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書籍のレビュー・概要

自国の負の過去をなぜ/どのように想起するのか―― 壁崩壊後のベルリンに誕生した、ナチズムの記憶を新たに刻むミュージアム、記念碑、パブリックアートの数々。「ヴォイド=空隙」が散りばめられたこの否定的風景に、集合的記憶を開こうとした人々の挑戦の軌跡を読み解く。ベルリンという記憶の都市(ムネモトープ)の案内書。

想起のトポグラフィー

Takumi ブックス

想起のトポグラフィー

ホロコーストの記憶と空間実践

著者・関係者
安川 晴基 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/11/11
体裁
A5・上製・276頁
ISBN
9784000237499
在庫状況
在庫あり

価格:3,960 円

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著者略歴

  • 安川晴基(やすかわ・はるき) 名古屋大学大学院人文学研究科准教授.博士(文学).専攻はドイツ文学.著作に,周藤芳幸編『古代地中海世界と文化的記憶』(分担執筆:序章「「文化的記憶」とは何か」,山川出版社,2022年),「カール・クラウスの翻訳論──シェイクスピア『ソネット集』翻案を例に」(『思想』第1058号).訳書に,ヤン・アスマン『文化的記憶──古代地中海諸文化における書字,想起,政治的アイデンティティ』(福村出版,2024年),同『エジプト人モーセ──ある記憶痕跡の解読』(藤原書店,2017年),アライダ・アスマン『想起の空間──文化的記憶の形態と変遷』(水声社,2007年[新装版2023年])などがある.

目次

  1. 序 論 想起のトポグラフィー 1 「集合的記憶」論の視座 2 「集合的記憶」のメディアとしての空間 3 「トポグラフィカル」な実践としての「想起の空間」 Ⅰ ミュージアムと歴史の叙法 第1章 ドイツ歴史博物館──再統一ドイツの「ナショナル・ヒストリー」 1 設立の経緯 ベルリン州から連邦のプロジェクトに 一九八〇年代の西ドイツにおける「歴史」をめぐる対立 ミュージアムの設立から開館まで 2 一九八七年の実現しなかった基本構想 3 ドイツ歴史博物館の常設展 クロノロジーの骨格 オリジナルのモノとの自由な対話 4 「ナショナル・ヒストリー」の可視化 「歴史」という叙法 象徴装置としての展示空間 「ヨーロッパ」の物語 第2章 ベルリン・ユダヤ博物館──「希望のマトリックス」 1 設立の経緯 発 端 「統合モデル」と一九八八年のコンペ ベルリン州立のミュージアムから連邦立のミュージアムへ 2 JMBの建築表現 常設展示室へのアプローチ 「ヴォイド」 3 ミュージアムと都市の記憶 ──オスナブリュック、ドレスデン、ベルリン 第3章 「加害者の場所」──テロルのトポグラフィー 1 場所の歴史 2 現在のテロルのトポグラフィー 展示資料館 ゲレンデの造成 展示資料館内の常設展 3 テロルのトポグラフィーの展示思想 場所の定義──「加害者の場所」 場所の保存──「都市の開いた傷」 トポグラフィカル・アプローチ ドキュメンタリー・アプローチ 4 スティグマとしての「開いた傷」 Ⅱ モニュメント 第4章 カウンターモニュメント 1 一九世紀と二〇世紀のドイツの国民的記念碑 戦勝記念塔(一八七三年除幕) キフホイザー・ヴィルヘルム皇帝記念碑(一八九六年除幕、九七年完成) 諸国民会戦記念碑(一九一三年除幕) 「記念碑的壮大さへの衝動」 2 カウンターモニュメント ハールブルク反ファシズム警鐘碑(一九八六年除幕) アシュロットの泉(一九八七年除幕) 「二一四六個の石」──反人種主義警鐘碑(一九九三年序幕) 「図書館」(一九九五年序幕) カウンターモニュメントの方法論的転回 3 公共空間に遍在する「ヴォイド」 「傷」のイコン 代理表象(教義)ではなく自由な参加(多義性) 4 「閉じた想起」から「開かれた想起」の形へ 第5章 ホロコースト記念碑──中心の「ヴォイド」 1 建設可決にいたるまで 呼びかけ ノイエ・ヴァッヘ改造の余波 第一回コンペ 第二回コンペ 連邦議会での可決 2 記念碑論争 どこに建てるのか 誰に捧げられるべきか 記念碑と国民的アイデンティティ 「戒めの碑」なのか「追悼の碑」なのか 建築表現の問題 そもそも記念碑は必要なのか 3 「恥」のモニュメント Ⅲ 街並みの中で 第6章 「周辺」の試み 1 脱中心化とネットワーク 「想起の場所」(一九九三年除幕) シェーネベルクのその他の試み──「私たちは隣人だった」展 2 アーバンスケープの裂け目 「鏡の壁」(一九九五年除幕) 「鏡の間」(二〇〇〇年除幕) ムレレンベルク追悼記念碑(二〇〇二年除幕) 3 「不在」の痕跡 「失われた家」(一九九〇年) 「誰もいない部屋」(一九九六年除幕) グルーネヴァルト駅一七番線(一九九八年除幕) 4 「周辺」のプロジェクトの特徴 草の根の想起 場所を指し示す 歩行と「遭遇」 第7章 「躓きの石」──草の根の想起のプロジェクト 1 「躓きの石」とは プロジェクト誕生の経緯 「脱中心的モニュメント」 指標的想起 2 「社会彫刻」としての「躓きの石」 パフォーマティヴな想起の営みとしての「躓きの石」 開かれた公衆 3 記憶の景観をめぐる交渉 4 「躓きの石」に胚胎する問題点 結 び 記憶を開く──ある別様の「私たち」へ 注 あとがき 図版出典 参考文献

本文紹介

ナチズムの記憶を刻むベルリンの博物館やパブリックアート。ヴォイドが点在する否定的風景に、集合的記憶を開く試みを読み解く。

抜粋:自国の負の過去をなぜ/どのように想起するのか―― 壁崩壊後のベルリンに誕生した、ナチズムの記憶を新たに刻むミュージアム、記念碑、パブリックアートの数々。「ヴォイド=空隙」が散りばめられたこの否定的風景に、集合的記憶を開こうとした人々の挑戦の軌跡を読み解く。ベルリンという記憶の都市(ムネモトープ)の案内書。