書籍詳細

書籍のレビュー・概要

前著『新しい労働社会』から12年。同書が提示した「ジョブ型」という概念は広く使われるに至ったが、今や似ても似つかぬジョブ型論がはびこっている。ジョブ型とは何であるかを基礎の基礎から解説した上で、ジョブ型とメンバーシップ型の対比を用いて日本の労働問題の各論を考察。隠された真実を明らかにして、この分析枠組の切れ味を示す。

ジョブ型雇用社会とは何か

Takumi ブックス

ジョブ型雇用社会とは何か

正社員体制の矛盾と転機

著者・関係者
濱口 桂一郎 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2021/09/17
体裁
新書・306頁
ISBN
9784004318941
在庫状況
在庫あり

価格:1,232 円

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著者略歴

  • 濱口桂一郎(はまぐち けいいちろう) 1958年大阪府生まれ。1983年東京大学法学部卒業。同年労働省に入省。東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て、2017年4月より、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長。 専門―労働法、社会政策 著作―『新しい労働社会――雇用システムの再構築へ』(岩波新書、2009年)、『日本の雇用終了――労働局あっせん事例から』(労働政策研究・研修機構、2012年)、『若者と労働――「入社」の仕組みから解きほぐす』(中公新書ラクレ、2013年)、『日本の雇用と中高年』(ちくま新書、2014年)、『働く女子の運命』(文春新書、2015年)、『働き方改革の世界史』(共著、ちくま新書、2020年)等多数。

目次

  1. はじめに 序 章 間違いだらけのジョブ型論 1 氾濫するおかしなジョブ型論 2 ジョブ型の毀誉褒貶 3 メンバーシップ型の矛盾 第1章 ジョブ型とメンバーシップ型の基礎の基礎 1 ジョブ型契約とメンバーシップ型契約 2 入口と出口とその間 3 賃金制度と「能力」 4 対照的な労使関係 5 非正規労働者と中小企業労働者 6 法律と判例の複雑な関係 第2章 入口と出口 一 入口――就職と採用 1 採用の自由と採用差別禁止 2 試用期間の意味 3 学歴詐称の意味 4 入口の年齢差別禁止法 5 周縁地帯の中途採用 二 入口以前の世界 1 教育と職業の密接な無関係 2 日本型雇用の収縮に取り残される教育 3 アカデミズムの幻想と職業訓練の世界 4 学び直しというけれど 5 学習のフォーマルとインフォーマル 三 定年と高齢者雇用の矛盾 1 定年退職は引退に非ず 2 根っこにある中高年問題 3 矛盾に矛盾を重ねる高齢者雇用対策 四 解雇をめぐる誤解 1 ジョブ型社会で最も正当な整理解雇 2 誤解だらけの「能力」不足解雇 3 現実社会の解雇の姿 4 移る権利・移らない権利 第3章 賃金――ヒトの値段、ジョブの値段 一 生活給を「能力」で説明した年功賃金の矛盾 1 職務評価による固定価格がジョブ型賃金 2 生活給から「能力」主義への曲がりくねった道 3 下がらない「能力」の矛盾とご都合主義の成果主義 二 日本版同一労働同一賃金という虚構 1 非正規労働者の均等・均衡処遇政策 2 同一労働同一賃金という看板を掲げた政策過程の裏側 三 家族手当と児童手当の間 1 家族手当の展開 2 児童手当の曲がりくねった細道 3 矛盾に満ちた家族手当 第4章 労働時間――残業代と心身の健康のはざま 一 残業代とエグゼンプションの迷宮 1 労働時間とは残業代と見つけたり 2 適用除外制度をめぐるねじれた経緯 3 月給制と時給制の一体化 4 管理職は職種か処遇か 二 本当のワーク・ライフ・バランス 1 夫と妻のワークライフ分業 2 迷走するワーク・ライフ・バランス 3 転勤という踏み絵 三 過労死防止のパラドックス 1 残業規制の源流は過労死裁判 2 健康とプライバシーのはざま 四 メンタルヘルスの迷宮 1 メンタルヘルスのパターナリズムとプライバシー 2 メンバーシップ型はパワハラの培養土 第5章 メンバーシップの周縁地帯 一 女性活躍というけれど 1 女子は若いのに限る――花嫁候補のOLモデル 2 ジョブの平等、コースの平等 3 ジョブなき社会の女性活躍 二 障害者という別枠 1 メンバーシップ型になじまない障害者雇用 2 発達障害と躁鬱気質のパラドックス 三 ローエンド外国人――サイドドアからフロントドアへ 1 サイドドア型外国人労働者導入政策 2 サイドドアからフロントドアへ 四 ハイエンド外国人の虚実 1 ジョブ型「技人国」在留資格とメンバーシップ型正社員の矛盾 2 専門職はどこまで高度か 第6章 社員組合のパラドックス 一 企業別組合――労働組合だけど従業員代表 1 ジョブ型社会の労働組合と従業員代表 2 事業一家の覇者交替 3 戦後日本社会の設計図 4 労働争議の蔓延と絶滅 二 従業員代表制は転機になるか? 1 企業別組合から排除された人々 2 一九四九年改正の隠れた意図 3 企業別組合と従業員代表制の複雑な関係 参考書

本文紹介

間違いだらけの「ジョブ型論」を一刀両断。返す刀で、日本の様々な労働問題の深層に斬り込む。

抜粋:前著『新しい労働社会』から12年。同書が提示した「ジョブ型」という概念は広く使われるに至ったが、今や似ても似つかぬジョブ型論がはびこっている。ジョブ型とは何であるかを基礎の基礎から解説した上で、ジョブ型とメンバーシップ型の対比を用いて日本の労働問題の各論を考察。隠された真実を明らかにして、この分析枠組の切れ味を示す。