書籍詳細

書籍のレビュー・概要

哺乳類のY染色体は退化する一方だ。そのうち、男はいなくなる!? 南の島のトゲネズミに、そのヒントがあるかもしれない。そのネズミたちは、Yがないのにオスがいる。Yがないなら、雌雄のDNAの差はどこに? あの方法もこの遺伝子も、ハズレ、ハズレ、またハズレ……! 立ちはだかる数々の壁を乗り越え、「Yなき性」の謎にせまる。

幻のネズミ、消えたY

Takumi ブックス

幻のネズミ、消えたY

性の進化の謎を追う

著者・関係者
黒岩 麻里 著
カテゴリ
自然科学書
刊行日
2025/09/19
体裁
B6・並製・156頁
ISBN
9784000297370
在庫状況
在庫あり

価格:1,760 円

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著者略歴

  • 黒岩麻里(くろいわ・あさと) 1973年京都市生まれ。2002年名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程修了。博士(農学)。2016年より北海道大学大学院理学研究院教授。小説家やジャーナリストに憧れる文系少女だったが,高校の授業で生物に目覚め,一念発起して理転。一浪を経て名古屋大学農学部へ入学。博士課程から北海道大学へ移り,トゲネズミと出会う。幼少期から生き物を飼うのが好きで,飼育した生物種数は100を超える。現在は北海道犬とサイベリアンのお世話で手一杯である。趣味は道内を巡り美味しいものを食べ,お酒を吞むこと。好物はラーメンとスープカレー。著書に『「Y」の悲劇 男たちが直面するY染色体消滅の真実』(朝日新聞出版)などがある。

目次

  1. プロローグ 常識はずれの哺乳類 1 よみがえるトゲネズミ 謎の哺乳類と出会う Yのないネズミ──1977年の報告 古すぎる細胞でスタート 運命の出会い 絶滅危惧種と天然記念物 立ちはだかる壁 心落ち着かないクリスマス 野外調査に参加……したけれど オキナワトゲネズミはどこに たった3体の剥製標本 捕獲調査がはじまる 幻の哺乳類、再発見 Yはあった、でも、普通じゃなかった 2 Y染色体を失うということ 「性が決まる」とはどういうことか 染色体は運命を「決定」しない 哺乳類のY染色体──オスをオスたらしめる 大野博士の仮説 誰が先に見つけるか──性決定遺伝子発見競争 そしてSRYが見つかる SRY遺伝子の正体 実は弱くて刹那的 2つあったエクソン カモノハシの性の謎 SRYいつ登場したか YがYになったとき Yが退化していく理由 Yが消える!? Y染色体の沼にハマる 3 消失と巨大化──ネズミ、真逆の道をゆく 緊張の初代培養 アマミトゲネズミ──少なくて長い染色体 1本だけ残る不思議 染色体を染めてみる なかなか見つからない性差 やはり性差は見つからない 「ない」証明の難しさ オキナワトゲネズミ──大量にあるSry Sryは性を決定しているのか? 消失と巨大化──真逆の進化の不思議 コラム◎思わぬ発見──移動するセントロメア 4 消えたYの謎を追う 遺伝子重複に目をつける シャルトルの仮説 重要なものほどコロコロ代わる メダカの性決定遺伝子も「遺伝子重複」 まずは10の遺伝子を探す それらしき重複遺伝子、しかし…… 個体数の少なさゆえに コラム◎マングースの研究では やはりゲノムを読むべきか ゲノム解読への道①──まず読んではみるものの、途方に暮れる ゲノム解読への道②──予算獲得 コラム◎忘れられない大きな失敗 ゲノム解読への道③──「支援課題」になる 一塩基多型を探せ 最後に残った二つの候補 SOX9遺伝子とは 「砂漠」でターゲットを探す やっぱりSOX9上流が重要? マウスのエンハンサーが、トゲネズミにも エンハンサーが性決定!? 「重複」をマウスにノックイン 青く染まった生殖腺 教授、PCRマシーンと化す 起こらなかった性転換 性転換の「萌芽」はあった 5 世界に羽ばたくトゲネズミ アクセプトまでのさらなる道のり 「強さ」ではなく「スキル」 レジェンドからの助言 アクセプトされるや一転…… 報道解禁、そして 「あなたの研究を知っていますよ」 トゲネズミがつないだ世界 エピローグ トゲネズミのいま

本文紹介

南の島の絶滅危惧種、Y染色体のないトゲネズミ。Yがないのに、なぜオスがいる……!? 解明までの悲喜こもごもを克明に描く。

抜粋:哺乳類のY染色体は退化する一方だ。そのうち、男はいなくなる!? 南の島のトゲネズミに、そのヒントがあるかもしれない。そのネズミたちは、Yがないのにオスがいる。Yがないなら、雌雄のDNAの差はどこに? あの方法もこの遺伝子も、ハズレ、ハズレ、またハズレ……! 立ちはだかる数々の壁を乗り越え、「Yなき性」の謎にせまる。