書籍のレビュー・概要
「今日もどこかではっきよい!」 世界中から国技館に集まった少年力士たち、女相撲の大横綱、女子高校生の相撲部、スーパーマーケットを切り盛りする力士たち、沖縄角力の伝説の猛者、韓国シルムのプロ選手、モンゴル相撲の闘う人類学者……。相撲を愛するスー女(相撲女子)2人が出会ったのは、生まれた国も年齢もバラバラ、だけど一途に相撲を愛し、国籍、性別、社会環境を乗り越えて土俵に立つ世界の「おすもうさん」たちだった! ◇ 推薦のことば 体が小さくても、若くなくても、女性でも、どこの誰から生まれても、 相撲って取っていいんだよね! 星野智幸 さん 僕もモンゴル相撲日本大会(@代々木公園)を見に行ったことがあります。 無限ですね、イッツ・ア・すもうワールド! えのきどいちろう さん 「大相撲」はテレビで見ても、世界の「おすもう」を私たちはどれだけ知っていよう。 「沖縄角力」と交流している韓国「シルム」は、モンゴルの「ブフ」ともつながり、インドの「クシュティ」にも似ている。 著者は、指導者の、そして選手の聞き役に徹することで、歴史や、社会、人生までを探ってゆく。 そこには、ルールのもとで、人と人とがぶつかり合う楽しさがあった。 裸でふんどしなんで恥ずかしいと、やりたいとまでは思わなくなった人が多い日本だが、世界では女性も多く活躍していて、日本のルールでの国際大会まであった驚き。 「相撲」は「大相撲」だけではない。世界に「SUMO」は広がっていた。 教文館・伊藤豊 さん トラック運転手の日本女性、スーパーマーケットで働くモンゴル人の男性、ベトナム戦争へ従軍した韓国人の男性……と一見縁遠い存在に思われる人びとの暮らしや仕事の話を、和田靜香さん、金井真紀さんが訊ねるという構図が面白くないわけがなく、するする興味深く読んでしまった。出身も習慣も多様な人びとの共通項が「相撲」ただひとつであるということに驚く。 スーパーで働くチンバトさんの「店長にまでなったのは、相撲でいえば関取になったということでしょう?」の一言は、人生の悲喜こもごもがギュッとこもっていてとてもすばらしい。 相撲のことも世界のことも身近に感じる入り口になってくれる一冊。 タロー書房・五坪侑恵 さん 「気は優しくて力持ち」 ドカベンの歌詞ではないが、そうなりたくてもなかなかなれるものではないあこがれを、わたしたちの身近にいる「おすもうさん」は身につけている。しかし「おすもうさん」がこんなに近くに、世界じゅうにいるものだとは知らなかった。仕事もがんばって、大好きな相撲も続けて……、そのことはほかの人とちっとも変わらない。読むと自由な風が吹きぬけるような、ひたむきで親しみやすい本。 本屋Title・辻山良雄 さん 『世界のおすもうさん』、楽しく拝読いたしました。 スッと、気軽に読めるのに、味わい深いエッセイは久しぶりでした。 相撲は、女人禁制・日本の伝統みたいなイメージが強いですし、伝統という意味では、なかなか変わらないのでしょうが、それでもああして日常に結び付いたドラマがあるからこその「伝統」なのだろうなぁ、と思いました。 生きることと、暮らしに結び付かない伝統なんて意味がない、と言ったら怒られるかもしれないですが。 個人的には、スーパーをやりながら、仕事の後にみんな集まって相撲をする、というのは、とても美しい光景だなぁ、と。小さい頃から、本屋と同じくらいスーパーが好きだったことを思い出しました。 BOOKS青いカバ・小国貴司 さん 「世界のおすもうさん」の世界の豊かさを感じました。相撲が好きなだけでなく、権威や既成概念に捉われない著者二人だからこそ、きっと「おすもうさん」たちも心をひらき、深い話をしてくれたのではないかと思います。 今まさにホットな「フェミニズム」の話としても読めました。シルムの基本給や勝利給のシステムに男女差がなかったり、ドイツでは女性が相撲人口の半分を占めていたり。何よりも日本の相撲を「SUMO」として世界に拡めたのは女性の力だったって、痛快です! 囚われない彼女たちの熱量と自由さが世界の人たちの心を動かしたということに、心動かされました。「わきまえろ」とか言ってるおじさん、聞いてるかー! 文化的なものが国境(=ボーダー)を越え異国で受け入れられローカライズされていくのを目にすると、心の中に自由の風が吹くようで、気持ちがいいです。国境も民族も、そして性差も超えていく「世界のおすもうさん」を追った唯一無二のレポート。コロナ禍でできなかった取材もあった悔しさも味付けとして、コロナ禍の憂鬱を土俵外まで押し出せる気持ちのいい一冊だと思います。 ポルベニールブックストア・金野典彦 さん 金井真紀さんに「人」を語らせたら、面白おかしく、天才的です。パリのおじさんや、農に携わるひと。金井さんが出会ったひとの誰もが魅力的に書いてあって、自分もこのひとたちに会ってみたいと思わせる明るさがあります。 金井さんの筆と絵の力もありますが、きっと、本当に素晴らしいひとたちにお会いになっているんだと思います。そして、それが本になっている。文章になっている。そのひと個人の性格や「チャーミング」な笑顔をきっちり捉えながら、自ずと、そこに書かれているひとを身近に感じさせるものです。 数年前、大阪場所を観に行った際、幕下の力士に知った名前がありました。小学生の頃に参加していたちびっ子相撲で無類の強さを誇った彼でした。四股名で呼ばれ、その堂々たる体躯をマス席から眺めていると、かつての対戦時に片手で投げ飛ばされ、擦り剥いた怪我が彼を応援するように疼きました。 こうした物語が、誰にもあるものです。 金井さんは、そうした物語を見つけ出す才能に富み、彼女自身も物語に溢れたひとだと思います。 恵文社一乗寺店・鎌田裕樹 さん 年齢や性別、国籍も、プロもアマチュアも関係ない。相撲という競技に魅せられてしまった人生を、土俵の上で踏みしめる力士たちの姿に、爽やかな感動を覚えました。 いったいスポーツは誰のためのものなのか? それが分からなくなってしまうようなニュースを目にする機会も多い昨今に、鮮やかなカウンターとなる一冊だと思います。 本屋プラグ・嶋田詔太 さん