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書籍のレビュー・概要

「国家神道」とは何か。敗戦時に解体されたはずが、大きく縮減されつつも戦後も存続し、その「復興」を目指す動きは途絶えることなく試みられてきた。本書は「神聖天皇の崇敬」という側面に注目することで、国家神道をめぐる論点を整理するとともに、戦後日本の国家の底流にある「国体護持」の観念と神道の関わりや、日本国憲法下の象徴天皇制の在り方に考察を及ぼす。

戦後日本と国家神道

Takumi ブックス

戦後日本と国家神道

天皇崇敬をめぐる宗教と政治

著者・関係者
島薗 進 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/11/26
体裁
四六・上製 ・カバー ・438頁
ISBN
9784000615037
在庫状況
在庫あり

価格:3,850 円

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著者略歴

  • 島薗進(しまぞの すすむ) 1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授、上智大学神学部特任教授・同大学院実践宗教学研究科教授、同グリーフケア研究所所長(2021年度まで)、大正大学客員教授。専門は宗教学、近代日本宗教史、死生学。主な著書に、『現代宗教の可能性』『スピリチュアリティの興隆』『国家神道と日本人(岩波新書)』『日本仏教の社会倫理』(以上、岩波書店)、『明治大帝の誕生』(春秋社)、『宗教学の名著30(ちくま新書)』『神聖天皇のゆくえ』(以上、筑摩書房)、『現代救済宗教論』(青弓社)、『ポストモダンの新宗教(法蔵館文庫)』(法蔵館)、『〈癒す知〉の系譜』(吉川弘文館)、『日本人の死生観を読む』『ともに悲嘆を生きる』(以上、朝日新聞出版)など。共編著に『近代日本宗教史』(全6巻、春秋社)ほか、多くのシリーズ・論集がある。

目次

  1. まえがき 第Ⅰ部 国家神道をめぐる概念枠組み 第一章 近代日本の宗教構造と国家神道 1 「神道指令」 と国家神道概念 2 狭義と広義 3 「宗教」、 治教、 祭祀 4 国家神道とは何か 5 宗教構造の変容 第二章 国体論神聖天皇崇敬と神道 1 国体論神聖天皇崇敬と神道の関係 2 今泉定助が捉える神道と国体論 3 国体興隆と神道の復興としての明治維新 4 近代神道史と国体論天皇崇敬 第三章 「宗教」 の上位にある精神秩序としての神道 1 「宗教」 という訳語 2 近世における 「道」 「教」 「宗門」 3 「宗教」 の上位の 「治教」(「皇道」) 4 文明の基盤としての 「宗教」 と 「信教の自由」 5 「神道」 「皇道」 が 「宗教」 ではない理由 6 「祭祀」 「治教」 が 「神道」 とみなされるまで 第四章 神社神職中心の神道観は妥当か はじめに 1 神社を「民族宗教」とみなす 2 神祇信仰から神道への展開を問う 3 神社こそ神道の基体とみなす 4 国家神道を宗教集団とみなす 5 共有された考え方や行動様式から宗教を捉える 第五章 明治維新は世俗的変革か――安丸良夫の国家神道論をめぐって はじめに 1 戦前の日本は世俗国家か 2 神話に基づく天皇崇敬と国体論は宗教的ではないか 3 まがりなりにも 「信教の自由」 は成り立っていたか 4 国民国家とナショナリズムは世俗的か 第六章 国家神道神聖天皇崇敬の 「見えない化」――葦津珍彦の言説戦略とその系譜 1 葦津珍彦と 「天皇の神聖」 2 狭義の 「国家神道」 の言説戦略 3 「国家神道」 と神聖天皇崇敬の 「見えない化」 付論1 神道国家神道の戦前戦後――『戦後史のなかの 「国家神道」』 をめぐって はじめに 1 「広義の国家神道」 概念は戦前に系譜をたどれるか 2 戦後の広義 「国家神道」 と戦前の 「神道」 の連続性 3 戦後憲法学の 「国家神道」 とその系譜おわりに 第Ⅱ部 「国家神道の解体」 と天皇の神聖性 第一章 国家神道の戦後――皇室祭祀神社本庁 1 「国家神道の解体」 の実態 2 戦後の皇室祭祀 3 宗教教団としての神社本庁 第二章 敗戦と天皇の神聖性をめぐる政治 1 「天皇の人間宣言」 は誰の意思によるものか? 2 「国体のカルト」 をどう制御するのか 3 神道と天皇崇敬という複合問題 4 「天皇の人間宣言」 が先送りしたもの 第三章 国家神道の存続と教育勅語の廃止問題 1 国家神道の解体と教育勅語 2 教育勅語の存続 3 占領初期の日本の知的指導者らの教育勅語観 4 南原繁の教育勅語尊重と天皇崇敬 5 「国体護持」 と 「民族共同体」 付論2 戦後の靖国神社をめぐって はじめに 1 靖国神社はなぜ生き延びることができたのか 2 戦後靖国政治史をどう捉えるか? 第Ⅲ部 天皇の神聖性をめぐる政治の展開 第一章 戦後の国家神道復興運動――日本会議神道政治連盟神社本庁 はじめに 1 日本会議の運動 2 神道政治連盟と皇室の尊厳護持運動 3 神社本庁の発足と設立の意図 4 神道政治連盟の結成とその後の運動 5 安倍元首相と国家神道伊勢神宮 おわりに 第二章 日本人論と国家神道の関わり はじめに 1 中空構造無構造固有信仰 2 日本人論と国民道徳論 3 教育勅語国体論から日本人論へ 4 新たな 「神聖天皇」 言説 5 昭和前期戦中期の言説への回帰 おわりに 第三章 皇室典範と「万世一系」 はじめに 1 皇位継承問題と立憲主義 2 生前退位問題と立憲主義 3 生前退位否定の根拠と 「万世一系」 4 『皇室典範義解』 の終身在位論 第四章 生前退位と 「神聖な天皇」 1 天皇崇敬を重視する論者の反対論 2 天皇の人間性 3 天皇の神聖化の動き 4 「新日本建設に関する詔書」 との照応関係 5 象徴天皇制と信教の自由思想信条の自由 引用・参考文献 資 料 あとがき 索 引

本文紹介

「国家神道」とは何か。「神聖天皇の崇敬」という側面に注目して論点を整理し、その実像を明らかにする。

抜粋:「国家神道」とは何か。敗戦時に解体されたはずが、大きく縮減されつつも戦後も存続し、その「復興」を目指す動きは途絶えることなく試みられてきた。本書は「神聖天皇の崇敬」という側面に注目することで、国家神道をめぐる論点を整理するとともに、戦後日本の国家の底流にある「国体護持」の観念と神道の関わりや、日本国憲法下の象徴天皇制の在り方に考察を及ぼす。