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書籍詳細

書籍のレビュー・概要

日本中世、とりわけ室町期の社会は、各社会集団が自律的な「法」をもって対峙しあう多元性を特徴としていた。「自力救済社会」とも形容すべきその実像と、そこに生きた中世人の心性を、「習俗」への着目を通して解き明かすとともに、続く戦国期・近世への展望をも示す。法制史・社会史の視角を継承しつつ室町時代史研究を牽引してきた著者の、ここ二〇年間の研究成果を集成する。

室町社会史論

Takumi ブックス

室町社会史論

中世的世界の自律性

著者・関係者
清水 克行 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/10/14
体裁
A5・上製 ・カバー ・364頁
ISBN
9784000022354
在庫状況
在庫あり

価格:6,490 円

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著者略歴

  • 清水克行(しみず かつゆき) 1971年生まれ。立教大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、明治大学商学部教授。専攻は日本中世史、社会史。著書に『室町社会の騒擾と秩序』『大飢饉、室町社会を襲う!』『足利尊氏と関東』(以上、吉川弘文館)、『喧嘩両成敗の誕生』(講談社)、『日本神判史』(中央公論新社)、『戦国大名と分国法』(岩波書店)、『耳鼻削ぎの日本史』(文藝春秋)などがある。

目次

  1. 序 章 室町社会の特質 Ⅰ 在地社会の自律性 第一章 『看聞日記』に描かれた中世村落――山城国伏見荘 はじめに 一 伏見荘の姿 二 村々の姿 三 伏見荘の農業環境 おわりに――『看聞日記』に描かれなかった世界 第二章 「鞆淵荘下村歩付帳」を読む――紀伊国鞆淵荘 はじめに 一 鞆淵荘下村の集落 二 鞆淵荘下村の信仰 三 用水路開発と集落――大湯と柳瀬湯 四 谷田開発への挑戦――平野原と神路谷 おわりに 第三章 室町期畿内における町場の構造――大和国古市郷 はじめに 一 古市城と迎福寺 二 古市郷環濠内の構造 三 古市氏の古市郷支配 四 古市郷のなかの町と村 おわりに 第四章 新見荘祐清殺害事件の真相――備中国新見荘 はじめに――通説への疑問 一 ここちよく候間、我らまで目出候――百姓たちは事件をどうとらえていたのか 二 敵討なんどと申しかけらるる子細候とも、下馬の子細にて候――三職たちは何を恐れていたのか 三 家を作り候処にて、下馬咎め仕候――なぜ事件は起きたのか おわりに Ⅱ 室町幕府法と在地社会 第五章 足利義持の二つの徳政――山城国木幡浄妙寺の所職をめぐって はじめに――室町時代の徳政 一 義持の第一次徳政――『御前落居記録』第二八項を読む 二 義持の第二次徳政――『満済准后日記』応永三三年九月二一日条を読む おわりに――災異徳政から正長の徳政一揆へ 第六章 室町殿権力と広域逃散 はじめに 一 百姓逃散と逃散許容禁令 二 室町殿権力と逃散許容禁令 三 広域逃散の実態 おわりに Ⅲ 習俗が構成する中世社会 第七章 習俗論としての社会史 はじめに 一 戦後歴史学から社会史への系譜 二 日本の社会史とヨーロッパの社会史 三 八〇年代における習俗論の成果と課題 四 中世習俗論の総括のために 付録 日本中世慣習法一覧 補論 習俗論の射程 第八章 中世日本の互助金融――室町幕府の訴訟記録にみえる頼母子 はじめに 一 室町幕府の訴訟記録の世界 二 頼母子をめぐるトラブル 三 頼母子の「式目」 四 「逓減式」の誕生 おわりに――中世人の結集する力 第九章 日本中世後期の私文書と公権力 はじめに 一 無文書契約の意外な広がり 二 徳政と文書契約 三 戦国大名の買地安堵 おわりに 第一〇章 湯起請をめぐる室町人の意識 はじめに 一 共同体にとっての湯起請 二 当事者にとっての湯起請 三 為政者にとっての湯起請 おわりに――湯起請を支えた心性 第一一章 中世日本における人身御供の選抜法 はじめに 一 戦国のロシアンルーレット 二 貧乏くじの本義 三 貧乏くじと解死人制 四 貧乏くじの起源 おわりに――貧乏くじの論理 第一二章 習俗雑考 聖なる休戦日 法然の「敵討ち」をめぐって 武器としての「棒」 なぜ室町の酒屋は金融業を営んだのか? 人肉食研究の地平――氏家幹人『増補大江戸死体考』によせて 「強方」考 「儺房」考 「篠を引く」の起源と進化 Ⅳ 戦国時代への展望 第一三章 戦国の法と習俗 はじめに 一 呪術からの訣別 二 折中・中分への傾斜 三 職権主義の萌芽 おわりに 終 章 比較史と習俗論 一 比較史の可能性 二 湯起請の比較史 三 耳鼻削ぎの比較史 おわりに 初出一覧 あとがき 索 引

本文紹介

自律性と多元性を特徴とする室町時代の社会の実像を、「習俗」への着目を通して鮮やかに描き出す論文集。

抜粋:日本中世、とりわけ室町期の社会は、各社会集団が自律的な「法」をもって対峙しあう多元性を特徴としていた。「自力救済社会」とも形容すべきその実像と、そこに生きた中世人の心性を、「習俗」への着目を通して解き明かすとともに、続く戦国期・近世への展望をも示す。法制史・社会史の視角を継承しつつ室町時代史研究を牽引してきた著者の、ここ二〇年間の研究成果を集成する。