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書籍詳細

書籍のレビュー・概要

従来の国策会社の研究では、国策の形成・遂行過程における軍部や政府等の利害の角逐に重きがおかれ、株式会社という組織形態がもつ意味については等閑視されてきた。本書は、典型的な国策会社「台湾拓殖」の設立や資金調達、経営実態等にかんする経済・経営史的分析を通し、国策会社の本質と日本の植民地経営の特質を描き出す。

国策会社の経営史 台湾拓殖から見る日本の植民地経営

Takumi ブックス

国策会社の経営史 台湾拓殖から見る日本の植民地経営

著者・関係者
湊 照宏 著・齊藤 直 著・谷ヶ城 秀吉 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2021/03/17
体裁
A5・上製 ・カバー ・278頁
ISBN
9784000229760
在庫状況
在庫あり

価格:8,140 円

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著者略歴

  • 湊照 宏(みなと てるひろ) 1974年広島県生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。現在、立教大学経済学部教授。台湾経済史・産業史。著書に『近代台湾の電力産業――植民地工業化と資本市場』(御茶の水書房、2011年)、「台湾の高成長と経済政策」武田晴人・林采成編『歴史としての高成長――東アジアの経験』(京都大学学術出版会、2019年)など。 齊藤 直(さいとう なお) 1974年愛知県生まれ。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。現在、フェリス女学院大学国際交流学部教授。日本経営史・金融史。著書に『産業経営史シリーズ11 金融業』(共編)(日本経営史研究所、2019年)、「戦前日本における「変態増資」と株式時価発行」『証券経済研究』(第103号、2018年)など。 谷ヶ城秀吉(やがしろ ひでよし) 1975年福島県生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、専修大学経済学部教授。日本経済史、アジア経済史。著書に『帝国日本の流通ネットワーク――流通機構の変容と市場の形成』(日本経済評論社、2012年)、「高度成長下における日本の貿易と総合商社」堀和生・萩原充編『"世界の工場"への道――20世紀東アジアの経済発展』(京都大学学術出版会、2019年)など。

目次

  1. 序 章 分析対象としての台湾拓殖……………湊 照宏・齊藤 直・谷ヶ城秀吉 1 本書の課題と位置づけ 2 国策会社のあり方を問う今日的意味 3 分析対象としての台拓 4 研究史の整理と本書の課題 第1章 国策会社の概念規定と分析視角――国策会社の本質は何か……………齊藤 直 1 はじめに 2 先行研究の批判的検討 3 国策会社の概念規定 4 国策会社の分析視角 5 おわりに 第2章 設立経緯と政府――何が期待され,どのように制度設計がなされたか……………谷ヶ城秀吉 1 はじめに 2 プロトモデルの提起と継承 3 台拓の設立と台湾総督府 4 おわりに 第3章 事業展開と金融構造の概観――どこから資金を調達し,何に使ったのか……………湊 照宏 1 はじめに 2 事業内容 3 資金調達 4 収益性 5 おわりに 第4章 株式による資金調達と株式市場――国策会社の資金調達は容易であったのか……………齊藤 直 1 はじめに 2 設立時における制度設計と株式割当 3 台拓株主と株価の動向――概観 4 株主行動の分析 5 法人株主の動向 6 台拓の対応 7 おわりに 第5章 社債発行と金融機関・政府――金融機関・政府は協力的であったのか……………齊藤 直 1 はじめに 2 台拓の社債発行 3 1937年度における予備交渉と挫折 4 1938年9月における交渉 5 1938年11月以降における交渉と社債発行の決定 6 おわりに 第6章 国策性事業の展開(1)――いかに低収益であったのか……………湊 照宏 1 はじめに 2 増資前の各事業「利益率」 3 台拓の仏印事業 4 仏印事業の収益性 5 隠された低収益と負担の分散 6 おわりに 第7章 国策性事業の展開(2)――「国益」と「私益」をどのように両立させようとしたのか……………谷ヶ城秀吉 1 はじめに 2 台拓の華南占領地計画 3 華南占領地経営の展開と後退 4 海南島事業の展開と補助金 5 おわりに 第8章 政府出資と補助金――低収益はどのように補われたのか……………谷ヶ城秀吉 1 はじめに 2 台拓設立時における収支計画と実績 3 台拓の社有地経営と収益性 4 台拓と国庫補助金 5 おわりに 第9章 内部資本市場としての国策会社――どのような機能を果たしたのか……………湊 照宏 1 はじめに 2 内部資本市場の形成 3 増資前における「投資及事業益」 4 内部資本市場の変容 5 増資後における「投資及事業益」 6 おわりに 終 章 台湾拓殖から見る日本の植民地経営……………湊 照宏・齊藤 直・谷ヶ城秀吉 1 終戦と台拓の終焉 2 総括 3 結語――国策会社の本質と戦後への遺産 注 参考文献 あとがき 索 引

本文紹介

典型的国策会社「台湾拓殖」の経営史的分析を通し、国策会社の本質と日本の植民地経営の特質を描き出す。

抜粋:従来の国策会社の研究では、国策の形成・遂行過程における軍部や政府等の利害の角逐に重きがおかれ、株式会社という組織形態がもつ意味については等閑視されてきた。本書は、典型的な国策会社「台湾拓殖」の設立や資金調達、経営実態等にかんする経済・経営史的分析を通し、国策会社の本質と日本の植民地経営の特質を描き出す。