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書籍のレビュー・概要

関東大震災と戦争による圧倒的な崩壊を前に、人の弱さへの痛切な思いに貫かれた思想家は、ある独特な行動に乗りだした。『歴史の暮方』『共産主義的人間』を著した林達夫の〈編集者〉としての側面に光を当て、その生涯を描き直した力作。彼にとって書籍の周囲を編み直すことは、小さな社会の編成と同義であったのだ。

林達夫 編集の精神

Takumi ブックス

林達夫 編集の精神

著者・関係者
落合 勝人 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/08/04
体裁
四六・上製 ・カバー ・374頁
ISBN
9784000614825
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著者略歴

  • 落合勝人(おちあい かつと) 1969年生まれ。埼玉県出身。93年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業、集英社に入社。文芸書、小説すばる等を経て、2001年より新書編集部に在籍。『悩む力』(姜尚中著)をはじめ多数の書籍を手掛ける。14年より集英社新書編集長。仕事の傍ら思想史を学び、19年、法政大学大学院政治学研究科博士後期課程修了(政治学博士)。

目次

  1. 序 章 "知識人/編集者"の時代 編集者としての林達夫 "知識人/編集者"の登場 "知識人/編集者"たちの自画像 もう一つの京都学派 "知識人/編集者"の純粋型 鵠沼のサロン――関東大震災前後の人脈の断層 第一章 "崩壊"の経験、一九二三年 はじめに 鵠沼御殿の倒壊 第一節 一度目の"崩壊" 二年間の沈黙 "代弁者"としての清水幾太郎 清水幾太郎の怒り――「平時/日常」の欺瞞の告発 林達夫の好奇心――「平時/日常」の構造への眼差し 抱え込んだ「地獄」 "書籍の周囲"の激変――「襲いかかる書籍の大いなる波」 テーヌの影 第二節 二つの反応 震災前の万神廟 "聖者"の発見――サバティエ『アッシジの聖フランチェスコ』 編集へ――一九二六年の林達夫と深田康算 "編集者"の発見――「社会史的思想史中世」と「書籍の周囲」最終話 第三節 "書き言葉"の根底で蠢くもの トルバドゥール、ジョングルール、編集者 「読む人、書く人、作る人」――演劇イメージの出現とベルクソン 第二章 小さな社会 はじめに 『思想』と『日本資本主義発達史講座』 第一節 『日本資本主義発達史講座』へのスタンス 岩波書店と「左翼的社会思想に関する出版」 出版企画受け入れの詳細 推挙のリレー 書店の本音 刊行中止の危機――第四回配本と最終回配本のあいだ 「助言者、相談役」 第二節 関東大震災後の"鵠沼グループ" 林達夫と野呂栄太郎 震災後の鵠沼に生まれた"小さな社会" 第三節 先行世代との対立 「岩波の人間」 和辻哲郎との対立 岩波茂雄との対立 小泉信三の雑感 「これから得たいと願うもの」 第三章 "崩壊"の経験、一九四〇年 はじめに 新体制 第一節 二度目の"崩壊" ふたたび崩落する"書籍の周囲" 東方社問題 「反語的精神」――第二のサイクルへ "崩壊"の反復 第二節 二つの反応 波多野精一の書目リスト 人格をめぐる思想史 一粒の種子 "崩壊"後の読書を通じた"聖なるもの"への希求 「精神史」について――「魔術師」と「洞窟の芸術家」のあいだ ふたたび、編集へ 第三節 幻 滅 繰り返される"庭園"のイメージ 「三木清の思い出」の背景 時代の"後衛"へ――「中央公論社の現状について」 第四章 破片の蒐集家 『共産主義的人間』と"知識人/編集者"花田清輝 平和問題談話会への嫌悪感 宗教の破片の蒐集家 強引な磁石 宗教的人間 「聖者の顔」ふたたび 「聖者の顔」の正体 "ディドロ/小場瀬卓三"の影 『ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日』と"俳優=聖者"の復活劇 おわりに 注 あとがき 年 譜 人名索引

本文紹介

圧倒的な崩壊を前に、思想家はある独特な行動に乗りだした。林達夫を〈編集者〉として描き直した力作。

抜粋:関東大震災と戦争による圧倒的な崩壊を前に、人の弱さへの痛切な思いに貫かれた思想家は、ある独特な行動に乗りだした。『歴史の暮方』『共産主義的人間』を著した林達夫の〈編集者〉としての側面に光を当て、その生涯を描き直した力作。彼にとって書籍の周囲を編み直すことは、小さな社会の編成と同義であったのだ。