書籍詳細

書籍のレビュー・概要

「善意」の国際協力は限界を迎えている。アフリカの人びとはSNSや衛星放送で日々目にする豊かな国の暮らしを羨望し、先進国との関係に疑念を抱くようになった。「支援」によって困窮する農村や女性、国際詐欺や陰謀論……長年のフィールド研究の成果をもとに、人びとの目線で「国際協力」の神話を解体し、新たな共存の道を探る。

グローバル格差を生きる人びと

Takumi ブックス

グローバル格差を生きる人びと

「国際協力」のディストピア

著者・関係者
友松 夕香 著
カテゴリ
文庫
刊行日
2025/06/20
体裁
新書・238頁
ISBN
9784004320708
在庫状況
在庫あり

価格:1,034 円

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著者略歴

  • 友松夕香(ともまつ ゆか) 1977年大分県生まれ.2001年,カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業.2003〜05年,西アフリカ・ブルキナファソの環境生活省でJICA協力隊活動.2007年,国際農業研究協議グループ・ICRAFナイロビ本部にて訪問研究.2015年,東京大学大学院博士課程修了.博士(農学).プリンストン大学歴史学部ポスドクフェロー,愛知大学国際コミュニケーション学部准教授などを経て 現在−法政大学経済学部教授 専門−経済人類学,国際協力学,農業史 主著−『サバンナのジェンダー―西アフリカ農村経済の民族誌』(明石書店,2019年.第23回国際開発研究大来賞,第10回地域研究コンソーシアム賞登竜賞受賞)

目次

  1. はじめに 序 章 グローバル格差の感情 1 「白人の国」への羨望 なぜこんなにも苦しいのか 夢は「白人の国」で暮らすこと 2 理解し合わないままの共存 なぜ白人はこんなひどいことをするのか スマートフォンで知る「不条理」な現実 3 不均衡なグローバリゼーション 国際協力の力学 本書の構成 第1章 請い、与えられる者の日常 1 不足のなか「自立」する術 2 若者の大量失業化 出稼ぎに行きたくない 学歴に見合う仕事がない 稼ぎがない友人を助ける 3 薄利の農村ビジネス 4 公務員になりたい 第2章 農村の国際詐欺師たち 1 名声と消費のエンターテイメント 若い詐欺師の祝宴 ご祝儀散財のショータイム 2 デジタル世代による識字の活用 オンライン詐欺の台頭 若い詐欺師たちのビジネスネットワーク 3 好まれるアメリカ人とドル アメリカの情報弱者と情報通の詐欺師たち 同情できない遠く離れた人間 4 格差が育む拝金主義 白人のカネと「ミリオンダラー」 高校教師の憂い 5 「正しくなさ」が薄まるとき 第3章 ゴリアテに立ち向かうダビデ 1 反白人感情 2 「新植民地主義」に対する愛国主義運動 経済成長から内戦へ ゴリアテに立ち向かうダビデ 3 武装勢力と資源をめぐる西側諸国の「陰謀」 なぜ自分たちの国は混迷しているのか フランス軍と国連平和維持軍の追放 4 別格の「白人」としてのロシア 第4章 陰謀論に共感する 1 メディアの民主化 欧米メディアへの不信 メディアの信頼性とはなにか 2 フランスの金融帝国主義 植民地通貨「CFAフラン」の継続 「保護者」としての正当化 新たな共通通貨誕生の頓挫 3 ディアスポラ活動家による代弁 アフリカ連合の誤算 解任事件の影響 アフリカ諸国の政治家と西側諸国の寄生関係 4 好感を勝ち取った中国とロシア 踏み台にされた西側諸国 開発援助に対する内部批判 第5章 「俺たちは腹が減っている」 1 食料危機のグローバルメカニズム バイオ燃料拡大と穀物価格の高騰 世界金融危機と穀物価格の高騰 2 貿易の自由化による食文化の変容 小麦と米の輸入の増加 グローバルな生産性競争 3 一次産品輸出による自立の夢想 カカオの供給過多と価格暴落 政府とグローバル企業の攻防 4 政治家たちの憂い 人口ボーナスの危機 自動化(オートメーション)時代の到来 第6章 自分たちの農法を忘れた人びと 1 失われた技術 持続可能で緻密化された園芸の技術 緑の革命による在来農法の瓦解 2 農業の陳腐化 価値を失った近代農業 緑の革命による「農業の粗放化」 緑の革命がもたらした「お金の懇願」 3 二一世紀の「新たな」緑の革命 ロックフェラー財団による応答 化学肥料で再び実るトウモロコシ 4 援助による格差の拡大 エリートの大規模農家の台頭 「農家」の二極化 第7章 過重労働をこなす女性たち 1 農村女性の過重労働 女性の役割 耕作を始めた女性たち 2 ジェンダー政策の誤想 労働力としての女性の価値 「女性の周縁化」の仮説 「身勝手な男性」像の形成 エンパワーメント手法の台頭 3 開発援助のディストピア 4 農業を美化した帰結 終 章 国際協力の再構築 1 知識生産の視点の転換 (1)教育を受けても食べていけない (2)識字教育を国際詐欺に活用する (3)資源外交と軍事介入への不信 (4)欧米メディアや国際協力への不信 (5)食料・経済危機のしくみ (6)援助による技術の喪失と格差拡大 (7)女性支援による農業の女性化 2 グローバリゼーションの不均衡を軽減させる 植民地型経済からの脱却に向けて 困難な状況に置かれた人びとの生活保障 あとがき 参考文献

本文紹介

国際詐欺、陰謀論、貧困化する農村と女性たち。アフリカの人びとの目線から「国際協力」の神話を解体し、新たな共存の道を探る。

抜粋:「善意」の国際協力は限界を迎えている。アフリカの人びとはSNSや衛星放送で日々目にする豊かな国の暮らしを羨望し、先進国との関係に疑念を抱くようになった。「支援」によって困窮する農村や女性、国際詐欺や陰謀論……長年のフィールド研究の成果をもとに、人びとの目線で「国際協力」の神話を解体し、新たな共存の道を探る。