書籍詳細

書籍のレビュー・概要

地方自治の空洞化が加速している。「地方創生」の名のもとに、「稼ぐ」ための地域活性化を煽られ、コンサル会社による行政の“分捕り”や、国からの新たな統制が広がっている。人口の縮減、デジタル化の進展など、社会が大きく転換するいま、自治体の存在意義を根本から考える。市民が自治体を使いこなすために。

自治体は何のためにあるのか

Takumi ブックス

自治体は何のためにあるのか

〈地域活性化〉を問い直す

著者・関係者
今井 照 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2025/12/19
体裁
新書・234頁
ISBN
9784004320920
在庫状況
重版中

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著者略歴

  • 今井 照(いあまい・あきら) 1953年生まれ.東京都教育庁(学校事務),大田区役所(企画部,産業経済部など),福島大学行政政策学類教授,地方自治総合研究所主任研究員 などを歴任. 現在―公益財団法人 地方自治総合研究所特任研究員 著書―『未来の自治体論――デジタル社会と地方自治』(第一法規) 『地方自治講義』(ちくま新書) 『図解よくわかる地方自治のしくみ〔第7次改訂版〕』(学陽書房)など

目次

  1. はじめに――《自治体の発見》 から五〇年 身近で遠い自治体 「タダの人」としての市民 「抑圧の移譲」と「奉仕の献上」 自治=地方的小宇宙? 本書で明らかにしたいこと 第1章 「稼ぐ」地方創生の末路 1 喰われる自治体? 穏やかで小さな町を揺るがす事件 「超絶いいマネーロンダリング」 救急車リース事業のあらまし 「ちょっとずつ侵食する」 「行政機能を分捕る」 2 国派遣の「専門家」が受託業者に スーパー防災都市創造プロジェクト 「稼げるまちづくりプロジェクト」 総務省派遣のコンサルとして 国はアドバイザー派遣が大好き 3 「官民共創」の推移と結末 国に向けては三つの顔をもつ「計画」 「官民共創」プロポーザルの怪 包括連携協定の締結 「事業を事実上中止」 市民と議会による究明 4 放置された職員処分 公益通報者への処分 処分撤回の審査請求 「メールは削除した」の矛盾 福島県人事委員会の責任 5 「地域活性化」から疑う 「稼ぐ地域をつくる」? 自治体に「稼ぐ」責務はあるか 地域経済における自治体の役割 「信頼を付与する役割」 第2章 分権改革からコロナ禍まで 1 二〇〇〇年分権改革 「地域や暮らしが変わる」 分権改革の「混声合唱」 2 分権改革のその後 三位一体の改革 平成の大合併 東日本大震災と原発事故 生活再建過程における自治体の疲弊 「心の除染」に二億円 3 「地方創生」政策のはじまり 地方を「創生」する? 官界の思惑との溝 「プレミア付商品券」「半額旅行券」 「中央」に回収される地方創生 4 「地方創生」政策の転変 付け替えられる看板 忖度を迫られる自治体 市民から不可視の政策選択 5 コロナ禍の「地方創生」 惨事便乗型「地方創生」? 「上から」計画 「いっときのスローガン」 第3章 崩壊するベースキャンプ――二〇二四年自治法改正 1 国による自治体への「計画統制」 国法で策定要請される自治体計画 分権改革後に急増 計画策定自体が目的化 政策執行責任の転嫁 2 二〇二四年自治法改正 分権改革からの「ポイントの切替え」 自治法改正の三つの柱 3 全体の「最適化」? チグハグなデジタル化 「最適化」が意味すること 「標準化」がコスト増を招く? 標準化は「お願い」体質化に? 4 「補充的」指示権の創設 国会すらハブられる 「想定外」という不作為 判断するのは「各大臣」 保有すること自体が目的か 「補充的」指示権を擁護する意見 5 指定地域共同活動団体制度の創設 地域活動を統治機構に組み込む? 自治法に残る「総力戦体制」 市民活動を「義務」にしてはならない 指定地域共同活動団体制度の「先進」事例 コミュニティの定義が狭められていく 地域社会と町内会 条例で法律を補完する もう一つの「隙」 「喰われる自治体」との親和性 謎のアンケート 片務的な人事交流 第4章 地域社会から自治体を考える 1 市民活動と自治体 アリスセンターの解散 放っておけない人たち 相補性と相反性 役所と市民活動との距離感 2 住民と「地域住民」との違い 自立の「強要」 義務を課される「地域住民」 仮構としての「地域住民」 地域と自治体との関係 3 情報空間における「不可視の孤立」 地域社会・地域・市町村 情報空間は超国家(超地域)空間 「不可視の孤立」と貧困 身体性を根拠とする多重的市民権 第5章 ディフェンダーとしての自治体――社会分権に向けて 1 自立できない国の行政 日本の公務員数が少ない要因 日本では自治体職員数が国家公務員数の一〇倍 国による手練手管? 2 「融合」から「分離」へ 天川モデル 役割分担の原則 「融合」から「分離」に転換された事例 3 自治体ディフェンダー論 自治体のミッション 混同される行政活動と経済活動 生命を守る自治体 「雑魚でも生きていますから」 4 「自治・分権」のその先 「地域や暮らしが変わる」ために 社会分権の担い手たちへの期待 予測と調整の技術 自治体から国への展開 社会分権型自治体へ 自治体のミッションと未来への希望 主な引用文献 おわりに――役所の窓口から

本文紹介

地方創生は、「稼ぐ」ための地域活性化を煽るなど、地方自治を空洞化させている。自治体を市民たちの手に、いかに取り戻すか。

抜粋:地方自治の空洞化が加速している。「地方創生」の名のもとに、「稼ぐ」ための地域活性化を煽られ、コンサル会社による行政の“分捕り”や、国からの新たな統制が広がっている。人口の縮減、デジタル化の進展など、社会が大きく転換するいま、自治体の存在意義を根本から考える。市民が自治体を使いこなすために。