書籍詳細

書籍のレビュー・概要

長い宗教対立と戦争の後、国家同士が互いの「主権」を尊重しあうウェスファリア体制が生まれた、といわれる。しかし、「主権」を主張した他国への侵略や人道危機が後を絶たない。なぜ「主権」国家は争い合うのか。複合・礫岩国家、帝国、国民国家が織りなす「主権」の多様性を歴史的にひもとき、近代の初発を問い直す。

「主権国家」再考

Takumi ブックス

「主権国家」再考

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著者・関係者
中澤 達哉 責任編集・歴史学研究会 編
カテゴリ
人文・社会科学書
刊行日
2025/04/16
体裁
A5・上製・カバー・372頁
ISBN
9784000616942
在庫状況
在庫あり

価格:4,730 円

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著者略歴

  • 【責任編集】 中澤達哉(なかざわ・たつや) 早稲田大学文学学術院教授.中・東欧史.著書に『近代スロヴァキア国民形成思想史研究――「歴史なき民」の近代国民法人説』(刀水書房,2009),『ハプスブルク帝国政治文化史――継承される正統性』(篠原琢󠄀共編,昭和堂,2012),『王のいる共和政 ジャコバン再考』(編著,岩波書店,2022)など. 【執筆者紹介(執筆順)】 近藤和彦(こんどう・かずひこ) 東京大学名誉教授/イギリス近世・近代史 古谷大輔(ふるや・だいすけ) 大阪大学大学院人文学研究科教授/北欧史 後藤はる美(ごとう・はるみ) 東京大学大学院総合文化研究科教授/イギリス近世史 青谷秀紀(あおたに・ひでき) 明治大学文学部教授/中世ネーデルラント史 稲垣春樹(いながき・はるき) 青山学院大学文学部准教授/イギリス近現代史,イギリス帝国史 青島陽子(あおしま・ようこ) 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授/中東欧・ロシア近現代史 杉山清彦(すぎやま・きよひこ) 東京大学大学院総合文化研究科教授/大清帝国史 石川敬史(いしかわ・たかふみ) 帝京大学文学部史学科教授/アメリカ政治思想史 篠原 琢󠄀(しのはら・たく) 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授/中央ヨーロッパ近現代史 藤波伸嘉(ふじなみ・のぶよし) 津田塾大学国際関係学科教授/近代オスマン史 小田原琳(おだわら・りん) 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授/イタリア近現代史 皆川 卓(みながわ・たく) 法政大学文学部教授/近世ドイツ国制史 大河原知樹(おおかわら・ともき) 東北大学大学院国際文化研究科教授/中東近現代史,中東法制史 岡本隆司(おかもと・たかし) 早稲田大学教育・総合科学学術院教授/近代アジア史 安武真隆(やすたけ・まさたか) 関西大学政策創造学部教授/政治思想史 佐々木真(ささき・まこと) 駒澤大学文学部教授/フランス近世史

目次

  1. はじめに――いま「主権国家」を論じる意味……………中澤達哉 序 章 主権という概念の歴史性……………近藤和彦 一、歴史的で今日的な問題 二、東アジアと「主権国家体制」なるもの 三、ヨーロッパ近世史における「主権」 四、主権と帝国 第Ⅰ部 複合君主政/礫岩国家――近世主権国家 第1章 君主政の狭間から見る近世的主権国家……………古谷大輔 ――スコーネ住民と「正しき統治」 はじめに 一、近世スカンディナヴィアにおける「主権」の姿 二、近世スカンディナヴィアにおける「主権国家」の陶冶 ――スコーネの政治社会とスコーネ公領の形成 三、近世スカンディナヴィアにおける「主権国家」の姿 ――スコーネ住民と「正しき統治」 おわりに 第2章 一七世紀ブリテン諸島における礫岩国家・主権・法の支配……………後藤はる美 はじめに 一、イングランド・スコットランド同君連合と法の合同論(一六〇四――〇五年) 二、一六五〇年代スコットランドにおける法改革 三、一六五〇年代アイルランドにおける法改革 四、再燃する法の合同論(一六五八年) おわりに 第3章 ブルゴーニュ国家のかたち……………青谷秀紀 ――複合君主政のネーデルラント的経験 はじめに 一、広域君主か、領邦君主か 二、公共善とネーデルラントの政治社会 三、君主・領邦・教会 おわりに 第Ⅱ部 帝国論の再定位――近世〜近代主権国家(1) 第4章 イギリス帝国とインド――主権を分有する帝国……………稲垣春樹 はじめに――インド藩王国、主権、間接統治 一、主権の分有と内政不干渉――一八世紀後半〜インド大反乱まで 二、「分割可能な主権」の定式化と藩王国の抵抗――一九世紀後半 三、藩王国による「分割可能な主権」の利用――一九世紀末〜二〇世紀初頭 おわりに――主権という観念を利用する帝国 第5章 ロシア帝国――専制・臣民・領域……………青島陽子 はじめに 一、独自の国家体制としての無制限専制 二、無制限専制と「適法性」 三、一九〇六年国家基本法と専制の歴史性 四、専制と臣民 五、専制と領域 おわりに 第6章 近世「帝国」としての大清帝国……………杉山清彦 ――マンジュ(満洲)による集塊とその構造 はじめに 一、「大清」という近世「帝国」 二、大清帝国の形成と拡大 三、大清帝国の構造と運営 むすびにかえて――近代における集塊の整序と帝国の変容 第Ⅲ部 国民国家の再点検――近世〜近代主権国家(2) 第7章 競合する主権と国民国家――アメリカ革命の風土……………石川敬史 はじめに 一、イギリス王国からの分離・独立における共通課題としての主権理論 二、コンヴェンションという憲法制定権力 三、建国期アメリカに観る主権理論の混乱あるいはその政治性 四、アメリカにおける主権概念の不適切性とその弊害 おわりに 第8章 帝国の一体性と諸国民の主権……………篠原 琢󠄀 ――フランチシェク・パラツキーのハプスブルク帝国国制論 一、予言? 二、近世から近代へ――主権者としての国民の創造/想像 三、革命前のボヘミア王国議会改革論 四、一八四八年革命期の国制論――「国民性」に形を与える 五、フランクフルト国民議会とボヘミアの「主権」 六、帝国議会におけるパラツキーの連邦論と帝国の一体性 おわりに 第9章 オスマンからトルコへ、機能の分立から権力の集中へ……………藤波伸嘉 ――ジェラーレッティン・アーリフ、政治家と法学者のあいだ はじめに 一、国法の一般理論とオスマン帝国憲法 二、帝国から共和国へ おわりに 第10章 ネイションの外縁とジェンダー……………小田原琳 ――イタリアの境界をめぐって 一、イタリア国家の成立をめぐる語り 二、境界領域の時空間 三、ネイションとの距離 四、身体と境界 第Ⅳ部 翻訳される主権――近世〜近代主権国家(3) 第11章 近世イタリア諸国の「主権」を脱構築する……………皆川 卓 ――神聖ローマ皇帝とジェノヴァ共和国 一、ボッカリーニのボダン批判 ――カトリック宗教改革下イタリア統治の理想と現実 二、シニョリーアは主権か――統治権原から見た前近代イタリア 三、近世ジェノヴァ共和国における「至上権」と神聖ローマ帝国 おわりに 第12章 オスマン帝国とアフリカ分割……………大河原知樹 はじめに 一、国際法とアフリカ 二、ベルリン会議前のオスマン帝国とアフリカ 三、ベルリン会議(一八八四――八五年)とオスマン帝国 四、ベルリン会議後のオスマン帝国とアフリカ 五、オスマン的帝国主義とアフリカ――「主体」と「客体」の間で 第13章 「藩属」から「主権」へ――中国の生成として……………岡本隆司 はじめに 一、清朝と「藩属」 二、「藩部」の変容 三、「直省」と「藩部」 「直省」・主権の概念と現実――むすびに代えて 第V部 主権国家と政治思想 第14章 政治思想としての主権と国家――ボダン再読……………安武真隆 はじめに 一、主権と国家 二、マキアヴェッリとボダン 三、リシュリューと「国家理性」論 おわりに 第15章 近世フランスの主権と国家……………佐々木真 ――ボダンの受容のあり方をめぐって はじめに 一、ボダンの多義性と各国での受容 二、フランス王権と主権言説 三、主権と統治実践 おわりに 終 章 主権・王冠・レスプブリカ……………中澤達哉 ――ハンガリー・ジャコバンの「王のいる共和政」論と国民主権分有論の淵源 はじめに――近代歴史学とウェストファリア型主権国家 一、前提――中・東欧における三つの主権概念 二、ハンガリー・ジャコバンのレスプブリカ論とその淵源 三、ハンガリー・ジャコバンの国民主権分有論とその淵源 おわりに――選挙王のいる共和政と近現代への展望 あとがき

本文紹介

「主権」国家はなぜ争い合うのか。複合国家、帝国、国民国家が織りなす「主権」の多様性をひもとき、近代の初発を問い直す。

抜粋:長い宗教対立と戦争の後、国家同士が互いの「主権」を尊重しあうウェスファリア体制が生まれた、といわれる。しかし、「主権」を主張した他国への侵略や人道危機が後を絶たない。なぜ「主権」国家は争い合うのか。複合・礫岩国家、帝国、国民国家が織りなす「主権」の多様性を歴史的にひもとき、近代の初発を問い直す。