書籍詳細

書籍のレビュー・概要

医療現場では何が課題だったのか。医療政策・医療行政のどこに問題があったのか。そして今後の展望は――。著者は日本医師会会長として初動の緊迫した半年間、新型コロナ感染症対応にあたった。この経験の中で得た教訓と、感染拡大から一年半余を経た現状を踏まえ、「かかりつけ医」と地域医療を重視する立場からの提言を記す。

新型コロナと向き合う

Takumi ブックス

新型コロナと向き合う

「かかりつけ医」からの提言

著者・関係者
横倉 義武 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2021/10/20
体裁
新書・254頁
ISBN
9784004319009
在庫状況
在庫あり

価格:946 円

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著者略歴

  • 横倉義武(よこくら よしたけ) 1944年生まれ。久留米大学医学部卒業。医学博士。福岡県医師会会長(2006‒2010)、第19代日本医師会会長(2012‒2020)、日本人で3人目の世界医師会会長(第68代、2017‒2018)などを経て、現在、社会医療法人弘恵会ヨコクラ病院理事長。医師になって50年来、患者さんに寄り添う安心できる医療を目指して、患者さんに最も身近な「かかりつけ医」の立場から地域医療を支える活動を続けている。

目次

  1. はじめに 第1章 〈ドキュメント〉新型コロナウイルス感染症との半年間 二〇二〇年一月――得体の知れない感染症の脅威 まずは情報連携の強化/早くも医療物資不足/日本医師会「新型コロナウイルス感染症対策本部」の設置/国民の生命か、経済か/水際対策の限界とサーベイランス/WHOのPHEIC宣言 二〇二〇年二月――まさかの一斉休校 まん延防止のための医療体制の構築始まる/医師の判断で検査ができない/見えぬコロナの様相/足りない感染症病床――厚労省の方針転換/国への六項目の要望/政府「新型コロナウイルス感染症専門家会議」初会合/医療現場と国民にどう伝えるか/検査体制の強化?/学級閉鎖すべきか――学校医の出番/オンライン診療/現場で問われる本医師会の考え/「帰国者・接触者外来」はどこだ/「新型コロナウイルス対策の目的」――専門家会議による基本的な考え方/「医療提供体制の方向性」――政府の基本方針と医療現場の懸念/感染拡大防止のためのメッセージ発信/国へ要望書を手交/学校一斉休校は何をもたらすか/「ダイヤモンド・プリンセス」号にJMAT派遣/クルーズ船内におけるJMATの役割 二〇二〇年三月――迷走するPCR検査 依然なくならない不適切事例/PCR検査保険適用への誤解/「帰国者・接触者相談センター」のパンク/「帰国者・接触者外来」のパンク/院内感染と濃厚接触者の判断/院内感染を防ぐための診療制限/オンライン診療の適用拡大/空床情報のネットワーク化/WHOの三つのシナリオ/「帰国者・接触者相談センター」と「帰国者・接触者外来」の強化/正しい医学的知見を伝えるために/医療従事者の濃厚接触者判断のその後/WHOのパンデミック宣言/防護具不足のその後/インフル特措法改正、緊急事態宣言発令準備整う/医療現場の懸念――医療従事者の感染/医療機関情報の把握/入院医療体制/医療提供体制をどうするか/「帰国者・接触者外来」への協力/軽症・無症状の陽性者の扱い/ワクチン開発への期待/「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」/PCR検査体制の再構築/保険適用わずか、いまだ行政検査/「帰国者・接触者外来」拡充をはばむ壁/抗体検査の測定キット/感染患者の増加を見据えた医療体制の構築/COVID-19JMAT/医師の生涯教育/日医独自の医療の緊急事態宣言へ/基盤としての財源システムの不在/感染者数の特徴 二〇二〇年四月――「緊急事態宣言」発令 「医療危機的状況宣言」/医療提供体制の窮状/政府、「緊急事態宣言」の発令/医療機関への財政支援策三つの柱/医師会からの様々な発信/有効な治療薬の兆し――シクレソニドとアビガン/自宅療養患者等に対するフォローアップ/医師会によるPCR検査センター/日医「COVID-19有識者会議」の発足/防護具不足の解消に向けて/重症患者の病床確保に向けて/救急医療の逼迫/緊急事態宣言の解除に向けて/医師会「地域外来・検査センター」運営マニュアル/アビガンの早期承認を/病院経営悪化の懸念 二〇二〇年五月――病院経営悪化、深刻に 受診控え――外来・入院患者数の減少/緊急事態宣言の延長/レムデシビルの承認/唾液によるPCR検査への期待/医療機関への財政支援を/第一波の収束――緊急事態宣言の解除/第二次補正予算の閣議決定 二〇二〇年六月――検査方法の進展 唾液によるPCR検査、保険適用へ/抗体検査、三都府県調査/抗原検査だけで陰性判断へ/医療経営の窮状続く/次世代の看護師養成のために/後回しになりがちな健診/退任 第2章 新型コロナウイルス感染症政策を考える 1 PCR検査の二つの顔 医療か公衆衛生か/検査数はなぜ伸び悩んだのか 2 防護具不足による医療崩壊の危機 感染防護具が足りない/医療界の団結と協力だけでは解決できない/産業界との連携体制の確立へ 3 コロナ医療と通常医療を両立させる医療提供体制の再構築 脆弱な感染症医療提供体制/陽性者はすべて入院という不都合――医療の本質と乖離した行政判断/入院・宿泊施設・自宅療養の仕組みへ/宿泊施設・自宅療養患者への健康支援/民間病院がコロナ患者を受け入れないのが悪いという風潮/病気はコロナだけではない――「コロナ医療」と「通常医療」の両立が重要/自宅療養患者への診療体制の強化 4 医療を守るには財源確保が必要 風評被害と医療機関の経営悪化/安定的財源確保という課題 5 感染症としての位置づけをどうするか 感染症法に基づく分類/既存の類型への位置づけでよかったのか 6 政策決定過程のあり方 7 治療薬の実用化に向けて 重症化リスクの高い方へのアビガン投与/レムデシビルの特例承認/治療薬の今後 8 ワクチン開発と接種をめぐる話 開発と接種に向けた法整備/国内ワクチン開発への期待/ワクチン副反応と救済制度 9 災害時の医療の役割――JMATをめぐって 医師会の被災者支援活動/感染症流行下におけるJMATへの新たな期待/大切なのは、オールハザードアプローチの視点 10 危機管理体制――「日本版CDC」の必要性 11 感染症対策を健康教育へ 子どもをいかに守っていくか/感染症に負けない人を育てる 第3章 「かかりつけ医」の果たす役割――感染症の教訓とともに考える 1 医師たるもの「かかりつけ医」となれ――父の教え 結核患者のために私財を投じた父/感染症予防に便槽の清潔活動/地域に溶け込んでなんぼ 2 コロナ医療と「かかりつけ医」 地域の医療連携体制の中心として/ワクチン接種と「かかりつけ医」 3 「かかりつけ医」の多様な働き かかりつけ医の役割と機能/かかりつけ医の育成/かかりつけ医の活動を支える 4 「かかりつけ医」をもとう おわりに

本文紹介

初動の緊迫した半年間に新型コロナ対応にあたった経験とその後の知見を踏まえた、医療現場からの提言。

抜粋:医療現場では何が課題だったのか。医療政策・医療行政のどこに問題があったのか。そして今後の展望は――。著者は日本医師会会長として初動の緊迫した半年間、新型コロナ感染症対応にあたった。この経験の中で得た教訓と、感染拡大から一年半余を経た現状を踏まえ、「かかりつけ医」と地域医療を重視する立場からの提言を記す。