カテゴリー

書籍詳細

書籍のレビュー・概要

いじめが社会問題化して30余年、子どもの自殺→原因究明→再発防止、という構図が一般化した。「いじめ防止対策推進法」の制定など、社会に大きな影響をもたらした「大津市いじめ自殺事件」は私たちに何を問うているのか。過熱報道、被害者遺族、加害者とされた側、教師らの経験など、その複雑な全体像に迫る問題提起の書。

囚われのいじめ問題

Takumi ブックス

囚われのいじめ問題

未完の大津市中学生自殺事件

著者・関係者
北澤 毅 編・間山 広朗 編
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/09/10
体裁
四六・上製 ・カバー ・334頁
ISBN
9784000614887
在庫状況
在庫あり

価格:3,080 円

カートを見る

著者略歴

  • [編者] 北澤 毅(きたざわ たけし)(序章、第4章、終章) 1953年生。立教大学名誉教授。教育社会学、逸脱の社会学。『少年犯罪の社会的構築――「山形マット死事件」迷宮の構図』(共著、東洋館出版社)、『「いじめ自殺」の社会学――「いじめ問題」を脱構築する』(世界思想社)など。 間山広朗(まやま ひろお)(第2章、第8章) 1974年生。神奈川大学人間科学部教授。教育社会学、いじめ問題・学校授業の社会学。「概念分析としての言説分析――『いじめ自殺』の〈根絶=解消〉へ向けて」『教育社会学研究』第70集、「いじめの定義問題再考――『被害者の立場に立つ』とは」北澤毅編『〈教育〉を社会学する』(学文社)など。

目次

  1. 序章 「いじめ」とは何か――苦痛・事実・社会問題……………北澤 毅 一 「いじめ」定義問題 二 「事実」とは何か 三 「大津市いじめ自殺事件」をめぐる本書の問題関心 四 本書の構成 Ⅰ 社会問題化した「大津市いじめ自殺事件」 1 新聞報道にみる「大津市いじめ自殺事件」の社会問題化……………越川葉子 一 「大津市いじめ自殺事件」報道のはじまり 二 「社会問題になる」とは 三 社会問題化以前の大津市事件 四 「市教委の隠蔽」問題の成立と社会問題化 五 事件の社会問題化と新聞報道 2 いじめ自殺テレビ報道の再構成――報道の集合と場面の力……………間山広朗 一 二つの問題関心 二 集合としてのテレビ報道 三 事件が「社会問題化」するということ 四 テレビ報道の手法 五 テレビ報道場面を理解するということ 六 報道と視聴者の囚われ 3 何が「隠蔽」されていたのか――「いじめ問題神話」としてテレビ報道を読み解く……………稲葉浩一 はじめに 一 マスメディアにおける「社会問題化」の方法 二 社会問題化過程の中の〈有識者〉 三 大津市事件報道で伝えられたこと おわりに――「いじめ問題神話」とお茶の間の狂気 4 「事実」認定の方法と論理――第三者調査委員会報告書と判決文を読む……………北澤 毅 一 問題関心と分析方法 二 Xの意味世界と希死念慮 三 Xをめぐる人間関係――元担任の語りと生徒たちの目撃証言 四 「事実」認定方法としての過去の再構成 Ⅱ 当事者経験への接近 5 「いじめ自殺」事件をめぐる〈遺族〉の経験……………今井 聖 はじめに 一 「いじめ自殺」事件における「学校の壁」――『いじめ自殺――一二人の親の証言』から 二 〈遺族〉カテゴリーの社会的意味 三 〈遺族〉としての経験の共有 四 事件はいかに経験されるのか――大津市事件の遺族の語りから おわりに 6 「いじめの加害者になる」という経験――元生徒と保護者の語り……………越川葉子 一 いじめの加害者とされる人々の経験を聞く 二 いじめ問題における当事者の語りの位置 三 いじめの事実認定以前の噂の存在 四 いじめの事実認定と保護者の経験 五 一〇月五日の出来事の解釈をめぐる問題 六 「加害当事者」の抑圧経験 7 「大津市いじめ自殺事件」における「中心」のリアリティ――担任教師の証言をてがかりに……………稲葉浩一、山田鋭生 一 片隅においやられた教師の声 二 非難される教師――いじめ問題小史の中で 三 「中心」のリアリティと「外縁」の物語 四 教師が語り手となるためには Ⅲ 囚われからの解放へ 8 未完のいじめ自殺――物語としての判決と羅生門的解釈……………間山広朗 一 物語としての裁判 二 争点としてのいじめ 三 争点としての家庭問題 四 二つの争点の「客観的」な検討 五 判決物語の続きとしての羅生門的解釈 六 未完のいじめ自殺 9 「大津市いじめ自殺事件」報道後の子どもたちが生きる場所――いじめ防止対策推進法と高裁判決の相克の先に……………紅林伸幸 一 限界を抱えるいじめ対策 二 いじめへの二つのまなざし 三 いじめ防止対策推進法下の学校 四 子どもに注がれているまなざし 五 七年後の世界へ――カラフルな学校は可能か 終章 「囚われ」の意味するところ――『3月のライオン』のいじめ観の先へ……………北澤 毅 一 「傍観者」という囚われ 二 「いじめ苦→自殺」という囚われ――いじめ裁判と大津市事件 三 「いじめ問題」の解決とは――囚われからの解放を目指して あとがき

本文紹介

社会に大きな影響をもたらした「大津市事件」の複雑な全体像を描き出し、現代の「いじめ観」に修正を迫る。

抜粋:いじめが社会問題化して30余年、子どもの自殺→原因究明→再発防止、という構図が一般化した。「いじめ防止対策推進法」の制定など、社会に大きな影響をもたらした「大津市いじめ自殺事件」は私たちに何を問うているのか。過熱報道、被害者遺族、加害者とされた側、教師らの経験など、その複雑な全体像に迫る問題提起の書。