書籍詳細

書籍のレビュー・概要

「女性である」という「普通」のことに差別や抑圧を見出すという「常識外れ」な主張は、どのように生まれ、いかなる変革を成し遂げてきたのか。共感と反感の嵐にさらされながら多様な展開を生んでいる思想・運動。そのあゆみを長期的な視点から振り返り、フェミニズムとはいったい何なのか、わかりやすく語りかける。

フェミニズム

Takumi ブックス

フェミニズム

著者・関係者
江原 由美子 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2026/02/20
体裁
新書・286頁
ISBN
9784004320982
在庫状況
在庫あり

価格:1,166 円

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著者略歴

  • 江原由美子(えはら・ゆみこ) 1952年横浜生まれ.東京大学大学院社会学研究科博士課程中退,博士(社会学) 現在─東京都立大学名誉教授 主著─『ジェンダー秩序 新装版』(勁草書房) 『増補 女性解放という思想』(ちくま学芸文庫) 『持続するフェミニズムのために』(有斐閣) 『自己決定権とジェンダー』(岩波書店) 『ジェンダーの社会学入門』(共著,岩波書店)など

目次

  1. 序 章 フェミニズムをどう見るか フェミニズムはわかりにくい? 「女性である」ことは何を意味するのか 広い視点・長期的視点でフェミニズムを見る 近代社会に対する根本的問いかけとしてのフェミニズム 第1章 近代社会と女性――近代フェミニズムの問題域 1 フェミニズムの歴史の捉え方 フェミニズムは、いつ、どこで生まれた? 人間は誰もが平等、しかし男女は平等ではない? 2 近代は女性を解放したか 前近代ヨーロッパとジェンダー秩序 啓蒙思想のインパクト ジェンダー視点の欠落した歴史観 3 啓蒙主義とフェミニズムの誕生 声をあげた女性たち リベラリズムとフェミニズム 女性の権利はいかに否定されたか 公私二元論 「科学」が果たした役割 フェミニズムは男性憎悪? 第2章 市民革命と女性 1 一九世紀前半の西欧社会とフェミニズム 沈静化 フランスとドイツの一九世紀 社会変動に注目する 2 市民権と徴兵制 「我々の危機」に動員される 軍隊への参加による序列化 3 軍事化された男性性 「国民の使命」 武器をとる「男らしさ」 戦わない男性は「女のようだ」 4 産業革命と性役割分担 産業革命がもたらしたもの 女性の職業参加 世話し、扶養される存在 5 一九世紀における女性の働き方 女性の「居場所」はどこ? 女性はどこで働いていた? 6 ヨーロッパの女性運動の展開へ 第3章 女性参政権――イギリスとアメリカ 1 イギリス近代社会とジェンダー 身分制が残存したイギリス 「男らしさ」の地位 2 慈善活動から女性参政権運動へ 「生まれと結婚」に左右される 慈善活動から始まる なぜ「他者のため」なのか 踏み出した第一歩 3 サフラジェット パンとバラを求めて 実力闘争への転換 第一次世界大戦 4 奴隷制度廃止運動から「女性の権利」へ 女性参政権運動と奴隷制度廃止運動 セネカフォールズ会議 運動の分裂 5 女性労働運動と第一次世界大戦 アメリカの労働運動 戦争協力と女性参政権の実現 第4章 社会主義とフェミニズム 産業化の波と社会主義の広がり 1 初期社会主義思想とフェミニズム 2 マルクス主義の誕生 マルクスと女性解放 エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』 女性参政権運動は労働者階級に敵対する? 3 ドイツの社会主義運動と女性社会主義者 4 ロシア革命と女性政策 世界初の社会主義国家 ソヴィエト連邦の男女平等政策 5 第一波フェミニズムとはなんだったのか 「公的領域」への参加 第一波を引き継ぎ、その先へ 第5章 二つの世界大戦と戦間期における女性 総力戦体制と女性 1 英米における女性参政権の成立 イギリス初の女性議員 アメリカ初の女性議員 2 女性参政権成立後の市民社会と女性 女性参政権さえ成立すれば? むしろ補強された性役割分担 自立への道 3 第二次世界大戦と女性動員 最大規模の戦争 連合国での女性動員 同盟国での女性動員 4 第二次世界大戦の終結と戦後社会 第6章 日本のジェンダー秩序とフェミニズム 1 近世以前の日本のジェンダー秩序 高かった女性の社会的地位 平安の女性たち 中世の女性たち 2 日本近世のジェンダー秩序 「イエ」制度と大奥 『女大学』は何を説いていたのか 3 明治期から第二次世界大戦終結までのジェンダー秩序 日本の近代化と新たな緊張 ジェンダーの転換 明治政府の女性政策 日本の第一波フェミニズム 4 戦後社会と女性参政権の実現 「婦人の解放」 「上からの解放」の課題 第7章 第二波フェミニズム――第二次世界大戦後の社会 戦後のスタート 再び「家庭」の中へ 1 「アメリカ的生活様式」と「女らしさの神話」 憧れの的だった「アメリカ的生活様式」 中産階級の理想と専業主婦 社会規範と現実の齟齬 第二波を準備したもの 2 第二波フェミニズムの誕生――NOWとラディカル・フェミニズム フリーダン『女らしさの神話』とリベラル・フェミニズム 「自由のためのゴミ箱」とラディカル・フェミニズム 第二波フェミニズム 3 第二波フェミニズムの波及――アメリカからヨーロッパや日本へ 社会主義の影響を受けたイギリス ボーヴォワール『第二の性』 ウーマン・リブ 4 フェミニズムの諸理論 学術・出版という展開 「私的領域」における男女の支配関係 ラディカル・フェミニズム 個人的なことは政治的 マルクス主義フェミニズム 家事労働をめぐって 資本制と家父長制 ポストモダン・フェミニズム 第8章 現代社会とフェミニズム ネオリベラリズム バックラッシュ 1 国連におけるジェンダー平等施策の展開 2 女性の労働参加 3 「性と生殖に関する権利」をめぐって リプロダクティブ・ヘルス ライツ 「私的領域」での暴力に抗う 4 ネオリベラリズムとバックラッシュ 反対されたERA フェミニズムに反対する女性たち 人工妊娠中絶をめぐって 強調される「家族の価値の尊重」 ジェンダー・フリー・バッシング 5 消費文化とポストフェミニズム フェミニズムからの批判を恐れる女性たち ポストフェミニズム 6 新しいフェミニズムの動き 冷戦終結後の激動の中で 第三波・第四波フェミニズム 右翼ポピュリズムの台頭 第9章 フェミニズムは近代社会で何をしてきたのか 「近代社会」からフェミニズムを見る 1 フェミニズムの歴史を振り返る 「女性は人間である」けれども「女性は人間ではない」 「公的領域」をめざした第一波 2 固定的な性役割分担とジェンダー 社会の前提となった固定的なジェンダー 「私的領域」を問う第二波へ 3 理性以外の特質は「人間的特質」ではないのか 女性は理性がない? フェミニズムは遅れてきた近代主義? 「理性」ではない「女性の価値」? 「人間である」か「女性である」か 4 家族、性と生殖、セクシュアリティ 男性は免除された家庭内役割 公 私の思想史 支配―被支配的関係が維持されるべき場? 正義を定義しなおす フェミニズムが「公的領域」に組み込んだ問題 5 現代社会におけるフェミニズム 政治問題化する家族・性・生殖 問題が解決しないまま 6 これからのフェミニズム 問題を放置してきた公私二元論 使い方を見直す これまでとは別の、複雑な解決方法 分断ではなく、新しい連帯へ 参考文献 あとがき

本文紹介

フェミニズムとはいったい何なのか。どのように生まれ、何を主張してきたのか。第一人者がわかりやすく語りかける。

抜粋:「女性である」という「普通」のことに差別や抑圧を見出すという「常識外れ」な主張は、どのように生まれ、いかなる変革を成し遂げてきたのか。共感と反感の嵐にさらされながら多様な展開を生んでいる思想・運動。そのあゆみを長期的な視点から振り返り、フェミニズムとはいったい何なのか、わかりやすく語りかける。