書籍詳細

書籍のレビュー・概要

N・ウィーナーから始まったサイバネティックスは、認知科学、政治学、哲学などを巻き込んで世代を超え展開し、「情報」という視点から世界を書き換えていった。生成AIに至るコンピュータの進化を用意するとともに、生命とは何かという問いに答えようとした巨大な思想運動――その全容をあますところなく描き出す。 ■ サイバネティックス運動関連年表 本書で取り上げた出来事・著作についての年表は、こちらをご参照ください。 (PDFファイルが開きます) ● サイバネティックス運動関連年表 ● サイバネティックス運動関連年表(A3版)

サイバネティックス運動 〈情報的世界観〉成立の理路

Takumi ブックス

サイバネティックス運動 〈情報的世界観〉成立の理路

著者・関係者
大黒 岳彦 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/11/26
体裁
A5・並製・462頁
ISBN
9784000617321
在庫状況
在庫あり

価格:4,950 円

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著者略歴

  • 大黒岳彦(だいこく・たけひこ) 1961年香川県生まれ.東京大学理学系大学院(科学史科学基礎論専攻)博士課程単位取得退学.1992年日本放送協会に入局(番組制作ディレクター).退職後,東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学.現在,明治大学情報コミュニケーション学部教授.専門は哲学,情報社会論.著書に『〈メディア〉の哲学──ルーマン社会システム論の射程と限界』(NTT出版,2006年),『謎としての“現代”──情報社会時代の哲学入門』(春秋社,2007年),『「情報社会」とは何か?──〈メディア〉論への前哨』(NTT出版,2010年),『情報社会の〈哲学〉──グーグル・ビッグデータ・人工知能』(勁草書房,2016年),『ヴァーチャル社会の〈哲学〉──ビットコイン・VR・ポストトゥルース』(青土社,2018年),『〈情報的世界観〉の哲学──量子コンピュータ・メタヴァース・生成AI』(青土社,2023年)ほか.訳書にE.メディーナ『サイバネティックスの革命家たち──アジェンデ時代のチリにおける技術と政治』(青土社,2022年),S.ゲローヴィチ『ニュースピークからサイバースピークへ──ソ連における科学・政治・言語』(名古屋大学出版会,2023年)ほか.

目次

  1. 0 序 章 0−1 なぜサイバネティックスなのか? 0−2 三つの誤解 0−3 サイバネティックス運動 0−4 〈情報的世界観〉の諸相 0−5 本書の結構 Ⅰ 情報と意味 Ⅰ−0 はじめに Ⅰ−1 〈情報的世界観〉の源流 Ⅰ−1−1 「ウィーナーのサイバネティックス」の構造 Ⅰ−1−2 ウィーナーvs.シャノン Ⅰ−1−3 シャノン「通信図式」の解読 Ⅰ−1−4 情報源と根源的ノイズ Ⅰ−2 情報理論の「意味」への拡張の企図とその閉塞路 Ⅰ−2−1 「情報」の優位と「意味」の恢復 Ⅰ−2−2 「情報」にとって「意味」とは何か?──マッケイ Ⅰ−2−2−1 「一般情報理論」の構図 Ⅰ−2−2−2 「情報」の三種──構造的情報内容・計量的情報量・選択的情報量 Ⅰ−2−2−3 「情報」と「意味」の心理化とその帰趨 Ⅰ−2−3 「情報/意味」問題における〈差異〉と〈同一性〉の鬩ぎ合い──ヤーコブソン Ⅰ−2−3−1 ヤーコブソンとサイバネティックス Ⅰ−2−3−2 機能的分化システムとしての言語 Ⅰ−2−3−3 〈同一性〉から〈差異〉へ Ⅰ−2−3−4 〈伝達〉と〈意味〉 Ⅰ−3 ベイトソンによる「情報」概念の更新 Ⅰ−3−1 ベイトソンの報告「人間のコミュニケーションにおけるユーモアの位置」 Ⅰ−3−2 意味とコミュニケーション Ⅰ−3−3 パターン・意味・情報 Ⅰ−3−4 「情報」における〈ノイズ〉の二重性 Ⅰ−3−5 「差異を生む差異」 Ⅰ−3−6 主体としての「システム」 Ⅱ 機械と生命 Ⅱ−0 はじめに Ⅱ−1 ウィーナーと初期サイバネティックスにおける「生命」の内実と位置 Ⅱ−1−1 「中枢性抑制会議」と論文『行動・目的・目的論』 Ⅱ−1−2 揺籃期サイバネティックスの「生命」理解 Ⅱ−1−3 前期メイシー会議と「循環因果性」 Ⅱ−1−4 著書『サイバネティックス』と『人間の人間的使用』における「生命」理解 Ⅱ−2 「生命」論の展開過程 Ⅱ−2−1 唯心論vs.唯物論・機械論vs.生気論──十七~十八世紀の「生命」理解 Ⅱ−2−2 二十世紀前半における生命論の布置 Ⅱ−3 生命論の〈情報〉的転回 Ⅱ−3−1 生命の自己組織化 Ⅱ−3−1−1 〈目的〉の内在化と〈システム〉の成立 Ⅱ−3−1−2 自己言及から自己組織化へ Ⅱ−3−2 生命の複製と〈質料〉性 Ⅱ−3−2−1 〈信頼性〉という問題 Ⅱ−3−2−2 ノイマンの“生気論”──〈複雑性〉の問題系 Ⅱ−3−2−3 「生命」における〈質料〉の〈自立=自律〉性 Ⅱ−3−3 生命観の刷新と分裂 Ⅲ 精神と社会 Ⅲ−0 はじめに Ⅲ−1 精神と機械 Ⅲ−1−1 「〈こころ〉の機械化」という問題系とその三つの途 Ⅲ−1−2 第八回メイシー会議と〈こころ〉の問題の浮上 Ⅲ−1−2−1 メイシー会議の〈こころ〉を巡る角逐の経緯 Ⅲ−1−2−2 第一ラウンド──「脳科学派」対「ゲシュタルト派」 Ⅲ−1−2−3 第二ラウンド──「脳科学派」対「精神分析」 Ⅲ−1−3 サイバネティックス運動過渡期におけるマカロックの役割 Ⅲ−1−3−1 脳科学とサイバネティックス Ⅲ−1−3−2 心身合一的〈出来事〉としての〈精神子〉 Ⅲ−1−3−3 〈実験的認識論〉 Ⅲ−1−3−4 オーガナイザーとしてのマカロック Ⅲ−1−3−5 後期サイバネティックス運動へ Ⅲ−1−4 後期サイバネティックス運動の始動と〈こころ〉の機械化の三つの途 Ⅲ−1−4−1 第一の途──〈アルゴリズム〉モデルすなわちAI Ⅲ−1−4−2 第二の途──〈ネットワーク〉モデルとしてのコネクショニズム Ⅲ−1−4−3 第三の途──「第二次サイバネティックス」 Ⅲ−1−4−3−1 論文「カエルの眼がカエルの脳に教えること」とオートポイエーシス Ⅲ−1−4−3−2 「第二次サイバネティックス」とは何か? Ⅲ−1−4−3−3 〈観察〉の連鎖とその効果──フォン・フェルスター Ⅲ−1−4−3−4 〈ラディカル構成主義〉と独我論的アナーキズム Ⅲ−1−4−3−5 オートポイエーシスからオートロジーへ ──スペンサー=ブラウンによる〈区別=差異〉の演算と〈自己言及〉の機械論 Ⅲ−1−4−3−6 〈反省〉の多元的相対性と多値論理──ギュンター Ⅲ−1−4−3−7 フェルスターの“魔”と〈こころ〉の〈自己組織化〉 Ⅲ−1−4−3−8 〈会話〉による〈創造〉──パスク Ⅲ−1−4−3−9 〈主観性〉から〈精神〉へ Ⅲ−2 〈社会〉の機械化へ──はじめに Ⅲ−2−1 〈機械化〉の本義 Ⅲ−2−2 社会科学におけるサイバネティックスの受容 Ⅲ−2−2−1 サイバネティックス運動初期の〈社会〉把握 Ⅲ−2−2−2 サイバネティックスと政治 Ⅲ−2−2−3 政治学・社会学・メディア論のサイバネティックス的展開 Ⅲ−2−2−4 サイバネティックスの〈社会〉への適用の問題構制 Ⅲ−2−3 〈企業〉の機械化から〈国家〉の機械化へ Ⅲ−2−3−1 経営サイバネティックスの誕生 Ⅲ−2−3−2 ランドvs.メイシー Ⅲ−2−3−3 ソ連のサイバネティックス受容と〈社会〉の官僚制的機械化 Ⅲ−2−3−3−1 スターリン独裁期におけるサイバネティックス批判 Ⅲ−2−3−3−2 サイバネティックスとキベルネーチカ Ⅲ−2−3−3−3 ソ連における〈社会〉の機械化 Ⅲ−2−3−4 〈社会〉の機械化における第三の途 Ⅲ−2−3−4−1 「経営サイバネティックス」とは何か? Ⅲ−2−3−4−2 VSMと「サイバーシン計画」 Ⅲ−2−3−4−3 〈自由─機械〉の企図と「サイバーシン計画」の帰趨 Ⅲ−2−4 〈適応〉から〈進化〉へ Ⅲ−2−4−1 VSMvs.オートポイエーシス Ⅲ−2−4−2 ベイトソンとサイバネティックス Ⅲ−2−4−2−1 コミュニティの分裂生成 Ⅲ−2−4−2−2 分裂生成から定常系システムへ Ⅲ−2−4−2−3 コミュニケーションと統合失調症 Ⅲ−2−4−2−4 ダブルバインド理論とMRI Ⅲ−2−4−2−5 〈学習〉と〈進化〉 Ⅲ−2−5 社会〈サイバネティックス〉から社会〈システム〉へ Ⅲ−2−5−1 有機体・組織・構造とシステム Ⅲ−2−5−2 システム概念の多義性 Ⅲ−2−5−3 三つの社会システム理論 Ⅲ−2−5−4 サイバネティックスとルーマンの社会システム論 Ⅲ−2−5−4−1 諸他の〈社会〉システム理論との離接 Ⅲ−2−5−4−2 ルーマン社会システム論の独自性 Ⅲ−2−5−5 社会の機械化の理論的実現とサイバネティックスの〈抽象=思弁〉化 Ⅳ 技術と存在──サイバネティックスの哲学 Ⅳ−0 はじめに Ⅳ−1 独語圏におけるサイバネティックス運動とハイデッガー Ⅳ−1−1 ハイデッガー技術論の基本構図──〈用在〉から〈用象〉を経て〈配備=集立〉へ Ⅳ−1−2 哲学の終焉とサイバネティックス Ⅳ−1−3 存在論としてのサイバネティックス Ⅳ−1−4 因果・根拠・目的──ハイデッガーからリュイエへ Ⅳ−2 サイバネティックスのフランスにおける受容と反応 Ⅳ−2−1 初期サイバネティックスのフランスとの係わり Ⅳ−2−1−1 フランスにおけるサイバネティックス受容の初発段階──構造主義との癒着 Ⅳ−2−1−2 サイバネティックスと唯心論 Ⅳ−2−1−3 サイバネティックスにおける二つの瑕疵 Ⅳ−2−2 リュイエ哲学の全体的構図 Ⅳ−2−2−1 リュイエ唯心論の特質 Ⅳ−2−2−2 リュイエの形而上学 Ⅳ−2−2−3 リュイエの科学哲学 Ⅳ−2−2−4 リュイエのサイバネティックス批判 Ⅳ−2−2−5 リュイエの超越論からシモンドンの内在主義へ Ⅳ−3 シモンドンに対するわれわれのスタンス Ⅳ−3−1 シモンドンにとってのサイバネティックスの意義──〈変換学〉から〈技術学〉へ Ⅳ−3−2 〈技術学〉の構図 Ⅳ−3−3 〈百科全書主義〉の展開過程①──〈技術的対象〉の三形態 Ⅳ−3−4 〈百科全書主義〉の展開過程②──〈技術的対象〉の歴史的進化 Ⅳ−3−5 シモンドンの〈情報〉理解 Ⅳ−3−6 情報社会の〈集合体〉と技術の自然化 Ⅳ−4 サイバネティックスの思想的深化 Ⅴ 結 章 サイバネティックスと〈情報的世界観〉 Ⅴ−0 〈情報的世界観〉とは何か? Ⅴ−1 〈情報的世界観〉の概念規定 Ⅴ−2 〈情報的世界観〉と「情報社会」 Ⅴ−2−1 情報社会の最前線 Ⅴ−2−2 「情報社会」とは何か? Ⅴ−2−3 “正統”的“社会”観の陥穽 Ⅴ−2−4 〈情報社会〉の存立機序 Ⅴ−3 「情報社会」の思想的課題と〈情報的世界観〉の今後 注 あとがき 付 録 1 「行動・目的・目的論」(A.ローゼンブルース、N.ウィーナー、J.ビゲロウ) 2 「神経活動に内在する観念の論理計算」(W.S.マカロック、W.ピッツ) 3 「自己組織化システムとその環境について」(H.v.フェルスター) 4 メイシー会議出席者一覧 5 発表テーマ・タイトル一覧 6 BCL機構図 索 引

本文紹介

「情報」という視点から世界を全面的に書き換え、「生命」と「機械」の定義を刷新した運動。社会を規定した思想の全容を描き出す

抜粋:N・ウィーナーから始まったサイバネティックスは、認知科学、政治学、哲学などを巻き込んで世代を超え展開し、「情報」という視点から世界を書き換えていった。生成AIに至るコンピュータの進化を用意するとともに、生命とは何かという問いに答えようとした巨大な思想運動――その全容をあますところなく描き出す。 ■ サイバネティックス運動関連年表 本書で取り上げた出来事・著作についての年表は、こちらをご参照ください。 (PDFファイルが開きます) ● サ…