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書籍のレビュー・概要

国内外で活躍するための必須スキルとされる「論理的思考」。だが実は、「何を論理的・説得的と感じるか」は普遍的なものでなく、ある国(文化)で論理的とされるものが、ほかでは非論理的だと受け取られることも。本書では、日や米とも異なるフランスの「論理的思考」と、それが社会的に構築される様相と背景を読み解く。

「論理的思考」の社会的構築

Takumi ブックス

「論理的思考」の社会的構築

フランスの思考表現スタイルと言葉の教育

著者・関係者
渡邉 雅子 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/07/16
体裁
A5・上製 ・カバー ・274頁
ISBN
9784000026062
在庫状況
在庫あり

価格:4,620 円

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著者略歴

  • 渡邉雅子(わたなべ まさこ) 名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。 コロンビア大学大学院博士課程修了。Ph.D.(博士・社会学)。専門は知識社会学、比較教育・比較文化、カリキュラム学。 主著に『納得の構造――日米初等教育に見る思考表現のスタイル』(東洋館出版社、2004年)、編著『叙述のスタイルと歴史教育――教授法と教科書の国際比較』(三元社,2003年),論文「フランスの思考表現スタイルと政治的教養の育成――アメリカとの比較から」『教育学研究』84巻第2号2017年、180-191 頁、"Typology of Abilities Tested in University Entrance Examinations : Comparisons of the United States, Japan, Iran, and France," ComparativeSociology, 14(1), 2015, pp.79-101 など。

目次

  1. 序 章 1 思考表現スタイルと論理的思考 2 学校の特別な役割 3 小論文の型と「論理的である」と感じる根拠 4 なぜフランスなのか 5 本書の構成 第一部 論文構造から生まれる論理と思考法――哲学と文学のディセルタシオン 第1章 論文の構造と論理の型――エッセイとディセルタシオン 1 「論理的」であることの探求 2 ディセルタシオンの構造と論理――エッセイとの比較から 3 構造から導かれる米仏の論理の特徴 第2章 哲学のディセルタシオンと哲学教育――吟味し否定する方法を教える 1 哲学のディセルタシオンの特別な地位 2 哲学教育の目的、内容構成と方法 3 哲学のディセルタシオンを書く 4 哲学のディセルタシオンを分析する 5 小括――哲学のディセルタシオンに見る思考表現のスタイル 第3章 文学のディセルタシオンと文学教育――文学鑑賞と論理的思考 1 高校のフランス語(文学)教育――目的と構成 2 文学の論述問題 3 文学のディセルタシオンを書く 4 文学のディセルタシオンに見る弁証法の論理 第4章 ディセルタシオンの歴史――新しい社会の論理の模索、伝統と革新の接点 1 伝統的な教育――フランスの論理的文化と三つの形式主義 2 フランス革命とディセルタシオンの創造 3 哲学教育とディセルタシオン――自由に自律して考えるための訓練の創造 4 小括 ディセルタシオンは教育を刷新したか――変わったものと変わらなかったもの 第二部 論理的思考の段階的な訓練――ディセルタシオンを目指した言葉の教育の全体像 第5章 小学校で教えられる論理――言語の内的論理と視点の一貫性 1 文法・描写・物語を通した論理的思考 2 作文(rédaction)――形式による論理的一貫性を学ぶ訓練 3 物語の創作における二つの訓練――視点による論理的一貫性と物語の「定義と型」の習得 第6章 中等教育で育まれる論理――「論証」から「弁証法」へ 1 中学校における「論証」――自然の配置から論理の配置へ 2 高校で育まれる論理――弁証法という思考の飛躍 3 小括――高校で育まれる論理と論理的思考 第三部 判断し行動するための論理――推論する、討論する、合意するための教育 第7章 歴史教育――過去の解釈と未来予想に見る推論の型、「合理性」の判断基準 1 フランスの歴史教育の構成――教科書に見る時間の概念と歴史認識 2 フランスの歴史教科書の構造と授業の構造 3 過去はどう語られるか――フランスの歴史授業の五つの特徴 4 視覚イメージで教える効果――見えるものから「見えないもの」を読み解く 5 いかに評価するか――良い説明(歴史の語り)と求められる能力 6 未来はどう捉えられているか――歴史教育に見る過去・現在・未来の構造 第8章 歴史教育の歴史に見る思考法の変遷 1 歴史教育の転換点(一九七〇年代の改革)――新教育とアナールの歴史研究の方法 2 揺り戻しと新たな発展――公民教育としての歴史と年代史・政治史の復活(一九八〇年代) 3 史料から構築する歴史へ――生徒の多様化とデカルト的方法(一九九〇年代から) 4 グローバル化・情報化への対応――共通基礎の導入 5 二〇〇〇年以降のディセルタシオンの大衆化と歴史教育――理想と現実、断絶と継承、批判と実像 6 教育の大衆化とテーマとイメージによる歴史 第9章 市民性教育――合意形成の手続き 1 言葉の定義を通した合意形成と共通の文化の構築 2 学級の規則作り――手続きの遵守と形式主義(公民科) 3 言葉の定義から「判断の基準」を学ぶ 4 「社会は変えられる」――フランス革命の遺産を伝えるプロジェクト 5 哲学による前提の合意形成――歴史に学び、共同体の文化を形成する討論 6 討論から政治的行動へ 7 政治教育としての市民性教育――言葉の定義と手続き遵守の社会生活への適用 終 章 フランス社会の〈論理〉の構築――ディセルタシオンが導く思考表現スタイル 1 思考表現スタイル――思考・判断・表現の型 2 社会の利益か、個人の目的達成か――共和主義と民主主義 3 民主主義型の思考表現スタイル――補助線としてのアメリカ 4 結語 小論文の〈論理〉から考える社会の未来――フランス、アメリカ、そして日本 あとがき 参考文献 資 料

本文紹介

日や米とも異なる、仏独自の「論理的思考」と、それが社会的に構築される背景を読み解く。

抜粋:国内外で活躍するための必須スキルとされる「論理的思考」。だが実は、「何を論理的・説得的と感じるか」は普遍的なものでなく、ある国(文化)で論理的とされるものが、ほかでは非論理的だと受け取られることも。本書では、日や米とも異なるフランスの「論理的思考」と、それが社会的に構築される様相と背景を読み解く。