書籍詳細

書籍のレビュー・概要

文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が、文学の力を根源から問う。大江健三郎、瀬戸内寂聴ら、先人たちの文業にも触れながら、芸術や社会へと多岐にわたる自らの思考の軌跡をたどる。読者を新たな視座へと誘うエッセイ・批評集成。 ■著者からのメッセージ この度、僕の過去7年間にわたる文学論、芸術論をまとめたエッセイ集『文学は何の役に立つのか?』を刊行いたします。 タイトルは、本書の冒頭に収録されている講演録から採ったもので、この問いは、僕だけでなく、文学に携わるすべての人が、耳にタコが出来るほど、浴びせられてきたものです。僕の答えは、講演中に語られていますが、同時にここに収録されたエッセイのすべてが回答になっているとも思っています。 森鷗外やドストエフスキー、ハイデッガーから、遠野遥さんや金原ひとみさんまで、また、ゲルハルト・リヒターから森山大道さんや横尾忠則さんまで、幅広く論じていますが、その根本は小説家としての僕の思考です。様々な機会に依頼された原稿が大半で、基本的には、どうすればもっと文学や芸術を楽しむことが出来るのか、という視点から作品について語っています。 文学だけでなく、読書や書店の存在意義まで問われるような世の中ですが、こんな混乱した時代にこそ、文学が、芸術が、いよいよその真価を発揮すると信じています。 この本が多くの人の手に届くことを願っています。 平野啓一郎 ■「文学は何の役に立つのか?」平野啓一郎 ──『決壊』から『本心』まで【講演音声】 本書で触れられている著者の過去のエッセイ、対談などがこちらの著者公式サイトでご覧いただけます。 https://k-hirano.com/article-tag/whats-the-use-of-literature 【訂正】 第1刷に下記の誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。 78頁5行目 【誤】『改良』→【正】『破局』

文学は何の役に立つのか?

Takumi ブックス

文学は何の役に立つのか?

著者・関係者
平野 啓一郎 著
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/07/16
体裁
四六・上製・342頁
ISBN
9784000617079
在庫状況
在庫あり

価格:2,750 円

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著者略歴

  • 平野啓一郎(ひらの・けいいちろう) 1975年、愛知県生まれ。北九州市出身。 1999年、京都大学法学部在学中に投稿した『日蝕』により芥川賞受賞。数々の作品を発表し、各国で翻訳が紹介されている。2020年からは芥川賞選考委員を務める。 主な著書は、小説では『葬送』『滴り落ちる時計たちの波紋』『決壊』(芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)『ドーン』(ドゥマゴ文学賞受賞)『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』『マチネの終わりに』(渡辺淳一文学賞受賞)『ある男』(読売文学賞受賞)『本心』『富士山』等、評論・エッセイに『本の読み方 スロー・リーディングの実践』『小説の読み方』『私とは何か 「個人」から「分人」へ』『「生命力」の行方──変わりゆく世界と分人主義』『考える葦』『「カッコいい」とは何か』『死刑について』『三島由紀夫論』(小林秀雄賞受賞)等がある。

目次

  1. Ⅰ 文学の現代性 文学は何の役に立つのか? 死までの遠近──ジョブズ、私の友人、ハイデッガー 初めてゲラを手にした時 予測不能な世界を生きるために──『本心』連載を終えて AIで亡き母を蘇らせたら また新たな基礎的教養書の登場 ──キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等──人生の成り行きは変えられる』 予期せぬことがなくなって──アンケート「予期せぬ笑い」 初めて真剣にワインを飲んだ日 傷ついた人間の痛みを語り抜く意志──ハン・ガン氏のノーベル賞受賞に寄せて 崩れ落ちてゆくような成熟──金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』 “納得”することの他者性──遠野遥『改良』 奇妙な一年 作家と百年──『文藝春秋』創刊百周年に寄せて ゼロ年代のドストエフスキー 〈影響〉の構造化と愛──『白痴』(ドストエフスキー)を中心に 三島戯曲の世界──フランス語版三島由紀夫戯曲集Le Théâtre selon Mishimaに寄せて Ⅱ 過去との対話 個人と国家、そして諦念 鷗外の政治思想──『阿部一族』論 父子──古今名作散歩 体験、証言、記憶──成田龍一『「戦争経験」の戦後史』 恢復と自己貸与──ハン・ガン『すべての、白いものたちの』 事後的に発見され、新たな起点となる──私と安部公房 「日本」について質問された人──追悼 ドナルド・キーン 天性の人の語り手──瀬戸内寂聴さんのこと 瀬戸内文学の再評価に向けて──追悼 瀬戸内寂聴 「踏まえるべきもの」の絶えた時代に──追悼 古井由吉 大江以後も書き続けるということ──追悼 大江健三郎 戦後民主主義と文学 『オッペンハイマー』論──オッペンハイマーとクリストファー・ノーランの倫理 Ⅲ 文学と美 「国家」と「自然」 新しい辞書のための四つの言葉の定義──ことば、ぶんじん、カッコいい、あい メビウスの輪を歩く人間──写真と安部公房 二度目の「さようなら」はなかった 実在を追究しないことの自由 領域としての黒──ヴァロットンの木版画 ボードレールの女性観──その一元性と多元性 豊饒なるゲルハルト・リヒター展 愉しいル・コルビュジエ 音楽も環境次第 「手書き」の文字と毛筆 「報酬性」と「懲罰性」 特別付録──弔 辞 ドナルド・キーンさんへの弔辞 瀬戸内寂聴さんへの弔辞 大江健三郎さんへの弔辞 あとがき

本文紹介

人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が思考の軌跡をたどるエッセイ・批評集成。文学の力を根源から問う。

抜粋:文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が、文学の力を根源から問う。大江健三郎、瀬戸内寂聴ら、先人たちの文業にも触れながら、芸術や社会へと多岐にわたる自らの思考の軌跡をたどる。読者を新たな視座へと誘うエッセイ・批評集成。 ■著者からのメッセージ この度、僕の過去7年間にわたる文学論、芸術論をまとめたエッセイ集『文学は何の役に立つのか?』を刊行いたします。 タイ…