書籍詳細

書籍のレビュー・概要

漫画を描けば、ヒットラーとスターリンを遊女とその客に仕立てておちょくり、文を書けば「政府は嘘をつくもの」とバッサリ切る。言論統制の時代にあって、国粋主義雑誌に連載、検閲の眼をかわしながら体制を批判し続けたコラムを選りすぐって編集。盧溝橋事件から一九四五年二月まで、物資窮乏、闇経済、隣組などの実態を伝える。

統制百馬鹿 水島爾保布 戦中毒舌集

Takumi ブックス

統制百馬鹿 水島爾保布 戦中毒舌集

著者・関係者
前田 恭二 編
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/07/03
体裁
四六・上製・334頁
ISBN
9784000617062
在庫状況
在庫あり

価格:3,300 円

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著者略歴

  • 前田恭二(まえだ・きょうじ) 1964年生まれ.東京大学文学部美術史学科卒業.読売新聞社勤務を経て,現在武蔵野美術大学教授.専門は日本近現代美術史. 著書に,『やさしく読み解く日本絵画―雪舟から広重まで』(新潮社 とんぼの本,2003年),『絵のように―明治文学と美術』(白水社,2014年,第65回芸術選奨文部科学大臣新人賞),『関東大震災と流言―水島爾保布 発禁版体験記を読む』(編著,岩波ブックレット,2023年),『文画双絶 畸人水島爾保布の生涯』(白水社,2024年)などがある.

目次

  1. 開巻に先立ちまして マエセツ問答 水島爾保布と時事コラム 凡 例 一九三七年/昭和十二年 広田内閣総辞職 値上げ連発の“通り魔内閣” 子どものケンカ同然の「腹切り問答」 東京オリンピックなどやめちまえ 盧溝橋事件 コラムにならぬ「シュッ、バーン」 日中戦争 報道は「見てきたような噓」 出征見送りと群衆 千人針の流行 事変と流言 一九三八年/昭和十三年 「自粛」の新年 万能用語の「時世だから」 絵かきも当然失業か 敵ながらあっぱれ 蔣介石 戦勝と人心のゆるみ 東京五輪中止、「大国民の襟度」も返上を 盟邦の見よう見まねで「お座興国策」 感心しない「モンペ奨励」 濫造される時局用語 「兵を思え」の一喝で国は立ち行くか 一九三九年/昭和十四年 「松飾り廃止」の迷走 ハズレ続けの戦況予測 葬式で聞いた話 中国戦線の「銃弾」 満洲へ どうせ行くなら“ロバの女衒”を 下町の軍需景気 清津到着、満洲入国 吉林見学とロシア遺民 哈爾賓の夜 開拓村「七虎力」で聞いた話 七虎力から林口へ 伏せ字だらけの将校の談 義勇少年団参観とコーカサス料理 ノモンハン事件と老ラマの予言 国境の町、満洲里 新京帰着 百鬼横行の「王道楽土」 お笑いぐさの防空演習 敵機を夕立と見ての待避 闇取引が公然の「現状事態」に 外交批判 「噓つき国」には用心を 一九四〇年/昭和十五年 ドイツ軍艦の自沈 刺し違えもせず笑止 大臣の言すら、一切信用できない御時節 「政府は噓をつくもの」 国民一般の常識に 井戸を掘れ? 水神様もあきれちまうぜ 代用食栽培の奨励 「頭がどうかしている」指導層 ナチスの対仏勝利 中国戦線とは比較にならぬ 七・七禁令 日本固有の工芸がご法度に? 七・七禁令異聞 タヌキ養殖家の悲劇 怒りっぽくなった日本人 「新体制」の物騒さ ガス集金人まで冷酷に 松之山温泉行 買い出しもできぬ物資不足 炭がない 「テキ屋もしかぬヨタ者」が大臣に われらが隣組 英語排斥 黄表紙同然のばからしさ 国民服は「馬糞色」 トウセイ恐るべし 一九四一年/昭和十六年 客にケンツク食わす商人たち 学生たち 氾濫する外国語講座 独ソ開戦 「禽獣」同然の国とはつきあえぬ ウンコ臭くなった帝都 茶葉にまで番号制 「チョロッカ」な防空壕 モスクワの防空壕、われらの「防空穴」 救荒作物の心得 マクアイ問答 日中戦争から太平洋戦争へ 一九四二年/昭和十七年 新潟で知った真珠湾攻撃 アメリカニズム 浸透と反感 隔日営業になった銭湯と便乗学説 政治談義は遠慮せよ? ドーリットル空襲 敵と思わず見送る 田んぼにあいた爆弾の穴 「鯉でも飼うべえ」 蜜豆はアメリカ発祥? イギリス排斥、アメリカ侮蔑にも限度がある 常用漢字表 「文字」まで統制とは 不要不急の統制は遠慮すべし 盆踊り是か非か 「闇」にも「公定」 果物は味のよさより「目方第一主義」 紀州巡遊 観光地は千客万来 団体旅行の時局的迷彩 横行するカッパライ 新和歌の浦 商工省と県庁の大宴会 濃くなった戦時色 闇に沈む白浜温泉 焼芋懐古談 暮らしは昔に逆戻り 一九四三年/昭和十八年 嫁も配給か 公営の結婚斡旋 薄くなった甘酒 動物園の少年産業戦士 闇公定は「国民公定」 野暮と律義は住みにくい 迷走また迷走 金属類供出の実態 藁人形を突け 丑の刻参りが街頭に 何につけても「米英的」の安直さ 凶作の夏 野菜はたまげた高値に 豪雨が押し流した“盆踊り論争” しっちぇんどんの怒り “米英謀略論”を一喝す 神出鬼没の宰相 東條英機をめぐる流言 人情巡査も東條さんに さながら昭和の水戸黄門 ゲンのいい虎の絵 実は無益な「国旗よごし」 一九四四年/昭和十九年 『孟子』に思う 出征者から譲られた和綴じ本 徳義はどこへ 物を買うには“袖の下” 不平不満の種まき 農民を振り回すお触れ出し 拡大一途の戦火 もはや内外「どえらい事に」 買い出しの横行 「闇」あるうちが花か 北海道へ 炭鉱慰問の旅 アスパラガスにゆで小豆 内地と異なる食事情 さんざんだった岩手の農村慰問 疎開児童の慰問 涙ぐましい食前の儀 疎開先の明暗 訪問父兄は食糧買いあさり 一九四五年/昭和二十年 附 戦後のコラム「はなぢ綺語」 歳末年始の変わりよう なけなしの祝い膳 「正月」はなくなった 世人が正直であったなら…… ニクソン副大統領訪日と再武装 われら「青人草」はニクの付け合わせ

本文紹介

戦争中、衣食住のすべて、そして思想や言論が統制されていった。検閲の目をかわしながら発表された、戦時下体制の実際と本音。

抜粋:漫画を描けば、ヒットラーとスターリンを遊女とその客に仕立てておちょくり、文を書けば「政府は嘘をつくもの」とバッサリ切る。言論統制の時代にあって、国粋主義雑誌に連載、検閲の眼をかわしながら体制を批判し続けたコラムを選りすぐって編集。盧溝橋事件から一九四五年二月まで、物資窮乏、闇経済、隣組などの実態を伝える。