこにあるか──根源性の社会学』(ミネルヴァ書房、2017年)、『反転と残余──〈社会の他者〉としての社会学者』(弘文堂、2018年)など。

目次

  1. 第1章 慈悲の問題系――モーツァルトのオペラにおける「赦し」 1 慈悲とその困難 2 モーツァルトのオペラと「赦し」――『イドメネオ』と『後宮からの逃走』 3 ふたつの世界の葛藤――エリアスの仮説から 第2章 赦しによる共同体――『フィガロの結婚』 1 中断された赦し――『フィガロの結婚』第一幕・第二幕 2 三つの和解――『フィガロの結婚』第三幕・第四幕 3 「赦し主」と共同体 第3章 ふたつの赦しなき世界――『ドン・ジョヴァンニ』と『コジ・ファン・トゥッテ』 1 愛の無差別主義者たち 2 赦しを拒絶する自由――『ドン・ジョヴァンニ』 3 不完全なものとしての平等――『コジ・ファン・トゥッテ』 第4章 無差別な慈悲の残酷――『皇帝ティートの慈悲』 1 一七九一年のオペラ・セリア 2 無差別主義的な慈悲――『皇帝ティートの慈悲』第一幕 3 重唱に加わる皇帝――『皇帝ティートの慈悲』第二幕 第5章 慈悲のポリティクスからの自由――『魔笛』 1 無力な王子――タミーノの物語 2 復讐者と赦し主の系譜――夜の女王とザラストロ 3 慈悲の共同体からの自由――パミーナの物語 文 献 解 説――残酷な赦し、愛の二重性、そして、慈悲のポリティクスからの自由……………大澤真幸 あとがき

本文紹介

純粋で絶対的な慈悲が成り立つ世界とは。モーツァルトの赦しを題材とする後期オペラから追求する。

抜粋:どんな相手も無条件に愛し赦す、そうした純粋で絶対的な慈悲の世界が存在するとしたら――。だがそれは、現実には存在し得ないものであり、仮に実現したとしても生と社会への不都合に帰結してしまう。本書では、モーツァルトの赦しを題材とする後期のオペラ作品から、この二重の困難をめぐるアポリアを追求する。