書籍のレビュー・概要
海を見渡す丘の上にたたずむブランコ。そこには、いのちが、夢が、物語が、満ちている――。はしゃぐ子どもたち、夕日を見つめる老人、将来を夢見る少年……訪れる人びとのささやかで特別なひとときを、淡く輝く絵と詩情豊かな言葉で紡ぐ。人気絵本作家による静かな感動を呼ぶ絵物語を、作家・梨木香歩の端正な翻訳で贈る。総ルビ。 ■日本の読者へのメッセージ 読者のみなさんへ この絵物語の着想は、祖母の庭のブランコ――私が幼い頃遊んだブランコの古い写真を見たときに浮かびました。その一枚から、たくさんの記憶がよみがえったのです。それからというもの、どこへ行ってもブランコが目に入るようになりました。ときには、おどろくような場所でも。 私にとってのブランコは、時間や季節、人と人とのつながり、夢や人生、そして感情のやりとりが生まれては巡るその中心で、静かに誘うように見守っている存在なのです。ブランコのある場所は、物語と思い出に満ちています。今もブランコを見かけると、つい駆け寄りたくなります……。 ——ブリッタ・テッケントラップ ■訳者からのメッセージ そこを動かないブランコの記憶は、場所の記憶でもある。人びとの記憶のなかにあるブランコは、優しいふるさとのようにそのひとを包み込む。いつもそこにいて、すべてを受け入れ、ただ、待ってくれている。 ——梨木香歩