書籍詳細

書籍のレビュー・概要

「無常」には、本来性を回復させ、理想的な新しさをつくり出す力が宿されている。危機と荒廃の時代において、創造性の発露を模索し続けた中世人の思索と表現を剔出することで、「無常」の観念を捉え直す。「無常」のもとに創造的営為にいそしむ人々を描くことで、新たな中世文学像を追究してきた著者の論考を集成する。

無常の時空

Takumi ブックス

無常の時空

中世文学の思索と表現

著者・関係者
木下 華子 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2026/02/25
体裁
A5・上製・418頁
ISBN
9784000022361
在庫状況
在庫あり

価格:11,000 円

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著者略歴

  • 木下華子(きのした・はなこ) 1975年生まれ. 2006年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学.博士(文学). 日本中世文学,和歌文学専攻. ノートルダム清心女子大学専任講師,准教授を歴任. 現在―東京大学大学院人文社会系研究科准教授. 著書―『鴨長明研究――表現の基層へ』(勉誠出版,2015 年) 『正治二年院初度百首』(和歌文学大系49,共著,明治書院,2016 年) 『近世寺社伝資料『和州寺社記』・『伽藍開基記』』 (研究叢書480,共著,和泉書院,2017 年) 『世継物語注解』(研究叢書554,共著,和泉書院,2023 年)ほか

目次

  1. 凡 例 序 章 中世文学像の探求 第一部 鴨長明の危機意識――規範が失われる時 第一章 「勝他名聞」と陰徳――『発心集』「蓮花城入水事」 第二章 遷都の「不思議」――『方丈記』「都遷り」 第三章 「濁悪世」の祈りと希望――『方丈記』「養和の飢饉」 第四章 災害の因果を断ち切る――『方丈記』「元暦の大地震」 第二部 帝王・後鳥羽院の理想――自明性の解体のなかで 第一章 理想の構築――『千載和歌集』の企み 第二章 創出される聖代――『源家長日記』の後鳥羽院像 第三章 治天の君と賞罰――源具親召籠事件 第三部 遁世者たちの移動と思索――拠り所としての過去を求めて 第一章 和歌と巡礼――能因・西行・長明の系譜 第二章 空海の跡をたずねる西行――『山家集』中国・四国関連歌群 第三章 仮構された「私」の流離――『東関紀行』 第四章 古典からの自己表出――『海道記』 第四部 「無常」からの創造――過去と将来を繫ぎ合わせる 第一章 「跡」の視界――重なり合う時間 第二章 「廃墟」の時間軸――変容する景、歌枕の記憶 第三章 「無常」の世の新しき住居論――『方丈記』 第四章 「荒廃」の内なる理想――『徒然草』 終 章 新しさを生む古典 初出一覧 あとがき 索 引

本文紹介

危機の時代のなか、創造性の発露を模索した中世人の思索と表現から、「無常」の観念を捉え直し、新たな中世文学像を提示する。

抜粋:「無常」には、本来性を回復させ、理想的な新しさをつくり出す力が宿されている。危機と荒廃の時代において、創造性の発露を模索し続けた中世人の思索と表現を剔出することで、「無常」の観念を捉え直す。「無常」のもとに創造的営為にいそしむ人々を描くことで、新たな中世文学像を追究してきた著者の論考を集成する。