書籍詳細

書籍のレビュー・概要

富士山はいつ噴火しても不思議ではない。活発に噴火を繰り返して現在の姿に成長した富士山は若い活火山なのだ。どんな噴火が起こりえるのか、どう備えるのか。富士山の噴火予測はなぜ難しく、そのマグマが特異であるのはなぜなのか。火山学をリードしてきた著者が富士山の成り立ちとマグマの科学を解説し、噴火への心構えを説く。 ■著者からのメッセージ 日本のシンボルともいえる富士山は、前回の噴火から300年もの間、静かなままです。それ以前の噴火の履歴を調べてみると、平均して数十年に一度は噴火してきたので、この状況は異常事態だといえます。次の噴火はいつ起こっても不思議ではありません。 次の噴火の前に、富士山がどのような噴火を起こしてきたのか知ってほしいと願い、この本をまとめました。直近の噴火が注目されがちですが、可能性としてはそれだけではありません。富士山ではいろいろな噴火が起こってきたことを知ってもらいたいと願っています。それが次の噴火における災害を小さくすることにつながると思っています。 例えば雲仙普賢岳の噴火の場合も、直近の江戸時代の噴火とは異なり、6000年に一度の噴火が起こりました。直近の噴火に私たちの注意はひきつけられがちですが、ずっと昔に起こった噴火に遭遇することもあるのです。したがって、噴火の歴史を知ることがとても重要です。 噴火が起こることは避けられなくても、知ることにより、慌てずに対応して災害を小さくできる可能性が生まれます。 この本を通じて富士山がどのような噴火を起こしてきたのか、そして起こしえるのか、知っていただければ幸いです。(談)

富士山噴火 その日に備える

Takumi ブックス

富士山噴火 その日に備える

著者・関係者
藤井 敏嗣 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2025/10/17
体裁
新書・266頁
ISBN
9784004320852
在庫状況
在庫あり

価格:1,100 円

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著者略歴

  • 藤井敏嗣(ふじい・としつぐ) 1946年福岡県生まれ. 1975年東京大学大学院理学系研究科修了.理学博士.東京大学地震研究所教授,同所長,東京大学理事・副学長,気象庁火山噴火予知連絡会会長を歴任. 現在―東京大学名誉教授,山梨県富士山科学研究所所長,NPO法人環境防災総合政策研究機構副理事長兼環境・防災研究所所長,文部科学省次世代火山研究・人材育成プロジェクトリーダー,文部科学省火山調査研究推進本部政策委員会委員長 専攻―マグマ学,火山学,火山防災政策 著書―『火山――地球の脈動と人との関わり』(丸善出版),『マグマダイナミクスと火山噴火』(朝倉書店,分担執筆),『大地の躍動を見る――新しい地震・火山像』(岩波書店,分担執筆)

目次

  1. 序 章 富士山はいつ噴火しても不思議ではない 1 富士山は若い活火山 火山の三分類と活火山 火山の年齢と寿命 2 富士山の噴火は平均三〇年に一回 歴史時代の噴火 地質時代の噴火 3 いつ起こってもおかしくない次の噴火 異常に長い最近の休止期間 密かに続く地下深部のマグマ活動 次章以降の内容 第1章 富士山が噴火したらどうなるか 1 富士山は噴火のデパート 溶岩流 火砕流 融雪型火山泥流 岩塊や火山灰を噴き出す爆発的噴火 2 首都圏に及ぶ被害 噴火現象により異なるハザードの影響範囲 首都圏も危うい大規模な爆発的噴火 3 滅多に起こらない大規模噴火 噴火の規模の表わし方(VEI)と爆発的噴火 富士山特有の噴火規模表示 4 美しい富士山がみられるのは奇跡的 噴火がなくても起こる山体崩壊 巨大な噴火がもたらす地形変化 端正な富士山を愛でた平安人 コラム1 火山岩の種類とマグマ 第2章 古記録に記された大噴火 1 プリニー式噴火の由来 2 古記録でわかる宝永噴火の推移 目撃された噴火開始 日本のポンペイ――須走の悲劇 宝永火口と宝永山の形成 火口からの距離に応じた被害の様相 江戸市中における状況 3 『日本三代実録』が伝える貞観噴火の推移 詳しい報告が朝廷に届けられた 誇張された「異火の変」 ハワイで再現された貞観噴火 4 延暦の噴火 5 古記録はどこまで信頼できるか ヴェスヴィオ山はいつ噴火したか 奈良時代から平安時代にかけての噴火 熱心に記述された貞観噴火と無視された承平の噴火 江戸時代以降は詳細な記録 第3章 大地に残る噴火の歴史をさかのぼる 1 噴火の歴史を紐解く手法 野外調査 噴出物の年代を決める 放射性年代測定法 コラム2 カルデラ噴火 2 地質調査でわかった四階建ての富士山 富士山に先駆する火山活動 富士山としての火山活動 順調ではなかった成長 3 端正な富士山の形成 使われなくなった山頂火口 歴史時代の噴火 4 側火口の分布が示すプレートテクトニクス コラム3 特異なプリニー式噴火――宝永噴火 第4章 なぜ噴火が起こるのか 1 噴火の区分 爆発的マグマ噴火 マグマ水蒸気噴火 水蒸気噴火 溢流型マグマ噴火 2 噴火のもとはマグマ マグマがつくられる場所は限定的 マグマ生成のメカニズムと沈み込み帯のマグマ マントルでつくられる初生玄武岩マグマ 3 マントルから地殻へ 水を含んだマグマ マグマの上昇と地殻物質の密度 4 噴火のメカニズム――マグマ溜まりから噴火へ マグマ溜まりからの上昇 爆発的噴火と溶岩流噴火を分けるもの 第5章 富士山のマグマ 1 富士山のマグマの特徴 2 マグマ溜まりの深さとマグマの化学組成変化 3 マグマ溜まりを探る 地殻変動量からマグマ溜まりを調べる 地震を使う 電磁気を使う 噴出物を調べる コラム4 新鮮な噴出物を求めて――秋田駒ヶ岳一九七〇年噴火 4 富士山の深いマグマ溜まり 複雑な富士山の下の地殻 5 玄武岩マグマと分化したマグマとの遭遇 稀な分化マグマの活動 第6章 噴火の予測はどこまで可能か 1 長・中期の噴火予測 不規則な火山噴火 階段ダイアグラムと噴火予測 2 噴火の短期予測 地震観測 地殻変動観測 その他の観測手法 3 富士山と地震 深部低周波地震の活発化 宝永地震がトリガーした宝永噴火 4 富士山の噴火予測 噴火を観測したことのない富士山 5 推移予測には少なくとも数千年間の噴火履歴を参照すべき――近年の噴火事例からの教訓 第7章 富士山噴火に備える 1 火山ハザードマップの整備 富士山火山ハザードマップの誕生 富士山火山ハザードマップの改定 2 広大な想定火口領域 3 ハザードごとに異なる影響範囲 溶岩流の影響範囲 火砕流の影響範囲 大きな噴石の到達範囲 融雪型火山泥流 火山ハザード統合マップ 4 地図には表現できないハザード 有毒火山ガス 噴火にともなう地震 5 広域に及ぶハザード 降下テフラの特徴 降下テフラに備える 6 富士山火山避難基本計画 避難対象エリア 噴火警戒レベルと避難 溶岩流からの避難 降灰対応 7 次の噴火はどのようなものか? 参考文献

本文紹介

どんな噴火が起こりえるのか、どう備えるのか、富士山のマグマが特異であるのはなぜなのか。富士山の歴史と科学を解説する。

抜粋:富士山はいつ噴火しても不思議ではない。活発に噴火を繰り返して現在の姿に成長した富士山は若い活火山なのだ。どんな噴火が起こりえるのか、どう備えるのか。富士山の噴火予測はなぜ難しく、そのマグマが特異であるのはなぜなのか。火山学をリードしてきた著者が富士山の成り立ちとマグマの科学を解説し、噴火への心構えを説く。 ■著者からのメッセージ 日本のシンボルともいえる富士山は、前回の噴火から300年もの間、静かなままです。それ以前の噴火の履歴を調べて…