書籍のレビュー・概要
文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が、文学の力を根源から問う。大江健三郎、瀬戸内寂聴ら、先人たちの文業にも触れながら、芸術や社会へと多岐にわたる自らの思考の軌跡をたどる。読者を新たな視座へと誘うエッセイ・批評集成。 ■著者からのメッセージ この度、僕の過去7年間にわたる文学論、芸術論をまとめたエッセイ集『文学は何の役に立つのか?』を刊行いたします。 タイトルは、本書の冒頭に収録されている講演録から採ったもので、この問いは、僕だけでなく、文学に携わるすべての人が、耳にタコが出来るほど、浴びせられてきたものです。僕の答えは、講演中に語られていますが、同時にここに収録されたエッセイのすべてが回答になっているとも思っています。 森鷗外やドストエフスキー、ハイデッガーから、遠野遥さんや金原ひとみさんまで、また、ゲルハルト・リヒターから森山大道さんや横尾忠則さんまで、幅広く論じていますが、その根本は小説家としての僕の思考です。様々な機会に依頼された原稿が大半で、基本的には、どうすればもっと文学や芸術を楽しむことが出来るのか、という視点から作品について語っています。 文学だけでなく、読書や書店の存在意義まで問われるような世の中ですが、こんな混乱した時代にこそ、文学が、芸術が、いよいよその真価を発揮すると信じています。 この本が多くの人の手に届くことを願っています。 平野啓一郎 ■「文学は何の役に立つのか?」平野啓一郎 ──『決壊』から『本心』まで【講演音声】 本書で触れられている著者の過去のエッセイ、対談などがこちらの著者公式サイトでご覧いただけます。 https://k-hirano.com/article-tag/whats-the-use-of-literature 【訂正】 第1刷に下記の誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。 78頁5行目 【誤】『改良』→【正】『破局』