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書籍のレビュー・概要

「会社は株主のもの」「株主価値の最大化こそ経営の目的」といった命題を自明視し、巨大ファンドが市場に君臨することに何ら疑念を抱かない会社法学の従来の通説は誤っている。多年にわたり株主第一主義を批判し続けてきた著者が、会社法の世界に人間復興を求めるべく、「株式会社とは何か」を根本的に問い直した渾身の書。

会社法は誰のためにあるのか

Takumi ブックス

会社法は誰のためにあるのか

人間復興の会社法理

著者・関係者
上村 達男 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/12/23
体裁
A5・上製 ・カバー ・276頁
ISBN
9784000615099
在庫状況
在庫あり

価格:3,410 円

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著者略歴

  • 上村達男(うえむら たつお) 1948年生。早稲田大学名誉教授。早稲田大学法学部・大学院後期博士課程修了。専門は商法、金融商品取引法、資本市場法。博士(法学)。北九州大学法学部助教授、専修大学法学部教授、立教大学法学部教授、早稲田大学法学部教授。早稲田大学法学部長、司法試験委員、法制審議会部会委員、NHK経営委員(委員長職務代行者)などを歴任。明治安田生命保険社外取締役、アライアンス・フォーラム財団評議員。 主な著書に、『会社法改革──公開株式会社法の構想』(岩波書店、2002年)、『株式会社はどこへ行くのか』(共著、日本経済新聞出版社、2007年)、『NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか』(東洋経済新報社、2015年)など。

目次

  1. はじめに 序 章 株式会社に人間を求むるは、「木に縁りて魚」の類いか? 本書の問題意識は筆者の研究履歴と一体/日本(=アメリカ)の株式会社法の通念を確認する/《株式会社法に関する通念とコメント》 第1章 市民法世界の共同事業は人間の世界 市民革命とナポレオン民法典/他人を害しないために「規模」の限界を知る/人間の結合(契約)による共同事業──組合と社団/法人格の活用は大きな転機──合名会社・合資会社/第三の形態は株式会社──伝統理論は全社員が有限責任/社員権論と「希薄化された所有」/株式市場の論理も私的な世界だった/責任論中心の株式会社法論 第2章 株式会社──資本市場対応型会社制度の本質とは 株式会社の本質は責任論ではなく株式論にある/株式の均一性が株式市場の形成を可能にした/しかるに何故、私的な世界が通説だったのか/取引ルール一本槍のアメリカ「法と経済学」の影響/経済学を活用する法律学の展開は経験済み 第3章 株式会社法と人間疎外拡大要素 法人をヒト並以上に扱うこと/非常に寛大な日本人の法人観/暴れる株式市場──巨大バブルとのつき合いの始まり/巨大バブルの崩壊は人為的な巨大リスク/市場の急拡大とガバナンスの遅れ──全米市場と州ガバナンス/アメリカで起きたことのグローバルな再現──新帝国主義と植民地の内国化?/時間軸と人間の希薄化──超高速取引の正当性とは?/匿名株主が企業社会デモクラシーの担い手? 第4章 人間復興の基礎理論──会社の目的と議決権の意義 1 株式会社の目的観──株主価値最大化論は「俺にカネ寄こせ株主」を支えるイデオロギー 経営目的観とステークホルダー論/コーポレート・ガバナンスとは支配の正当性をめぐる議論/会社の営利性と公益性/会社の目的をめぐる海外の会社法改正動向等──取り残される日本/経営評価としての数値基準と外形基準/企業買収の論理 2 議決権行使と「物言う」資格 株式会社における議決権は財産権か/最小単位株主が担う株主権の意義とは/人格権としての議決権/株式の保有者に再び人格を求める/支配株主責任論の根拠──stockのshare化とshareのstock化とは/普通株式(commonshare)の普通とは/議決権行使──濫用法理の事後規制と事前規制/《議決権=人格権》構成と会社法解釈論/パッシブ運用と議決権行使 第5章 企業統治と資本市場法制 1 株主平等原則──人間平等か提供資金の多寡に応じた平等か 平成17年会社法による変質/株主「不」平等取扱の「正当事由」とは 2 株式会社の運営機構とガバナンスの意義等 3 株式会社法の生命線──資本市場法制 市場の発展段階に応じて変わる資本市場法の性格/証券取引法・金融商品取引法の目的/一切は「公正な価格形成」を目指す/公開会社法の実現は喫緊の課題/株式会社法と市民社会 第6章 立法体制と具体的な立法提言──株主の属性論を踏まえて 人間復興の原点は議決権の意義と株主の属性の再評価に/株主の属性の評価──人間阻害要素と人間関与度/株主の属性評価としての人間関与度の適用場面とは/具体的な政策提言と立法提言 1 立法体制のあり方について 2 立法提言──総論的課題 3 立法提言──各論的課題 終 章 法の総合力強化は日本の文明史的課題 第三の近代化「富国強「法」」の壁/令和維新は「法」の立て直しから/法学部は規範形成主体たる市民(citoyen)の育成を/ロースクール構想──大きすぎる負の遺産 おわりに コラム 【社債はshareか?】 【株式合資会社の意義】 【岩井克人教授の株式会社法論について】 【格差社会がもたらす中間市民層と民主主義の崩壊】 【西武鉄道とサーベラスの場合】 【日本の近時の会社法のテキスト批判】 【fiduciaryduty(受託者責任)とは何か】 【取締役の対第三者責任規定の存在意義】 【市場区分とコーポレートガバナンス・コード】 【コロナ禍における休業支援金等の支給対象企業と人間関与度】 【規範形成主体としての市民(citoyen)に向けて】

本文紹介

「会社とは何か」を根本から問い直し、株主第一主義を当然視する会社法の通念を徹底批判。著者渾身の書。

抜粋:「会社は株主のもの」「株主価値の最大化こそ経営の目的」といった命題を自明視し、巨大ファンドが市場に君臨することに何ら疑念を抱かない会社法学の従来の通説は誤っている。多年にわたり株主第一主義を批判し続けてきた著者が、会社法の世界に人間復興を求めるべく、「株式会社とは何か」を根本的に問い直した渾身の書。